『パイドン』
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/11/06 23:36 UTC 版)
「アナムネーシス (哲学)」の記事における「『パイドン』」の解説
『パイドン』では、プラトンはイデア論と組み合わせることである程度「想起」説を発展させている。まず、彼は「想起」はいかにして達成できるのかを周到に考える。『メノン』ではソクラテスの問答法以外に何も提起されていないのに反して、『パイドン』では「カタルシス」(ギリシア語: καθαρσις、罪や汚染からの浄化)を通じて肉体の本性に打ち勝つ生き方を提案している。肉体とその感覚は間違いの源である。知識は理性を使うこと、魂によって物事を熟考すること(ノエシス)によってのみ取り戻せる(66 b–dを参照). 次に彼は、せいぜい真なる信念にすぎないもの(ドクサ)に対して、真の知識はその内容とは区別されることを明言する。常に魂の中にある真理が存在するからこそ人は永遠の真理を知ることができる。例えばロンドンからオックスフォードまでの最短経路のような真なる信念を知っていると大変便利ではあるが、そういった信念が知識の資格を得ることはない。どうしてヒトの魂がそのような偶然的な事実に基づいた命題をいつも知っていることがあろうか?
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