ねずみくん
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/03 13:30 UTC 版)
『ねずみくん』は、日本の絵本作品のシリーズ名およびそれに登場するキャラクター。文はなかえよしを、絵は上野紀子が担当している。出版社はポプラ社。ねずみくんとその仲間たちとの日常が描かれている物語。1974年に「ねずみくんのチョッキ」が刊行されて以後、シリーズ化されている。2025年9月時点でシリーズ累計発行部数は500万部を突破している[1]。
キャラクター
- ねずみくん
 - 主人公。年齢は6歳(小学1年生になったばかりくらい)[2]。お母さんに編んでもらった赤いチョッキを着ている。その赤いチョッキはトレードマークでもある。体は小さいし、怖がり屋で、運動神経もなく力もなく、そのうえ何をしても失敗ばかりだが、優しい性格で友達には人一倍優しく、やるときはきちんとやる一面もある。ねみちゃんのことが大好きで、ねみちゃんといつも一緒にいて、ねみちゃんと一緒に遊ぶのが好きであり楽しい時である。ねみちゃん以外の他の仲間たちと一緒に遊ぶのも楽しい時である。ねみちゃんといつも一緒にいたくて、将来はねみちゃんと同棲し、そして結婚したいことも考えているだとか。歯が自慢で、将来は歯医者になりたいと思ったこともある(『ねずみくん おおきくなったらなにになる?』より)[3]。一人称は「ぼく」。
 - なかえよしをによると、身長は2.6センチ(第一作『ねずみくんのチョッキ』で上野紀子が描いた原画での大きさ)[2]。家族構成は明らかにされていないが、「たぶん一人っ子だと思う」とのこと[2]。
 - ねみちゃん
 - ねずみくんの同級生[4]で、大好きな友達であり彼女。頭につけている赤い水玉模様のリボンがトレードマーク。ねずみくんと同じく体は小さい。ねずみくんが好きで、好きな理由はねずみくんが人一倍優しいから[3]。ねずみくんと一緒にいてねずみくんや他の仲間たちと遊ぶのが楽しい時である。ねずみくんと一緒に歩くときは必ず手をつなぐ。普段は優しいが怒る時もある。編み物と料理が得意[3]。一人称は「わたし」。
 - ぞうさん
 - 体が大きく、ねずみくんはそれに憧れている[5]。逆にぞうさんはねずみくんを「自分のことより他の人のことを思える立派な心の持ち主」と称えている[5]。
 - くまさん
 - さるさん
 - てながざるさん
 - きりんさん
 - ぶたさん
 - うさぎさん
 - ライオンさん
 - うまさん
 - たぬきさん
 - あひるさん
 - りすさん
 - かばくん
 - カンガルーくん
 - サイくん
 - いぬくん
 - とりさん
 - ペンギンさん
 - ブルくん
 - ねずみくんとねみちゃんの友達。
 - いじわるねこ
 - いじわるぎつね
 - いつもいたずらばかりしているが、いつも返り討ちに遭ってしまう。
 
シリーズ一覧
- シリーズ[6]
 
- ねずみくんのチョッキ(1974年8月)
 - りんごがたべたいねずみくん(1975年5月)
 - また!ねずみくんのチョッキ(1976年3月)
 - ねみちゃんとねずみくん(1976年11月)
 - ねずみくん ねずみくん(1978年5月)
 - ねずみくんのたんじょうび(1978年6月)
 - またまた!ねずみくんのチョッキ(1979年7月)
 - コップをわったねずみくん(1980年6月)
 - ねずみくんのひみつ(1981年5月)
 - ぞうさんとねずみくん(1982年4月)
 - ねずみくんとブランコ(1983年12月)
 - ねずみくんとおんがくかい(1987年1月)
 - とりかえっこ!ねずみくんのチョッキ(1999年9月)
 - ねずみくんとホットケーキ(2000年9月)
 - ねずみくんとゆきだるま(2001年10月)
 - ねずみくんのしりとり(2002年3月)
 - なぞなぞねずみくん(2002年11月)
 - また!ねずみくんとホットケーキ(2003年7月)
 - ねずみくんのクリスマス(2003年10月)
 - ねずみくんのプレゼント(2004年7月)
 - ねずみくんとおてがみ(2004年10月)
 - ねずみくんとかくれんぼ(2005年9月)
 - ねずみくんとシーソー(2006年9月)
 - ねずみくん おおきくなったらなにになる?(2007年10月)
 - だから!ねずみくんのチョッキ(2008年10月)
 - ねずみくん うみへいく(2009年6月)
 - どうしちゃったの?ねずみくん(2010年5月)
 - ごちそうだよ!ねずみくん(2011年5月)
 - うそついちゃった ねずみくん(2012年5月)
 - あめあめふれふれ ねずみくん(2013年4月)
 - へんし~ん ねずみくん(2014年4月)
 - ちっちゃなねずみくん(2015年5月)
 - ねずみくんとおばけ(2016年7月)
 - ねずみくんといたずらビムくん(2017年8月)
 - ねずみくんのうんどうかい(2018年9月)
 - ねずみくんはめいたんてい(2020年4月)
 - ねずみくんのピッピッピクニック(2021年4月)
 - ねずみくんはカメラマン(2022年7月)
 - ねずみくん だーれだ?(2022年11月)
 - ねみちゃんのチョッキ(2023年9月)
 - ねずみくんからのおくりもの(2024年5月)
 - ねずみくんとチョコレート(2025年1月)
 - えかきになりたいねずみくん(2025年9月)
 
- シリーズ外[注釈 1]
 
- そらがとびたいねずみくん(1976年7月)
 - サーカスへいったねずみくん(1976年8月)
 - きかんしゃとねずみくん(1977年4月)
 - とびだせ!ねずみくん(1984年11月)
 - ねずみくんのおともだち(1989年9月)
 - ねずみくんのおやくそく(1990年6月)
 - ねずみくんといっしょ(1992年1月)
 - やっぱりねずみくんのチョッキ(1993年5月)
 
- しかけ絵本
 
- それいけ、ねずみくんのチョッキ(1997年7月)
 - ブルくんとねずみくん(1997年9月)
 - いじわるねことねずみくん(1998年2月)
 
- ねずみくんミニえほん(2000年1月)
 
- ちいさい、おおきい
 - だーれだ
 - ごあいさつ
 
- 単行本
 
- ねずみくんのきもち(2007年3月)
 - ねずみくんといっしょ ははは(2009年6月)
 
- ランチボックス付き絵本
 
- ねずみくんの LUNCH BOX(2019年10月) 
    
- おでかけサイズの絵本2冊(「ねずみくんのチョッキ」「ごちそうだよ!ねずみくん」)と3段ランチボックスのセット。
 
 
制作
なかえと上野は、もともと日本大学の芸術学部に所属しており、上野の方が絵がうまかったため、上野が挿絵を担当した[8][9]。一方、なかえは物語の組み立てと絵画の制作に通ずるものがあるという理由から、物語の考案を担った[9]。なかえは2020年のダ・ヴィンチとのインタビューの中で、「2人だからできたというよりも、2人でないとできなかった。絵本が不思議なぐらいに向いていたのですね。」と話している[9]。
ねずみくんの絵本の、大きな余白のあるデザインは、なかえよしをが広告代理店勤務時代に見たフォルクスワーゲンの広告「Think Small」がヒントになっている[4][10]。また、テクストも形容詞や副詞などは極力使えず、会話体に限定している[11]。
2019年に上野が亡くなったため、『ねずみくんはめいたんてい』および『ねずみくんのピッピッピクニック』は、過去のシリーズのイラストをなかえがパソコンで加工して作成した[9]。
キャラクター設定
ねずみくんは、こどものころのなかえがモデルとなっている[11]。また、他のキャラクターは象やライオンなど、身体のサイズが異なる動物がモチーフとなっており、なかえはその理由として動物の方が人間よりも個性がはっきりしていることを挙げている[11]。キャラクターの名前も「ねずみくん」や「ぞうさん」など、単純な名称が多く、混乱防止のため一つの作品の中で同じ種類の動物を2体以上出さないようにしてきた[11]。ただし、『ねずみくんといたずらビムくん』では、マンネリを打破するために、シリーズで初めてねずみくんとねみちゃん以外のネズミのビムくんが登場している。なかえはポプラ社とのインタビューの中で、ビムという名前は「BAD MOUSE(バッドマウス)」ならびに「BLACK MOUSE(ブラックマウス)」の頭文字からとったと説明している[12]。
アニメ
OVA
1997年に全2巻(各巻6話・全12話)でOVAが製作された[13]。製作は東映ビデオ・東北新社、アニメーション制作はグループ・タック[14][15]。
キャスト
スタッフ
- 原作・作:なかえよしを、絵:上野紀子(ポプラ社刊)
 - 監督:若林常夫
 - テクニカルディレクター:那須信司
 - 音楽:神尾憲一
 - アニメーション制作:グループ・タック
 - 製作:東映ビデオ・東北新社
 
タイトル
- ねずみくんのチョッキ
 - りんごがたべたいねずみくん
 - コップをわったねずみくん
 - また!ねずみくんのチョッキ
 - ねずみくんのブランコ
 - ねみちゃんとねずみくん
 - またまた!ねずみくんのチョッキ
 - ねずみくんとおんがくかい
 - ぞうさんとねずみくん
 - ねずみくん ねずみくん
 - ねずみくんのひみつ
 - ねずみくんのたんじょうび
 
3D映画
| とびだす絵本3D | |
|---|---|
| 監督 | たかたまさひろ | 
| 出演者 | 堀江美都子 | 
| 製作会社 | 2010『とびだす絵本3D』製作委員会 | 
| 配給 | ローソンエンターメディア | 
| 公開 | 2010年10月23日 | 
| 上映時間 | 30分 | 
| 製作国 |   | 
    
| 言語 | 日本語 | 
『とびだす絵本3D』(とびだすえほんすりーでぃー)は、2010年10月23日公開のポプラ社絵本のねずみくんシリーズと松岡達英著作の絵本5編を読み聞かせ映画として3Dアニメ化した日本映画。キャッチコピーは「ともだちできたらみんなでぴょ~ん」。
上映作品
- なかえよしを&上野紀子作絵本『ねずみくん』シリーズ
 -  
    
- ねずみくんのチョッキ
 - りんごがたべたいねずみくん
 - ねずみくん うみへいく
 
 
- まつおかたつひで作絵本
 -  
    
- ぴょーん
 - しりとり
 
 
スタッフ
- 原作 - なかえよしを、上野紀子、まつおかたつひで
 - 歌と声 - 堀江美都子
 - 総合監督 - たかたまさひろ
 - 製作 - 2010『とびだす絵本3D』製作委員会
 - 映像企画・制作 - 勝鬨スタジオ
 - 3D映像企画 - キュー・テック
 - 協力 - ポプラ社
 - 配給協力 - メジャー
 - 配給 - ローソンエンターメディア
 
テレビアニメ
| 
       
       この節には放送または配信開始前の番組に関する記述があります。
        | 
    
2025年9月3日、テレビアニメ化が発表された[1]。
脚注
注釈
- ^ 50周年特設サイト「ねずみのおいわい」に記載の無いもの。
 
出典
- ^ a b “「ねずみくんのチョッキ」シリーズTVアニメ化 累計500万部を超えるロングセラー絵本”. コミックナタリー (2025年9月3日). 2025年9月3日閲覧。
 - ^ a b c 『MOE』2020年5月号、10頁。
 - ^ a b c 『MOE』2020年5月号、12頁。
 - ^ a b 『MOE』2020年5月号、11頁。
 - ^ a b 『MOE』2020年5月号、13頁。
 - ^ “ねずみくんのおいわい”. ポプラ社. 2025年9月3日閲覧。
 - ^ a b 『MOE』2020年5月号、20頁。
 - ^ “『ねずみくんのチョッキ』は二人三脚でないとできなかった:なかえよしをインタビュー”. ほんのひきだし (2021年5月24日). 2021年6月26日閲覧。
 - ^ “ほめてあげればよかった 「ねずみくん」支えた亡き妻へ:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル (2021年6月7日). 2021年6月26日閲覧。
 - ^ a b c d “『ねずみくんのチョッキ』誕生秘話 ‟ねずみくんは小さい頃の自分””. VERY. 光文社 (2020年11月17日). 2021年6月26日閲覧。
 - ^ “いたずらにも創意工夫が必要 「ねずみくんの絵本」シリーズ作者 なかえよしをさん&上野紀子さんインタビュー”. ポプラ社. 2021年6月26日閲覧。
 - ^ “オリジナルビデオアニメ ねずみくんのチョッキ(1997)”. allcinema. 2025年9月3日閲覧。
 - ^ “ねずみくんのチョッキ VOL.1”. 東映ビデオオフィシャルサイト. 2025年9月3日閲覧。
 - ^ “ねずみくんのチョッキ VOL.2〈完〉”. 東映ビデオオフィシャルサイト. 2025年9月3日閲覧。
 
参考文献
- 「ねずみくんのチョッキ なかえよしを・上野紀子夫妻の物語」『MOE』2020年5月号。
 
外部リンク
- 「ねずみくんの絵本」シリーズ 40th Anniversary (web.archive.orgのアーカイブ、オリジナルはリンク切れ)
 - ねずみくんのおいわい|ポプラ社(50周年特設サイト)
 - 「ねずみくんの絵本」-シリーズ、絵本ナビ
 - ねずみくんのページ
 - 絵本のページ
 - とびだす絵本3D
 - とびだす絵本3D - allcinema
 - とびだす絵本3D - KINENOTE
 
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