iPod デザイン

iPod

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/06 14:19 UTC 版)

デザイン

本体デザインは同社のMac・シリーズと同様、ジョナサン・アイブが中心のデザインチームが担当している。Mac・シリーズと同じく、光沢のあるプラスチックやカラーアルマイト、磨き上げられたステンレスなどの質感を重視した素材を使用し、可能な限りシンプルな形状にデザインされているのがシリーズ共通の特徴と言える。

iPod mini公開までの全てのiPodGUIには、Macで使用されていたChicagoと言うフォントが使用されていた。

第3世代iPodの分解画像
左から右へ:
  • iPodの表面ケース。
  • グリーン色のプリント基板iPodを制御し、その下にある暗いグリーン基板はタッチ・スクロール・ホイール及びボタンを制御する。
  • リチウムイオン二次電池。第4世代までは電池が基板とコネクタ接続されており素人でも容易に電池交換出来るキットなどが販売されていた。
  • ハードディスクドライブ、プリント基板から絶縁するためにソフトゴムの層によって保護されている。ゴムの層はiPodを持ち運ぶ際に発生する衝撃から、動作中のハードディスクを保護する役割も担っている。
  • ステンレス製の筐体背面部。

非純正アクセサリー

自動車用FMトランスミッター

iPodはアクセサリー産業の二次市場を大きく成長させる発端となり、2005年のマックワールド基調演説でApple社CEOスティーブ・ジョブズはそれを「iPod経済」と呼んだ。一般的には、生態系になぞらえてエコシステムと呼ばれることもある。

iPodのアクセサリーにはメモリーカードリーダー、FMトランスミッター、及びボイスレコーダモジュールなどが存在する。それらのコネクターは音の信号を通し電源をiPodまたはアクセサリーに送ると同時に制御及び情報を提供する。これらのアクセサリー(ケース類などは除く)について2005年10月にApple社がロイヤリティ料を徴収する旨の記事が出たが、現在ロイヤリティ料を徴収する決定はApple社で出されていない。PORTER(吉田カバン)やプラダグッチコーチポール・スミスルイ・ヴィトンダンヒルなど各種ファッションブランドの専用ケース等も存在し、Apple社でもiPod nano tube靴下をモチーフにしたiPod靴下を販売している。

iPodをサポートする非純正ツール
名前 概要
foobar2000 iPod manager[16]プラグインをオプションとしてインストールしてiPodを管理できる、Windows向け音楽プレイヤー。
AmaroK 完全にiPodをサポートしているKDE向け音楽プレイヤー。
Rhythmbox GNOME上で動作するiTunesクローン。
gtkpod[17] iPodを目標とした GTK上のGTKツールキットを使用したシステム向けiPod管理プログラム。
ml ipod[18] iPodをサポートするために加えられたWinamp向けオープンソース・プラグイン。
EphPod[19] 多くのiTunesの特徴を備えたWindowsアプリケーション。EphPodiPodからコンピューターへ音楽のコピーもできる。
iPodLinuxプロジェクト iPod上でLinuxを利用できる。現在は1G、2G、および3GiPodのサポートを提供。これはminiも含めて、他の世代のiPodでも利用できるが、iPodLinuxプロジェクトでは、導入方法等に関しての言及はあるが、公式なサポートは行わない、としている。
Rockbox iPod上でWMAOgg Vorbisなどの音楽ファイルを再生したり、MP3などのギャップレス再生を可能にするオープンソースのファームウェア。2007年11月15日現在、iPod(第5.5世代以前)、iPod miniiPod nano(第1世代のみ)に対応。
iPodWizard iPodのファームウェア内の画像を入れ替えるWindows用ソフトウェア。

グリフィン・テクノロジー社[20]はiTrip、iBeam英語版iTalkPowerPodおよびEarJamを含む、いくつかのiPodアクセサリーを作成している。テン・テクノロジー社によるnaviPod[21]はApple iPod向け5ボタン赤外線リモート・コントローラーである。ソニークリエイティブテクノロジーは、iPodシリーズと競合するデジタルオーディオプレーヤーを製造しているが、同時に、iPod専用のハードウェアも生産している。

iPodシリーズの歴史

iPod mini(左)、初代iPod(右)

最初のiPodMac専用のデジタルオーディオプレーヤーとして2001年10月23日に発表され、2002年発売の第2世代でWindowsにも対応した。「iTunesのライブラリに収めた音楽を外へ持ち出す」というコンセプトで開発されており「まずiTunesありき」である点が、先行していた他のデジタル音楽プレイヤーとははっきり異なる。これはiPod発表時の惹句「iTunes to go」によく現れている。この惹句はiBookアイブック発表時の「iMac to go」にかけたもの。日本では「Goodbye MD」という惹句でミニディスク市場からの占有率獲得を目指した。iPodiTunesとの同期機能を備えることにより、自宅での環境をそのまま外へ持ち出すというコンセプトをより鮮明にした。

発売された初期の頃は電池の消耗・劣化が激しく、更に電池の交換費用が高額だった(購入後、僅か90日間の製品保証だった[22])ために、米国では購入者から電池交換費用を安くするよう運動やデモを起こされ、集団訴訟にまで発展した。この訴訟でApple社が応じた和解の条件は以下の通りである。2004年5月31日までに第3世代までのiPodを米国で購入した米国の居住者に対して、バッテリの無償交換もしくは50ドルの商品券を渡すこと、あるいはその期間までにiPodの電池交換を有償で受けた購入者には最大で50パーセントの有償交換金額の返金に応じる、の2点である。イギリスの国会でもiPodの電池劣化問題が話題となったが、2004年6月以降からは電池も改良され、更にサポートとしてAppleCare Protection Planが発売されて解決している。2005年10月14日には、電池交換サービスの料金が従来の15,750円から半額以下の6800円に改訂された。

iPodの新製品は発表直後に発売開始されるため、初期出荷数と需要のバランスが悪く、人気が集中する発売から数か月は購入が難しくなる状況に陥る場合が多かった。iPod miniiPod shuffleの場合がそれに該当し、店舗で入手困難な状況が数ヶ月間は続いた。

iPodが普及する要因になったのは、使いやすいUIとシンプルなデザインもあるが、多くのユーザによるネット上でのトラブルシューティングの多さが、iPodをデジタル音楽プレイヤーのスタンダードの地位に押し上げ、今なおiPodユーザを増やしている。そのため、2007年現在日本の総売上の約5割がiPodシリーズである。米国では8割近い。

日本ではiPodが2003年に、iPod miniが2004年に、更にiPod shuffleが2005年に揃ってグッドデザイン賞を受賞した。ちなみにiPod miniが金賞を、iPod shuffleはグッドデザイン賞ベスト15に選ばれた。更にロジクール社が出したiPod用のワイヤレスヘッドホンも同様に2005年グッドデザイン賞に選出された。

2005年10月12日、動画の再生に対応した第5世代のiPodが発表され、同時に動画転送のためのツールであるiTunes 6を発表した。

2006年1月11日に「iPod Radio Remote」という名でサードパーティからは既に発売され、以降も公式な対応が求められていたFMラジオチューナー機能付きのワイヤードリモコンが発表され、第5世代以降発表のshuffleを除くモデルでのラジオ受信が可能となった。ファームウェア上ではRadio Data Systemを標準に準拠したデータが送られ、ラジオ局の情報や聞いている曲、ミュージシャンの名前などの情報が表示される仕様となっている。北米などを中心にRDSは既に開始されているものの、日本のFMラジオ放送ではこのRDSを送信しておらず、現在は特に何も表示されない。日本の見えるラジオなどのFM文字多重放送には対応していない。第5世代発表から11か月後の2006年9月12日にはマイナーチェンジが行われ、新たに80GBモデルが投入された。主な改良点は液晶ディスプレイの高輝度化(従来比160%)、動画再生機能の強化、iTunes Storeからのゲームダウンロードに対応、等。同時に映画コンテンツ(2006年9月現在日本では開始されていない)・5GiPod向けゲームのダウンロードに対応したiTunes 7が発表された。なお、この際第1世代iPodからリクエストされてきたギャップレス再生機能をサポート。

2007年2月8日、アメリカ合衆国ニューヨーク州のカール・クルーガー上院議員がiPodなどの電子機器を操作しながら横断歩道を渡ることを禁じる法案を同州議会に提出した。同州ではiPodなどの電子機器を操作しながら横断歩道を歩いていた住民が車に轢かれ死亡する事件が3件発生し、そのうち1件は「危ない」と叫んでいたのにもかかわらず気付かずに轢かれて死亡した。

2014年9月10日に開かれたAppleスペシャルイベントの終了後、公式サイトのApple StoreでのiPod classicの取り扱いがなくなり、各メディアにおいて販売が終了したことが報道された。これにより2001年から続いた特徴的なスクロールホイールを搭載した全てのiPodがラインナップから姿を消したこととなる。


  1. ^ A Visual History of the Apple iPod”. PC Magazine (2022年5月10日). 2022年9月4日閲覧。
  2. ^ “アイポッドの歴史に幕 「iPodタッチ」販売終了”. サンケイスポーツ. 産経デジタル. (2022年5月11日). https://www.sanspo.com/article/20220511-OMDT2ZEYHNL5PPUTZOY5KAED4A/ 2022年5月11日閲覧。 
  3. ^ : generation
  4. ^ 米国特許庁 特許番号6,928,433
  5. ^ [1][リンク切れ]
  6. ^ iPodを起動ディスクとして使用しないでください - アップル サポート情報記事(Knowledge Base)
  7. ^ predictor function
  8. ^ xoplay.com
  9. ^ pipod.sliceny.com[リンク切れ]
  10. ^ [2]
  11. ^ iPod利用者へ:強盗に注意!(iPod強奪事件の報告) - 在ニューヨーク日本国総領事館
  12. ^ [3][リンク切れ]
  13. ^ [4][リンク切れ]
  14. ^ [5]
  15. ^ [6]
  16. ^ yuo.be/ipod.php
  17. ^ gtkpod.sourceforge.net
  18. ^ mlipod.sourceforge.net
  19. ^ [7]
  20. ^ griffintechnology.com
  21. ^ [8]
  22. ^ アップル - iPod - 仕様”. web.archive.org (2001年11月9日). 2020年3月14日閲覧。
  23. ^ Web Browser[リンク切れ] iTunes[リンク切れ]
  24. ^ Apple、ユーザーの「不適切使用」を検出する特許を出願
  25. ^ 「iPod課金すべきではない」が80件〜文化審議会が意見募集の中間集計 インプレス インターネットWatch
  26. ^ 知的財産推進計画2007の策定
  27. ^ 「知的財産推進計画2006」の見直しに関する意見募集 団体からの意見(PDF)
  28. ^ 知的財産推進計画へのアップルジャパンの意見を削除[リンク切れ]
  29. ^ ロック難聴、音響外傷・笠井耳鼻咽喉科クリニック自由が丘診療室



IPOD

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