『トリスタンとイゾルデ』との関係
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「ニュルンベルクのマイスタージンガー」の記事における「『トリスタンとイゾルデ』との関係」の解説
『ニュルンベルクのマイスタージンガー』の筋書きの中心的なモチーフとなっているのがエファとヴァルターの恋愛である。これは、一目惚れから始まり、両者が無条件に陥ってしまう愛という点で、前作『トリスタンとイゾルデ』と同様である。ドイツのワーグナー研究者エゴン・フォス(1838年生)は、「エファとヴァルターの内部にはトリスタンとイゾルデが生きている」と指摘している。 第3幕第4場では、『トリスタンとイゾルデ』から「憧憬の動機B」と「マルケの動機」が直接引用される。この引用は、「トリスタンとイゾルデの悲しい末路はよく知っている。ハンス・ザックスは賢いから、マルケ殿の幸福を望まなかったのさ」というザックスの台詞によって、あからさまにされている。しかし、音楽としても必然的な印象を与えるのは、引用に至るまでの過程において、半音階上行音形がしばしば現れ、「移行の技法」が駆使された結果である。 また、第2幕第5場から第7場の幕切れまでは、『トリスタンとイゾルデ 』第2幕が下敷きになっているという指摘もある。具体的には、霊妙な夜の雰囲気、木蔭に身を寄せる恋人たち、恋人たちの世界を外から威嚇する角笛などが共通する。また、窓辺に立つマクダレーネは塔の上で見張りをするブランゲーネであり、エファの帰宅を促すマクダレーネの声はブランゲーネの「見張りの歌」と同じく台詞と音楽が乖離している。そして、どちらも彼女たちの悲鳴からカタストロフに突入する。
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