カラーム神学の原子論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 18:02 UTC 版)
イスラーム思想史の概観をはじめに記述しておくならば、イスラームの特性を十分に考慮したカラームの神学と新プラトン派の色彩の強いギリシャ系哲学という2つの流れが存在する。詳細は、イスラーム哲学を参照のこと。 カラーム神学の特徴とは、議論百出であった神学者の意見の収斂の結果として、「万物の差異性」を挙げられる。この主張に従うならば、「万物は、分割不可能な部分、つまり最小の単位である原子から成り立っている。ところで、この原子は必ず二つの要素、つまり実体と偶性から構成されている。実体はそれ独自では現実に存在せず、それが具体的な存在となる際には一つ、ないしは複数の偶性を伴う。ところでその際特に注目すべき点は、一つの実体がそれぞれ必ず異なった偶性をとり、決して同じものをとることが無いという」独自の原子論を展開した。 この議論は、一々の個体の固有性に目を瞑りながらも、それを構成する最小の部分である原子に、差異性が存在する根源を求めるというイスラーム世界における伝統的な「差異性」においての解釈論であった。
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