絶対値
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/21 19:56 UTC 版)
絶対値函数
実数の絶対値が定める非負実数値函数 R ∋ x ↦ |x| ∈ R+ は至る所連続で、x = 0 を除き至る所微分可能[注釈 3]である。また、区間 (−∞,0] 上で単調減少であり、区間 [0,+∞) で単調増加である。各実数とその反数の絶対値は同じ値であるから、絶対値函数は偶函数であり、それゆえ逆函数を持たない。この実絶対値函数は区分線型凸函数である。また、冪等である。
- 符号函数 sign(x) を用いれば、|x| = x sign(x) と書ける。また x = |x| sign(x) であり、x ≠ 0 のとき sign(x) = x/|x| = |x|/x が成り立つ。
x ≠ 0 における導函数
は sign(x)(あるいは本質的にヘヴィサイドの階段関数[10][11])であり、定義可能な範囲 R ∖ {0} における連続函数であるが、x = 0 における値をどのように定めるとしても R 全体で連続な函数へ延長することは出来ない。
- x = 0 における |x| の劣微分係数は、区間 [−1,1] である[12]:31–32。
- |x| の x に関する二階導函数は x = 0 を除く至る所存在して零に等しい(x = 0 では存在しない)。しかし超函数微分の意味での二階導函数はディラックデルタの二倍に等しい。
また絶対値函数は任意区間で可積分であり、その原始函数が
で与えられることも右辺を微分することにより直ちに確かめられる。
注釈
- ^ オックスフォード英語辞典第2版の最も古い引用は1907年から。もちろん relative value(相対値)と対照を成す語としても absolute value(絶対値)は使われる
- ^ 例えば実数直線をxy-平面の x-軸と看做せば、任意の実数 x は点 (x, 0) で表され、0 は原点 (0, 0) に対応する。平面上の任意の点 (x, y) と原点とのユークリッド距離は √(x − 0)2 + (y − 0)2 = √x2 + y2 で与えられるから、x と 0 との距離はちょうど √x2 に等しい。
- ^ ただし、この微分可能性は複素微分可能を意味しない。つまり、複素変数の絶対値函数はコーシー–リーマンの方程式を満たさない[10]。
- ^ この公理系は極小ではない。実際、非負性は他の三つから出る: 0 = d(a, a) ≤ d(a, b) + d(b, a) = 2d(a, b).
出典
- ^ a b c d Oxford English Dictionary, Draft Revision, June 2008[要ページ番号]
- ^ Nahin, O'Connor and Robertson, and functions.Wolfram.com.; for the French sense, see Littré, 1877
- ^ Lazare Nicolas M. Carnot, Mémoire sur la relation qui existe entre les distances respectives de cinq point quelconques pris dans l'espace, p. 105, - Google ブックス。
- ^ James Mill Peirce, A Text-book of Analytic Geometry, p. 42, - Google ブックス
- ^ Higham, Nicholas J., Handbook of writing for the mathematical sciences, SIAM., ISBN 0-89871-420-6
- ^ Spivak, Michael (1965). Calculus on Manifolds. Boulder, CO: Westview. ISBN 0805390219
- ^ Munkres, James (1991). Analysis on Manifolds. Boulder, CO: Westview. ISBN 0201510359
- ^ Mendelson 2008, p. 2.
- ^ Stewart, James B. (2001). Calculus: concepts and contexts. Australia: Brooks/Cole. ISBN 0-534-37718-1
- ^ a b Weisstein, Eric W. "Absolute Value". MathWorld (英語).
- ^ Bartle & Sherbert 2011, p. 163.
- ^ Wriggers, Peter (1999), Panatiotopoulos, Panagiotis, ed., New Developments in Contact Problems, ISBN 3-211-83154-1
- ^ Hindry & Silverman 2000, p. 171.
- ^ たとえば Yann Bugeaud; Kálmán Győry (1996), “Bounds for the solutions of unit equations”, Acta Arithmetica 74: 67--80, MRMR1367579
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