「煮炊き」の始まり
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 08:36 UTC 版)
日本列島を含む極東地域における最古級の土器には煤状の炭化物が付着したものが多く、土器は、少なくとも東アジアにあっては、その出現当初から煮炊きの道具として使われることが明らかとなっている。 人類が土器を知らなかった時代にあっては、食物を煮炊きすることは大変な苦労を要したと考えられる。岩のくぼみ、地表面に露出した粘土層のくぼみ、木の洞といった場所にできた水たまりの近くで焚き火し、そのなかに人間の拳大の石を投げ入れて、木の枝などで挟んで水たまりに投げ込むといったような行動をとっていたものと考えられる。 土器の発明は、生で食べるか、焼いて食べるかしかなかった食物の摂取方法に、煮て食べるというレパートリーを加えることに、大きく貢献した。獣肉や魚貝類の多くは、新鮮でありさえすれば、生でも食され、かつ美味なものも多いが、植物性の食料の多くは生食に適さず、火熱を通して初めて食べられるようになるものが多い。生では人間の消化器官が受け付けないようなものであっても、火熱によって化学変化を誘発させ、消化の可能な物質、甘みを増して美味でやわらかく食べやすい食料になることが多いのである。
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