Grand Prix Legends AIドライバー

Grand Prix Legends

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/10 01:29 UTC 版)

AIドライバー

プレイヤーは1967年当時のトップドライバーとレースを行える。ジャック・ブラバムデニス・ハルムジム・クラークダン・ガーニージョン・サーティースペドロ・ロドリゲスそしてロレンツォ・バンディーニが登場する。ジャッキー・スチュワートライセンス問題のため含まれない。

実際の1967年シーズンと異なり、GPLにおける各チームのドライバーズシートは安定している。ドライバーのラインアップは完全に正確というわけではない。何人かのAIドライバーは実際にはめったにF1に登場しなかった。例えば、フランス人ドライバーのジャン=ピエール・ベルトワーズはゲームの中でBRMを運転しているが、実際は1967年に三度、マトラF2マシンをドライブしただけであり(当時はF2マシンをF1グランプリに持ち込んで戦うシーンも見られた)、1972年以前には決してBRMを運転しなかった。もう一人、1967年に小さな役割を持ったベルギー人ジャッキー・イクスが居る事もこの例に当てはまる(F1グランプリとF2ヨーロッパ選手権が混走で行われたニュルブルクリンクでは、F2マシンながら、予選や、決勝でリタイヤするまでほとんどのF1マシンよりも速く走って見せた。そしてクーパーからF1デビューを果たしたモンツァでは6位入賞した)。

なお、ドライバー構成を変える第三者が作ったパッチが利用可能である。

サーキット

このシミュレータには1967年当時の11ヶ所のサーキットが含まれる。この中にはイタリアのハイスピードサーキットのモンツァカナダのジェットコースターのような起伏に富んだモスポート・パーク、狭い市街地サーキットモナコ、現在とは異なる、全長14km全てが公道スパ・フランコルシャンドイツの独創的な全長23 kmのニュルブルクリンク・ノルトシュライフェが含まれる。

このゲームでの11ラウンド中、10ラウンドのレースは実際のF1の1967年シーズンで使われたサーキットで行われる。GPLの中でのフランスグランプリルーアンで行われるが、実際にはル・マン・ブガッティサーキットで行われた。ルーアン(1968年のフランスグランプリ開催地)は美しい景色の中を走り、ドライバーにとって非常に魅力的なサーキットとされたが、ブガッティサーキットおよびその周囲の景色はそれに比べてやや面白みに欠けると概して見なされていたからである。実際、ブガッティサーキットはドライバー達に人気が無く、デニス・ハルムはここを "ミッキーマウス" サーキットと呼んだ。

いずれのサーキットも、現在のサーキットと比較すると大変危険な箇所があり、当時のレーシングドライバーが感じていた緊張感の一部をGPLプレイヤーも仮想体験する事になる。コーナーにオーバースピードで突っ込んだり、カウンターステアを当て過ぎる(実車のように一瞬だけフルカウンターを当てるような操作が求められる場合がある)等して車が路面を飛び出すと、生垣、街灯、欄干、立ち木、時には民家にさえ衝突したり、土手に乗り上げて横転したり、柵を乗り越えコース外へ飛び出す等といった事も起こり得る。グリップ力に余裕のある現在の車にとってはストレートの一部とも思える緩やかなコーナーでも、GPLのマシンにとってはグリップ力を最大限に利用しなければならない場合が多く、ほぼ全てのコーナーで気が抜けない事になる。当時のサーキットは現在と比較するとシケインの数が非常に少ないのも特徴の一つとなっている。

開発者が各サーキットの特徴を再現するに当たっては、様々な資料以外に、実際に現地に出向いて調査を行った他、当時のF1の様子を今日に伝える、1966年シーズンのF1を題材にした映画「グラン・プリ」の映像も参考にされた。

なお、GPLのキャラミ・サーキットに存在するピットウォールは実際には1967年のF1開催時点では存在していなかった。この点を修正するパッチもファンの手により用意されている。

ゲームプレイ

レースモード

Traning
プレイヤー単独で任意のサーキットで練習走行を行う。
Single Race
任意のサーキットで最高19人のAIドライバーとレース(予選、決勝)を行う。
World Championship
最高19人のAIドライバーと11ラウンドのレースを行い、合計ポイントを競う。
Multiplayer
ネットワークを通じて任意のサーキットで最高19人のプレイヤー(AIドライバーを加える事も可能)を相手にオンラインレースを行う。
  • 各レースモードにはマシンへのダメージの有無やレースの長さ等で数種類のオプションがある。
  • 走行前、あるいは走行後にセッティング(燃料搭載量、タイヤの空気圧、ブレーキバランス、サスペンション系統、ギア比、LSD、ステアリングレシオ)やタイヤの温度と空気圧のチェックが行える。
  • 走行時の視点は、ドライバーがコックピットに座った状態を再現した車内視点と、車を前方に見下ろす追跡視点が選択できる。
  • 走行中におけるラップタイム、順位などの情報提供はピットボードにより行われる。
  • ジャンプスタートやコースのショートカット等でペナルティを与えられる事もある。その場合はピットに入って一定時間静止しなければならない。
  • レース中のピットにおけるタイヤ交換、ガソリン給油、マシンの修繕等は再現されていない。
  • 初級、中級クラスのレースにおいてはマシンが走行不能な状態に陥ってもその場で復活させる事ができる。(油温、タイヤ表面温度は初期値に戻るため注意が必要)
  • オンラインレースではチャットを利用できる(日本語入力は不可能)。
  • リプレイ機能を利用してレースの模様を見返すことが出来る。リプレイファイルとして保存も可能。

下位カテゴリー

GPL開発陣は、初心者スキーヤーをいきなり上級者ゲレンデに置き去りにするような状況を避けるため、フォーミュラ・フォードと同等の入門カテゴリーからスタートし、F2を卒業した後にF1に乗れるような仕組みを予定していたが、出荷期限を守る為に盛り込まれなかった。その代わり、主に初心者の練習走行用として、各F1車の車体はそのままに、エンジン回転数やパワー、ギアの数、タイヤのグリップ力が抑えられたNovice Trainer(通称F3)とAdvanced Trainer(通称F2)が用意されている。全くの初心者であっても、F3、F2の順にマシンの限界がつかめるようになれば、自然とF1マシンの限界も把握しやすくなるよう配慮されている。ただし、F2マシンはそのグリップの低さから、初心者向けでないという考え方もあり、非初心者プレイヤー達によって、F2マシンによるオンラインレースリーグが行われる場合もある。なお、これらの車は通常、Trainingモードでのみ使用できるが、設定ファイルの内容を変える事で、その他のモードでレースを行うことも可能になる(Eagle Woman's Grand Prix Legends(英語)のFAQ、5.3項参照)。

運転操作

プレイヤーはステアリングアクセルブレーキクラッチ、シフトアップ、シフトダウンをコントローラに割り当て、車を操作する(本格的なコントローラを使用すれば実車のようなシフトレバーの操作や、足踏み式ペダルによるクラッチ操作が可能)。車内視点にはミラーが含まれるが、加えて視界を左右に振る操作が可能。

シフトチェンジ等におけるクラッチ操作はコンピュータが勝手に行うが、エンジン回転数の制御はプレイヤーが行う。アクセルを踏み続けたままでシフトアップを行うとエンジンが吹けすぎてエンジンブローの原因となる。シフトダウン時にはエンジン回転数を合わせなくてもギアが入ってしまうが、回転数が合っていないとシフトショックで車の挙動を乱す事もある。任意の時点でクラッチを切ることは可能である(スタート時に1速に入れて空吹かしを行う時など)。なお、エンジンストールは再現されていない。

ドライビングエイドとしてオートマチックシフト、アクセル、ブレーキの補助が利用可能だが、いずれも最高の性能を発揮できる様には作り込まれていない。スピードセンシティブステアリングレシオの利用も可能である。これはステアリングレシオを大きく設定した時(前輪の切れ角の範囲が狭まる)にもタイトなコーナー等を曲がりやすくするもので、96 km/h以下で速度低下に比例して段階的にステアレシオが小さくなる。

車の性格

デイヴィッド・ケイマーは次のように発言した。「1967年の実際のグランプリカーの運転は他のどの車よりも難しいと言える。そしてシミュレーションは実車の運転より難しい・・・多くの人は氷の上をドライビングするように感じるだろう。」

GPLマシンのドライビングの難しさの多くは物理モデルの正確さによるものとされ、実車のような加速度や重力を感じられない事はもちろん、車のグリップ力の低さが難易度を高めている。他のレースシミュレーション経験者や実際のモータースポーツ経験者は比較的早くGPLの運転に慣れる傾向がある一方、全くのレースシミュレーション初心者にとっては最初の段階から挫折の連続となる傾向がある。GPLはゲームと言うより、ある意味で、事実上スポーツである。GPLの本質は1967年当時のチャレンジングなサーキットでこれらのクラシックカーを運転するのに要求される技術に近いもので、レースドライビングの理論にかなった操作が要求されるのはもちろん、プレイヤーがこれらのマシンから最大限の性能を引き出す為には、精巧な楽器の演奏を学ぶ時のように、忍耐や集中力、軽やかでスムーズな操作が要求され、数か月、数年単位で気長に上達を目指す姿勢も求められる。

天候はドライコンディションに限られ、ウェットレースは行われない(ただし、アドオンコースとして、後付でウェットコースが追加可能である。)が、とにかく車の挙動はややスリッピーである。それは、1967年当時のF1グランプリマシンは、350馬力 (260 kW) を超える大きなパワーを持ち、約500 kg(1100ポンド)の軽い車体で、硬く細いバイアスタイヤを履き、全くダウンフォースが無かったからである。これらの要素により、F1の歴史の中でもいっそう危険性の高かったシーズンの一つとされている。一方、バーチャルレーサーは安全が保障され、シートを失う心配とも無縁ではある。

GPLの車の主な特性は、ブレーキング距離が比較的長くなる事、ロックやホイールスピンを起こしやすい事、サスペンションが柔らかい為に加減速時に荷重移動しやすく、4輪全てのグリップ力が変動し、ハンドリングも変化する事、大きなスリップアングルを持つ事、ヨー方向(垂直軸を中心にして回転する方向)の慣性モーメントと比較してグリップ力が低い事によるアンダーステアオーバーステアが発生しやすい事、路面の勾配変化によるグリップ力の増減やバランスの変化が顕著であり、時にはタイヤが4本とも完全に「離陸」する事、タイヤが冷えていたり摩擦熱で熱くなりすぎるとさらにタイヤのグリップ力が減る事、サスペンションが圧縮されバンプラバーに底付きしたり車体の底が路面を擦った際、急激にグリップ力が減る事等が挙げられる。

セッティングの数値の変化が車の挙動に及ぼす影響を詳しく理解することも必要になってくるが、幸いな事に、この問題をカバーするGPLのウェブサイトがいくつも存在する。

試行錯誤の末、プレイヤーがいったんこれらの車を正しく運転する方法を会得すると、非常にはっきりとした達成感が得られる。








固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「Grand Prix Legends」の関連用語

Grand Prix Legendsのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



Grand Prix Legendsのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのGrand Prix Legends (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS