粘液
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/20 07:10 UTC 版)
用途
粘液は、生物の体表を物理・化学的に保護する障壁として働くほか、保水、捕食、物質輸送、感覚の補助など、状況に応じて多様な機能を持っている。
- 体表の保護
- 摂食・捕獲
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- オオヘビガイは固着性の巻き貝であるが、口から粘液を出して網のように広げ、これに付着するデトリタスなどを食べる。デトリタス食者には、鰓のようなものを広げ、その表面に粘液を分泌し、そこにデトリタスを吸着させて食べるという繊毛粘液摂食という方法が普通に見られる。クモは網に粘液が付いており、これに附着した昆虫を食べる。
- 口から粘液を発射して捕まえるというのもある。クモ類のユカタヤマシログモ、カギムシなどがこれを行う。
- カメレオンやアリクイは舌を伸ばしてえさをとるが、この際、舌の表面の粘液で獲物をくっつけている。食虫植物のモウセンゴケやムシトリスミレでは、葉の表面に粘液を出し、虫を吸着して捕らえる。ムシトリナデシコやモチツツジでも花茎などに粘液の出る部分があり、虫を吸着するが、これはむしろ花に加害する虫を吸着して花を守る働きと考えられる。
- 物質輸送
乾燥したものを使う
粘液そのものではなく、それが乾燥したものを用いる場合もある。カタツムリの殻に粘液膜で蓋をする場合や、肺魚が泥をかためて乾期にこもる繭を作る例などがこれにあたる。クモやイモムシなどの出す糸もこれに近い。
粘液と泡
粘液の中に気泡ができると、水面に出ないで内部にとどまる。また、泡を長期に維持する効果もある。これを利用する例もあり、たとえばモリアオガエルなどアオガエル類は粘液で作った泡の中に卵を産む。ベタのように水中に泡巣を作る例もある。
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