アクリルアミド生成量の少ないジャガイモ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/15 16:18 UTC 版)
「遺伝子組み換え作物」の記事における「アクリルアミド生成量の少ないジャガイモ」の解説
デンプンなどの糖類とアスパラギンが共存しているもの、穀類など、を加熱すると様々な毒性を持つアクリルアミドが生成する。特にフライドポテトなどが問題視されている。そこでアクリルアミド生成量を減らすために遊離アスパラギン含量の少ないジャガイモの開発が行われている。ジャガイモにはアスパラギン合成酵素としてStAst1とStAst2の二種類が知られている。まず初めにStAst1とStAst2の遺伝子StAst1とStAst2の双方を根茎特異的に抑制した形質転換ジャガイモが開発された。温室での形質転換ジャガイモの生育や根茎の収量は野生型のものと遜色がなく、その根茎中の遊離アスパラギン含量は野生型のものの1/20程度であった。ところが、その形質転換体を圃場試験したところ、植物体の生育は悪く、根茎はいびつで収量は低かった。そこで、解析を進めた結果、StAst1は根茎で主に、StAst2は緑色組織で主に発現していることがわかった。そのため、StAst1を根茎特異的に抑制したところ、圃場試験においても生育や収量が正常で、遊離アスパラギン含量が少ない、つまり、加熱してもアクリルアミド生成量の少ない形質転換ジャガイモが得られた。 そしてAsn1 (StAst1と同じ)をRNAiによって抑制して遊離アスパラギンを減少させ、ホスホリラーゼとデンプン関連タンパク質であるR1をRNAiによって抑制してデンプンから還元糖への変換を抑えて、両者の効果によって加熱によるアクリルアミドの生成を減少させたジャガイモがInnateという商標で2015年3月20日にアメリカ食品医薬品局(FDA)によって認可された。なお、Innateにおいては傷や切断による褐変を防ぐために、ポリフェノール・オキシダーゼの遺伝子Ppo5をRNAiによって抑制してされている。
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