「アポロの杯」の由来
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 07:26 UTC 版)
「アポロの杯」というタイトルは、ギリシャの星座の名前からとられたが、三島はこの星座について、野尻抱影から聞いた話として次のように説明している。 海蛇座の上に、鴉座の四辺形と並んで乗つてゐる星座であまり目につかない。星図で見ると、両耳のついた希臘の台杯で現はされ、六つの四等星が東へ向いた半円をゑがいてゐるのが口である。ある日アポローンは使はしめの鴉にこの杯をわたして水を汲ませにやつた。怠惰で気の多い鴉は、道すがら見た無花果の樹の下で、その実の熟して落ちるまで待つたのち、水蛇(ヒドラ)つかんで飛びかへり、「この蛇がゐたので遅くなりました」と嘘言を奏した。その報いを以て鴉は水蛇と杯と共に星に変へられ、杯を目前にしながら、永遠の渇に苦しめられてゐるのである。 — 三島由紀夫「野尻抱影による」(『アポロの杯』本扉裏) 三島はローマのヴァチカン美術館で『ベルヴェデーレのアポロン(英語版)』像を観たが、のち1959年(昭和34年)に大田区南馬込に新築した邸宅の庭にアポロ像を設置した。このアポロ像は三島がローマの名匠・ジョヴァンニ・アルディニに作成依頼したもので、その足下には黄道12宮の大理石のモザイクが埋め込まれている。
※この「「アポロの杯」の由来」の解説は、「アポロの杯」の解説の一部です。
「「アポロの杯」の由来」を含む「アポロの杯」の記事については、「アポロの杯」の概要を参照ください。
- 「アポロの杯」の由来のページへのリンク