アウロラとケファロス (ブーシェ)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/26 11:59 UTC 版)
| フランス語: Aurore et Céphale 英語: Aurora and Cephalus |
|
| 作者 | フランソワ・ブーシェ |
|---|---|
| 製作年 | 1733年 |
| 種類 | キャンバス上に油彩 |
| 寸法 | 250 cm × 175 cm (98 in × 69 in) |
| 所蔵 | ナンシー美術館、ナンシー |
『アウロラとケファロス』(仏: Aurore et Céphale、英: Aurora and Cephalus)は、18世紀フランス・ロココ期の巨匠フランソワ・ブーシェが1733年にキャンバス上に油彩で制作した絵画である。画家の署名と制作年が記されている。現在、ナンシー美術館に所蔵されている[1]。
作品
この絵画の主題は、オウィディウスの『変身物語』 (第8巻) から採られている。若い狩人のケファロスはプロクリスの夫であったが、心ならずも女神のアウロラに略奪されてしまう。女神に抵抗した彼は妻プロクリスのもとに戻ることになるが、命取りとなる運命の囚われ人であった。彼は妻を狩猟の獲物と勘違いし、殺してしまうのである[1]。
ブーシェは、本作の情景をアウロラとケファロス2人の調和のとれた関係に絞り、物語の劇的な要素はすべて消し去っている[1]。アウロラは、薄いバラ色の肌、金髪の髪を持っている。犬に付き添われ、矢筒を持っている狩人のケファロスは、運動選手の肉体で表されている。2人は幸福の最中にあり、時は止まっているかのように見える。魅力的な女神を見つめる若いケファロスは、なんら抵抗を示していない[1]。ブーシェは、生涯で何度もこの主題に立ち戻っている。古代の神々の愛の物語は、当時非常に人気のある主題であった[1]。
歴史
ブーシェは、本作を留学していたイタリアから帰国して後に描いた。おそらく、パリの議会で弁護士をしていたフランソワ・デルベ (François Derbais) により、対作『アエネイアースのためにウルカヌスに武器を依頼するヴィーナス』 (1732年、ルーヴル美術館、パリ) とともに彼のポワソニエール (Poissonnière) 通りの邸宅用に委嘱された。
デルベの死後、売却された両作品は1786年6月12日のヴァトレ (Watelet) の死後に再び売却に付され、フランス王室のためにパイエ (Paillet) により購入された[2]後、ルーヴル宮殿に寄託された。1801年にフランスとオーストリア間でなされた条約調印の際、本作は、当時の中央美術館 (現在のルーヴル美術館) のコレクションからリュネヴィル城 (リュネヴィル) の部屋を装飾するために選ばれた30点の絵画のうちに含まれていた。なお、ムルト=エ=モゼル県の要請で、本作を含む13点の絵画は、1801年9月1日のシャプタル (Chaptal) 令 (フランスにおける美術品の分配を定めた) が発効し、適用される以前にすでにナンシー美術館に寄託されていた[3]。
脚注
- ^ a b c d e “L’amour au point du jour / Divine idylle”. ナンシー美術館公式サイト (フランス語の英訳). 2025年10月26日閲覧。
- ^ Laing, Rosenberg (1986). François Boucher 1703 - 1770. New York, Detroit, Paris (Grand Palais). p. 142.
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Chavanne (2001). De l'An II au sacre de Napoléon. Le premier musée de Nancy (Française). Nancy: Réunion des Musées Nationaux. ISBN 978-2-7118-4315-2.
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外部リンク
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