カバーなし金利平価
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/03/11 16:21 UTC 版)
ここで、日本を自国、アメリカを外国、そして世界には日本とアメリカしか存在しないとする。 S t {\displaystyle S_{t}} を時間tにおける現在の直物為替レート、 E t ( S t + 1 ) {\displaystyle E_{t}(S_{t+1})} を1年後の予想直物為替レート、 i j {\displaystyle i_{j}} を日本の金利(自国金利)、 i a {\displaystyle i_{a}} をアメリカの金利(外国金利)とする。すると、もし、投資家がリスク中立的であるなら、仮にどちらかに投資したほうが期待収益が大きいなら、次のような式(カバーなし金利平価)が成り立つまで(両者の期待収益率が同じになるまで)裁定取引がされるだろう。 1 + i j = E t ( S t + 1 ) S t ( 1 + i a ) {\displaystyle 1+i_{j}={\frac {E_{t}(S_{t+1})}{S_{t}}}(1+i_{a})} 1 + i j {\displaystyle 1+i_{j}} は、投資家が円建て預金したときに、1年間でどれだけの収益をだすことができるかを示している。円建てで運用し、円建てで最終的な収益を得るのであれば、当然のことながら為替リスクはなく、金利の分だけ安全に儲けを出すことができる。右辺の E t ( S t + 1 ) S t ( 1 + i a ) {\displaystyle {\frac {E_{t}(S_{t+1})}{S_{t}}}(1+i_{a})} は1単位のドル建て預金をしたときにどのような収益があるかを示している。まず、現在の為替レート S t {\displaystyle S_{t}} で円を売り、現在の為替レート 1 S t {\displaystyle {\frac {1}{S_{t}}}} だけドルを買う。これをドル建て預金として運用すると、 1 S t × ( 1 + i a ) {\displaystyle {\frac {1}{S_{t}}}\times (1+i_{a})} となる。「将来の t + 1 {\displaystyle t+1} 時点(1年後)での直物為替レート E t ( S t + 1 ) {\displaystyle E_{t}(S_{t+1})} 」でドル売り円買い(つまりドルを円に換えている)をすると、 E t ( S t + 1 ) S t ( 1 + i a ) {\displaystyle {\frac {E_{t}(S_{t+1})}{S_{t}}}(1+i_{a})} となる。日米で一物一価(円建ての投資の予想収益とドル建ての投資の予想収益が同じ)が成立するためにはカバーなし金利平価の式が成立しなければいけない。 これがカバーなし金利平価である。しかしながら、現実世界ではカバーなし金利平価は成り立っていない。現実世界で成り立っているのはカバー付き金利平価である。
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