粘液 用途

粘液

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/20 07:10 UTC 版)

用途

粘液は、生物の体表を物理・化学的に保護する障壁として働くほか、保水、捕食、物質輸送、感覚の補助など、状況に応じて多様な機能を持っている。

体表の保護
  • 無脊椎動物や魚類の体表は粘液に被われているものが多い。これは体表を物理的損傷から守る役割がある。ヌタウナギやクガビルは敵に捕まると大量の粘液を出す。また、アオブダイなどは睡眠に先立って口から粘液を吐き出し、寝袋を作ってこの中で眠る。
  • 動物のは消化液(胃液)とともに粘液を分泌し、消化液から自身を保護するための胃粘液バリアを形成している。
  • 植物の、特に先端部分はムシゲルと呼ばれる粘液性の物質で覆われていることがある。これは根の表皮細胞から分泌された粘液や土壌中の微生物などからなる複合体で、根を保護するだけでなく、特殊な物質代謝の場になっていると考えられている。
保水
  • ナメクジカタツムリなどの体表の粘液は水の蒸散を抑える役割も担っている。カタツムリが休眠する場合、殻の口に粘膜で膜を作って蓋をする。
摂食・捕獲
物質輸送
  • 多くの陸上動物の気道には粘液(気道粘液)の層があり、線毛の動きによって体外に向かって常に移動している。鼻や口から気道に入り込んだ異物はこの粘液層によって絡め取られ、ベルトコンベアのように輸送されて排除される。この粘液が外に出たものがである。
感覚の補助
動物の五感のうち、味覚嗅覚は、生物が特定の化学物質を受容する事で成立する感覚である。
  • 味覚においては、味覚受容体細胞が化学物質を受容する仲介として粘液が利用される。ヒトの場合は唾液を湿潤に保ち、溶存物質の拡散を媒介して味覚を補助している。唾液の分泌量が低下して口腔乾燥症に陥ると、虫歯歯周病の増加と共に味覚障害が現れる。
  • ヒトでは嗅覚は味覚ほど粘液の補助を必要としないが、いわゆる鼻水が鼻粘膜の保護を担っている。
  • ヘビやトカゲのような爬虫類では、口腔内に存在する鋤鼻器が嗅覚の主体である。ヘビやオオトカゲが頻繁に舌を出入りさせるのは、舌に吸着した化学物質をここへ渡し、臭いとして認識する為である。
被輸送手段としての粘着

乾燥したものを使う

粘液そのものではなく、それが乾燥したものを用いる場合もある。カタツムリの殻に粘液膜で蓋をする場合や、肺魚が泥をかためて乾期にこもるを作る例などがこれにあたる。クモやイモムシなどの出す糸もこれに近い。

粘液と泡

粘液の中に気泡ができると、水面に出ないで内部にとどまる。また、を長期に維持する効果もある。これを利用する例もあり、たとえばモリアオガエルなどアオガエル類は粘液で作った泡の中に卵を産む。ベタのように水中に泡巣を作る例もある。




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