イスラム教におけるイブラーヒーム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/12 00:18 UTC 版)
「アブラハム」の記事における「イスラム教におけるイブラーヒーム」の解説
この項では、アラビア語発音のイブラーヒームの名を基本に、記述を進める。 イスラム教では、旧約聖書の伝承について、改竄にもとづく誤りを含みつつも神の言葉を伝えた啓典であると考えてはいるが、イブラーヒームについて同様に考えており、アラブ人はイブラーヒームとイスマーイール(イシュマエル)を先祖とみなしている。イスラム教の立場では、イブラーヒームとはユダヤ教もキリスト教も存在しない時代に唯一神を信じ帰依した完全に純粋な一神教徒であり、イスラム教とはユダヤ教とキリスト教がいずれもイブラーヒームの信仰から逸脱して不完全な一神教に落ちた後の時代にイブラーヒームの純粋な一神教を再興した教えである、と考えられた。これに関し、クルアーンの第3章には次のような意味の節がある。 「 "イブラーヒームはユダヤ教徒でもキリスト教徒でもなかった。しかしかれは純正なムスリムであり、多神教徒の仲間ではなかったのである。"[Quran 3:67] 」 トルコのムスリムの伝承では、『旧約聖書』にある預言者イブラーヒームがカナンに向けて出発した「ウル」(カルデアのウル)とはウルファのことであるとし、これは世俗主義の立場である聖書学からも支持されていた。イスラム教の伝統ではイブラーヒームの誕生した場所はウルファであるとされており、これを記念するモスクも建てられている。 イスラム教徒(ムスリム)も生後7日目から12歳までの間に割礼を行うが、ユダヤ教とは違って特にイブラーヒームに由来する法とは考えられておらず、イブラーヒームとアッラーフとの契約に基づいた宗教的義務ではなく共同体の慣習に過ぎないとみなす法学派が有力である。
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