「イヌイット」呼称の問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/07 13:52 UTC 版)
「エスキモー」の記事における「「イヌイット」呼称の問題」の解説
カナダでは1970年代ごろから「エスキモー」を差別用語と位置付け、彼ら自身の言葉で「人々」を意味する「イヌイット」が代わりに使用されている。現在では「イヌイット」という呼称は、本来「人々」を意味する言葉ではなかったとされている。先住民運動の高まりの中で、これまで他者から「エスキモー」と呼ばれてきた集団が自らを指す呼称が必要となり、「イヌイット」という言葉を採用したためである。 「イヌイット」は、本来北方民族のうち最大数を占めているカナダのバフィン島やグリーンランド方面に住む集団(東部集団)についての呼称である。イヌイット以外の集団への呼称について、正確を期す場合には、アラスカエスキモーは「イヌピアット」(Inupiat)、シベリアやセントローレンス島に住む集団は「ユピク」(Yupik) と呼ぶ。このため、北方民族の総称としての「エスキモー」を単純に「イヌイット」に置き換えると、置き換えの結果としての「イヌイット」なのか、原意の「イヌイット」なのか区別できなくなる。 またそれ以前に、シベリアやアラスカのイヌピアット(アラスカエスキモー)やユピクを、別の語族集団の呼称である「イヌイット」の名で呼ぶことは明らかな間違いである。合衆国の団体「Expansionist Party of the United States」は、その公式サイトで、「エスキモー」の呼称について、「アラスカとシベリアで唯一の正しい用語である」としており、「エスキモーはその名をまったく恥じていない。エスキモーでない者たちは、犯罪を意図するわけでもないのなら、いたずらに非英語の婉曲表現で彼らを威嚇すべきではない」としている。
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