オドリズコによる数値計算結果
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/06 10:11 UTC 版)
「モンゴメリー・オドリズコ予想」の記事における「オドリズコによる数値計算結果」の解説
AT&T ベル研究所の研究員であったオドリズコは、モンゴメリの予想結果に触発され、非自明な零点の間隔分布について、詳細な数値計算による検証を行った。そして、モンゴメリーの対相関関数予想の成立が確からしいこと、さらに、非自明な零点の規格化された間隔分布そのものが、GUE型のランダム行列の固有値の間隔分布に一致するであろうことを示した。これらの結果は、1987年の論文「ゼータ関数の零点間隔の分布について」で報告された。 非自明な零点1/2+iγnに対し、規格化された間隔 δ n = ( γ n + 1 − γ n ) log γ n 2 π 2 π {\displaystyle \delta _{n}=(\gamma _{n+1}-\gamma _{n}){\frac {\log {\frac {\gamma _{n}}{2\pi }}}{2\pi }}} を導入すれば、モンゴメリーの対相関関数予想からM, N→∞で 1 M { ( n , k ) | N ≤ n ≤ N + M , k ≥ 0 , δ n + δ n + 1 + ⋯ + δ n + k ∈ [ α , β ] } {\displaystyle {\frac {1}{M}}\{(n,k)|N\leq n\leq N+M,\,k\geq 0,\,\delta _{n}+\delta _{n+1}+\cdots +\delta _{n+k}\in [\alpha ,\beta ]\}} ∼ ∫ α β ( 1 − ( sin π u π u ) 2 ) d u {\displaystyle \sim \int _{\alpha }^{\beta }\left(1-{\biggl (}{\frac {\sin {\pi u}}{\pi u}}{\biggr )}^{2}\right)du} が成立することが期待される。オドリズコは当時、最新鋭であったスーパーコンピューター Cray X-MPを用い、 N =1、M =105 とN =1012 +1、M =105 の場合、すなわち、1番から105 番目までに位置する 105 個のγnと1012 +1番目から1012 +105 番目までに位置する105 個の γn を±10-8の精度で求めた。そして、それらの規格化された間隔の対相関関数と求め、GUEの理論値1-(sin(πx )/π x)2と精度よく一致することを示した。さらに規格化された零点間隔δnの分布とGUEの固有値の間隔の分布を計算し、両者がよく一致することを示した。後に、これらの結果は、オドリズコ自身によって、さらに1020番目付近に位置するおよそ7×107個の零点で確認され、より高い精度で確からしいことが示されている。 図は、105 個の非自明なゼロ点についての対相関関数を示す。より多くの個数での統計をとると、ますますランダム行列のGUE型の理論値に近づく。
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