インターナショナル・ペーパーとは? わかりやすく解説

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インターナショナル・ペーパー(NYSE:IP)

住所: 400 Atlantic StreetStamford, CT 06921United States
電話: 1- (203) 541-8000
FAX: 1- (203) 541-8255
ウェブサイト: http://www.ipaper.com
業種: 原材料
業界: 資材

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インターナショナル・ペーパー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/06 14:04 UTC 版)

インターナショナル・ペーパー・カンパニー
International Paper Company
種類
公開会社
市場情報 NYSEIP
業種 製紙業
設立 1898年
創業者
  • ウィリアム・オーガスタス・ラッセル
  • ヒュー・J・チザム
本社 アメリカ合衆国
テネシー州メンフィス
事業地域
全世界
主要人物
アンドリュー・シルバーネイル (CEO)
売上高 US$18.6 billion (2024)[1]
営業利益
US$255 million (2024)[1]
利益
US$557 million (2024)[1]
総資産 US$22.8 billion (2024)[1]
純資産 US$8.17 billion (2024)[1]
従業員数
37,000 (2024)[1]
子会社 Temple-Inland, CMCP, Cartón y Papel Reciclado S.A., Cartonajes Union S.L., ZAO, Weldwood of Canada, Castell, L.P., Sustainable Forests, Bolsaflex
ウェブサイト internationalpaper.com
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インターナショナル・ペーパー・カンパニー英語: International Paper Company)は、世界最大級のアメリカ合衆国製紙業者[2]。従業員数はおよそ3万9千人[3]テネシー州メンフィスに拠点を置く[4][5]

沿革

1898年1月31日創業。米国北東部に拠点をおく製紙業者18社が合併して設立された。ウィリアム・オーガスタス・ラッセルとヒュー・J・チザムが共同設立者[6]マーゲンターラー・ライノタイプ社社長のフィリップ・テル・ドッジが11年間チェアマンを務めていた[7]ライノタイプの発明によって新聞のサイズが拡大し、新聞紙の需要も押し上げた。

ハドソン川工場

サカンダガ川がハドソン川に合流するニューヨーク州コリンス英語版にあったハドソン川工場は19世紀後半に発展した近代製紙業のパイオニアである[8][9]。1869年にニューヨーク初の新聞紙工場として設立された[10]

20世紀初めには、ハドソン川工場は社内最大級の工場および本社として利用され、製紙業に従事する労働者の労働運動の舞台にもなった。

第二次世界大戦後、同工場の労働者は塗工紙の製造を始めた。このように同工場は20世紀において中心的な役割を果たしたが、経済的な変化の結果2002年11月に閉鎖された[11][12]。同工場は2011年に部分的に解体される予定だった。アスベスト除去を含む解体工事はノーススター・グループ・サービス社によって行われた[13][14][15][16]

可燃性の高い製品を製造する都合上、インターナショナル・ペーパー社は工場の壁や床、天井などに防火材としてアスベストを利用していた。また工場の構造体だけでなく、パイプやボイラーにも利用されていた。しかし、後になってアスベストが健康被害を生じることが明らかになった[17]。1920年代から既に健康被害を生じることが分かっていたにもかかわらず、同社はアスベストの危険性を秘匿した。その結果、元従業員の多くが中皮腫を患うこととなった[18]

1987年から88年にかけてのストライキ

1987年に始まったストライキは製紙業に従事する従業員で構成される労働組合UPIUと共に行われ、同社が米国内に保有する複数の工場で実施された。このストライキは翌年まで継続し、会社側は代替要員の雇用に踏み切った。このストライキ中、メイン州にあったアンドロスコッギン工場は全米の注目を集めた。このストライキは労働組合に所属しない労働者が代替することで完結した。2006年には同工場がヴェルソ・ホールディングスに売却され、2023年3月に閉鎖された。

買収

  • 1986年:ハマーミル・ペーパー買収[19]
  • 1988年:マソナイト買収
  • 1989年:ドイツの製紙業者Zanders Feinpapiere AGとフランスの製紙業者Aussedat Reyを買収
  • 1995年:フェデラル・ペーパー・ボード買収[19]
  • 1999年:ユニオン・キャンプ・コーポレーション買収
  • 2000年:チャンピオン・インターナショナル買収[19]
  • 2008年:ウェアーハウザー段ボール原紙事業を60億ドルで買収
  • 2012年:段ボール製造会社のテンプル=インランドを45億ドルで買収[19][20]
  • 2016年:ウェアーハウザーセルローズファイバー部門を買収[21]
  • 2025年:イギリスの包装業者DSスミスを72億ドルで買収[22][23][24]

事業再編:2005年~2006年

2005年から2006年にかけて大規模な事業再編が行われ、600万エーカー(2万4千平方キロメートル)の保有林と塗工紙事業、クラフト紙事業、製材事業、飲料包装事業、そしてアリゾナ・ケミカルとニュージーランドのカーター・ホルト・ハービーが売却された。メイン州ミシガン州ミネソタ州に合わせて4つの工場を有していた塗工紙事業は投資ファンドアポロ・グローバル・マネジメントに売却され、現在はヴェルソ・ペーパーという名称で事業を行っている。ノースカロライナ州ロアノークラピッズにあるクラフト紙工場とアーカンソー州フォーダイスにあるダンネージバッグ工場で構成されていたクラフト紙事業は同業のキャプストーン社に売却され、キャプストーン・クラフト・ペーパーという名称で事業が継続されている[25]

飲料包装事業は子会社のカーター・ホルト・ハービーに譲渡したうえでCHH社が買収し、エバーグリーン・パッケージングという名称で事業が継続している。製材事業はカナダブリティッシュコロンビア州バンクーバーに拠点を置くウェスト・フレーザー・ティンバーが買収した。これには13の製材所も付属し、同社は北米第2の製材業者となった。

ロゴタイプ

ロゴタイプはアメリカ人グラフィックデザイナーのレスター・ビールとリチャード・ロジャースによって1960年に制作された。このロゴでは、アルファベットの「I」と「P」を組み合わせて木のように見える矢を作り、それを円で囲っていた。当時のデザインには、製紙用の材木に印刷できるくらいシンプルでなければならないという制約があった[26]。2023年3月7日、同社は創業125周年を記念してブランド刷新を発表した。これに伴い新ロゴも発表され、緑のモノグラムでIとPの字を表している。エンブレムはダークグリーンで、その右側にサンセリフで社名が2段に分けて書かれている。

本社

本社社屋(テネシー州メンフィス

テネシー州メンフィスに3つのオフィスビルを有している。そのうちタワーワンとタワーツーの一部を本社社屋として利用し、タワーツーの残り5千平方メートルとタワースリーのすべてを賃貸オフィスとして貸し出している[27]

タワースリーは2000年にタワーワン、タワーツーの間に建設された11階建てのビルで、延床面積は234,000平方フィートである。クランプ・ファームが設計し、ビル内にはオフィスや会議室のほか、トレーニングルームや飲食スペースも設けられている。当初は先に建てられた他2棟に似せるため、外構用の花崗岩を1980年代半ばに購入し、保管していた。しかし、1994年に制定されたメンフィス市の建築基準法には地震学を踏まえた基準が導入されたため、当初案は廃案となってしまった[28]

2012年、インターナショナル・ペーパー社は9億200万ドルをかけて延床面積235,000平方フィートの新社屋をイースト・メンフィスに建設すると発表した[27]

これら4棟のオフィスビルに加えて、同社は航空機用の格納庫とデータセンター、リサイクル施設、倉庫2棟を有している[27]

製品・組織構造

製紙工場(サウスカロライナ州ジョージタウン)

同社はかつて世界有数のプラスチック製の蓋および紙コップの製造業者であり、マクドナルドウェンディーズサブウェイなど数多くのファーストフードチェーンに納入していた。しかし、同事業は2018年1月にグラフィック・パッケージングに売却された。また、製材事業も2007年にウェスト・フレーザー・ティンバーに売却された。同事業にはコピー用紙封筒の生産も含まれていた。

同社は1956年7月3日から長年にわたりダウ平均株価の銘柄に選ばれてきたが、2004年にAT&Tコーポレーションコダックと一緒に外れることとなった。

脚注

  1. ^ a b c d e f 2024 Annual Report (Form 10-K)”. U.S. Securities and Exchange Commission (2025年2月21日). 2025年6月6日閲覧。
  2. ^ Kaskey, Jack (August 28, 2009) "International Paper Treads Monsanto's Path to 'Frankenforests'".
  3. ^ International Paper” (英語). Fortune. 2020年2月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年11月15日閲覧。
  4. ^ 2013 Form 10-K, International Paper Company”. 米国証券取引委員会 . 2025年6月6日閲覧。
  5. ^ Database (n.d.). “International Paper Company”. The New York Times. http://topics.nytimes.com/top/news/business/companies/international_paper_company/index.html 2013年7月18日閲覧。 
  6. ^ A Short History of International Paper: Generations of Pride”. 2009年3月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年6月6日閲覧。 (PDF).
  7. ^ “Philip T Dodge Estate Placed at 3 millions”. Chicago Tribune: 18. (June 1, 1933). https://www.newspapers.com/clip/24484258/philip_t_dodge_estate/. 
  8. ^ The Hudson River Mill Project”. 2013年9月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年6月6日閲覧。.
  9. ^ Adirondackbranch.net”. 2018年9月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年11月10日閲覧。
  10. ^ History: The Pagenstecher Family: From Rags to Riches”. 2011年10月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年6月6日閲覧。.
  11. ^ International Paper | News Release”. 2013年7月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年6月6日閲覧。
  12. ^ The Hudson River Mill Project”. 2012年8月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年6月6日閲覧。
  13. ^ Press, The Associated (2010年12月15日). “Former paper mill site in Adirondacks to be demolished” (英語). syracuse. 2025年6月6日閲覧。
  14. ^ Hornbeck, Leigh (2010年12月15日). “Corinth paper mill to be demolished” (英語). The Saratoga blog. 2025年6月6日閲覧。
  15. ^ Nearing, Brian (2015年1月29日). “Demolition was completed”. 2025年6月6日閲覧。
  16. ^ Demolition was accomplished by Northstar Group Services”. 2018年4月21日閲覧。
  17. ^ International Paper Company”. Template:Cite webの呼び出しエラー:引数 accessdate は必須です。[リンク切れ]
  18. ^ Asbestos Exposure in International Paper Mill”. bellucklaw.com. 2025年6月6日閲覧。
  19. ^ a b c d 小項目事典,百科事典マイペディア, ブリタニカ国際大百科事典. “インターナショナル・ペーパーとは? 意味や使い方”. コトバンク. 2025年6月6日閲覧。
  20. ^ International Paper Completes Acquisition of Temple-Inland”. PR Newswire (2012年2月13日). 2025年6月6日閲覧。
  21. ^ Weyerhaeuser completes sale of Cellulose Fibers pulp mills to International Paper - Dec 1, 2016” (英語). Weyerhaeuser Investor Relations. 2022年10月5日閲覧。
  22. ^ Pyzyk, Katie (2025年1月31日). “International Paper completes acquisition of DS Smith”. Packaging Dive. 2025年6月6日閲覧。
  23. ^ Nimmo, Jamie; Peng, Ilena (2024年4月15日). “International Paper Agrees to Buy DS Smith for $7.2 Billion”. Bloomberg. https://www.bloomberg.com/news/articles/2024-04-16/international-paper-prevails-with-7-2-billion-ds-smith-deal 2025年6月6日閲覧。 
  24. ^ グリーンマネー「脱ロンドン市場」を後押し シェルにも観測”. 日本経済新聞 (2024年4月20日). 2025年6月6日閲覧。
  25. ^ KapStone Ready to Roll [リンク切れ]
  26. ^ Meggs, Philip (2011-11-22). Megg's History of Graphic Design (5th ed.). Wiley. p. 527. ISBN 978-0470168738 
  27. ^ a b c Sheffield, Michael (2012年12月14日). “International Paper to build $90 million office tower, bring 101 new jobs to Memphis”. Memphis Business Journal. http://www.bizjournals.com/memphis/news/2012/12/14/international-paper-to-build-90.html 2016年2月19日閲覧。 
  28. ^ International Paper - International Place Tower III”. crumpfirm.com. The Crump Firm. 2016年2月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年2月19日閲覧。

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