みんみんとみんみんの合い間じぃーんと過去
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夏 |
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前 書 |
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評 言 |
蟬しぐれの景です。みんみん蟬、油蟬、クマゼミ等々。みんみんとみんみんのリフレインで蟬の字は入っていません。どんな蟬がいたのでしょう。夏の日盛りの森の中では、さまざまな蟬たちが短い命を謳歌しています。吟行の時など、元少年達が、あっしゃあしゃあぜみだとかいろいろよく知っていて教えてくれます。 「じぃーんと」は副詞の「じいんと」で作者のその時の感情、「過去」を引き出すためのことばと思われますが、蟬の鳴き声をも連想させて、うまい表現です。蟬の声がある瞬間はたと止んだりします。そんな時作者は何か感じたのでしょう。この句のキーワードは、「過去」です。どんな過去があった等詮策は無用です。読者が想像して楽しむのです。コノテーション、現代俳句の良い所です。 ところで掲句、破調です。五八六、五五九等どこで切るかに依って違ってきます。筆者は間の次で切りたいのです。音で読むなら、五八五です。五七五に整理し直すと句の魅力はぶちこわしになります。この出来たてほやほやの感じが良いのです。座五の「じぃーんと過去」で一人の男の孤影が浮き出てくるから不思議です。 虫少年の句を次に上げておきます。 機嫌よき田螺のごろ寝昼の月 木村いさを 午前五時しゃあしゃあ蟬が起こしに来る 〃 空蟬や落蟬僕の必需品 〃 蟬の木のてっぺんに置く少年期 〃 鬼の子をひとつ手みやげ逢いに行く 〃 |
評 者 |
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備 考 |
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