アンドロメダ座ウプシロン星cとは? わかりやすく解説

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アンドロメダ座ウプシロン星c

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/27 14:18 UTC 版)

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アンドロメダ座υ星c
太陽系外惑星 太陽系外惑星の一覧
主星
恒星 アンドロメダ座υ星A
星座 アンドロメダ座
赤経 (α)  01h 36m 47.8s
赤緯 (δ) +41° 24′ 20″
視等級 (mV) 4.09
距離 44.0 ± 0.1 ly
(13.49 ± 0.03 pc)
スペクトル分類 F8V
質量 (m) 1.28 M
半径 (r) 1.480 ± 0.087 R
温度 (T) 6074 ± 13.1 K
金属量 [Fe/H] 0
年齢 3.3 Gyr
軌道要素
軌道長半径 (a) 0.830 ± 0.048 AU
近点距離 (q) 0.612 ± 0.054 AU
遠点距離 (Q) 1.047 ± 0.077 AU
離心率 (e) 0.260±0.079[1]
周期 (P) 241.26±0.64[1] d
軌道傾斜角 (i) 7.9 ± 1[2]°
近日点引数 (ω) 245.5 ± 5.3°
準振幅 (K) 2,450,158.1 ± 4.5 m/s
物理的性質
質量 (m) 1.8 ± 0.26[1] MJ
発見
発見日 1999年4月15日
発見者 ジェフリー・マーシー
発見方法 視線速度法
現況 公表
参照データベース
Extrasolar Planets
Encyclopaedia
data
SIMBAD data
Exoplanet Archive data
Open Exoplanet Catalogue data

アンドロメダ座υ星c(アンドロメダざウプシロンせいc、Upsilon Andromedae c)は、太陽に似たアンドロメダ座υ星Aの周囲を241.2日間の周期で公転する太陽系外惑星である。1999年4月にジェフリー・マーシーポール・バトラーが発見し、アンドロメダ座υ星はパルサーPSR B1257+12を除いて初めて知られた複数の惑星からなる惑星系を持つ恒星となった。アンドロメダ座υ星cは、主星から距離の順に2番目の惑星である。

発見

大部分の既知の太陽系外惑星と同様に、この惑星も主星の視線速度の変化の観測により検出された。これは、主星のスペクトルのドップラーシフトを注意深く観測することにより行われた。発見時、主星は既にホット・ジュピターアンドロメダ座υbを持つことが知られていたが、1999年までに、内側の惑星だけでは速度カーブを説明できないことが明らかになっていた。

1999年にサンフランシスコ州立大学ハーバード・スミソニアン天体物理学センターの天文学者が独立に、3つの惑星系からなるモデルが一番データにフィットすると結論付けた[3]。2つの新しい惑星は、アンドロメダ座υ星c及びアンドロメダ座υdと名付けられた。

軌道と質量

大部分の既知の長い周期を持つ太陽系外惑星と同様に、この惑星の周期も太陽系の主要な天体と比べて大きな軌道離心率を持つ[4]。仮に太陽系内に置くと、地球と金星の間の軌道に位置する。

高い軌道離心率は、惑星dの重力による摂動の結果であると考えられている。シミュレーションによると、惑星cの軌道は、約6,700年に1度、元の円形軌道に戻ってくることが示される[5]

1つの可能性は、惑星dとaの相互作用により惑星dが恒星に近い軌道に移動し、そこで徐々に惑星cの軌道離心率が大きくなっていったというものである。もしそうであれば、自由浮遊惑星がすぐに弾き出されていたはずであり、このような状況がどのように出来上がったかは明らかではない。他のモデルも考えられる[6]

この惑星の発見に利用された視線速度法の限界は、軌道傾斜角が分からず、質量も下限のみしか得られないことである。しかし、地上の望遠鏡での視線速度の観測とハッブル宇宙望遠鏡から得られる天文学的データを組み合わせることで、この惑星の軌道離心率と真の質量を決定することができ、それは約13.98木星質量であった[2]。惑星cとdの相互の傾斜角は29.9°である[2]

性質

上限質量を考えると、アンドロメダ座υ星cは恐らく固体の表面を持たない巨大ガス惑星であると考えられる。この惑星は、恒星の観測から間接的に検出されただけであるため、半径、組成、温度等の性質は分かっていない。

真の質量は木星の約14倍もあり、また金属量が太陽と同程度であることから、アンドロメダ座υ星cは実際は小さな褐色矮星であるかもしれない。

関連項目

出典

  1. ^ a b c Ligi, R. et al. (2012). “A new interferometric study of four exoplanet host stars : θ Cygni, 14 Andromedae, υ Andromedae and 42 Draconis”. Astronomy & Astrophysics 545: A5. arXiv:1208.3895. Bibcode2012A&A...545A...5L. doi:10.1051/0004-6361/201219467. http://www.aanda.org/index.php?option=com_article&access=doi&doi=10.1051/0004-6361/201219467&Itemid=129. 
  2. ^ a b c McArthur, Barbara E. et al. (2010). “New Observational Constraints on the υ Andromedae System with Data from the Hubble Space Telescope and Hobby Eberly Telescope (PDF). The Astrophysical Journal 715 (2): 1203. Bibcode2010ApJ...715.1203M. doi:10.1088/0004-637X/715/2/1203. http://hubblesite.org/pubinfo/pdf/2010/17/pdf.pdf. 
  3. ^ Butler, R. Paul; Marcy, Geoffrey W.; Fischer, Debra A.; Brown, Timothy M.; Contos, Adam R.; Korzennik, Sylvain G.; Nisenson, Peter; Noyes, Robert W. (1999). “Evidence for Multiple Companions to υ Andromedae”. The Astrophysical Journal 526 (2): 916–927. Bibcode1999ApJ...526..916B. doi:10.1086/308035. 
  4. ^ Butler, R. P.; Wright, J. T.; Marcy, G. W.; Fischer, D. A.; Vogt, S. S.; Tinney, C. G.; Jones, H. R. A.; Carter, B. D. et al. (2006). “Catalog of Nearby Exoplanets”. The Astrophysical Journal 646 (1): 505–522. arXiv:astro-ph/0607493. Bibcode2006ApJ...646..505B. doi:10.1086/504701.  (web version)
  5. ^ Ford, Eric B.; Lystad, Verene; Rasio, Frederic A. (2005). “Planet-planet scattering in the upsilon Andromedae system”. Nature 434 (7035): 873–876. arXiv:astro-ph/0502441. Bibcode2005Natur.434..873F. doi:10.1038/nature03427. PMID 15829958. 
  6. ^ Rory Barnes; Richard Greenberg (2008). "Extrasolar Planet Interactions". arXiv:0801.3226v1 [astro-ph]。

座標: 01h 36m 47.8s, +41° 24′ 20″




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