『通俗唐玄宗軍談』
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唐代の歴史を初期から紹介し、武則天が太宗の寵愛を集めてから、高宗の後宮に入って皇后となり、高宗の崩御後に武氏の乱が起きることを始めとして、玄宗の事績を語り、玄宗が楊貴妃への寵愛に溺れて安禄山の乱を招いたことを中心に、粛宗の崩御後、代宗の世になるまでを題材として描いた「通俗軍談」のジャンルの一作である。 宝永元年(1704年)11月に村田通信が序を記している。 原作となる中国小説は存在せず、『資治通鑑』、『資治通鑑綱目』、『新唐書』、『長恨歌』、『長恨歌伝』、『楊太真外伝』、『太平広記』、『開元天宝遺事』、『安禄山事績』、『梅妃伝』等の漢籍を典拠に用いている。『資治通鑑』の文章を引用して翻訳しながら物語化を行い、漢籍を組み合わせて読者に配慮を行っており、多かれ少なかれ作者である昂然自身の創作を加えている。 また、「楊貴妃本為仙女」のように貴妃が前世において仙女であることを知ることや、玄宗が高力士に命じて李白の靴を脱がせるなど、漢籍に典拠が見当たらない独自の創作も行われている。 序文によると、昂然は同書を通して、一般の人々に「正直仁恕」を教えようとしたとされる。
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