確率変動 解説

確率変動

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/11 13:21 UTC 版)

解説

風営法に基づいた『遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則』(以下「規則」と呼ぶ)では「作動確率の値のうち低いものから高いものへの変動」と記されている。

確変が搭載された機種では、大当たり確率や小当たり確率の設定が高確率と低確率のそれぞれ最大2種類ずつ存在し、通常は低確率の状態に設定されている。その代わり、大当たりの抽選と同時に確変の抽選を行い、これに当選すると大当たり終了後に高確率状態へ移行して大当たり確率や小当たり確率が上昇する。この高確率状態への移行確変と呼ぶ(規則で記されているように、逆に高確率状態から低確率状態へ移行することを確変と呼ぶことはない)。高確率状態は次の大当たりの当選まで継続し、事実上次の大当たりを約束するというシステム(ループ式)になっているのが一般的であるが、機種によっては一定の回転数を消化したり、始動口(スタートチャッカー)の入賞毎に行っている転落抽選に当選した時点で高確率状態が終了するものもあり、このシステムを導入している機種では次回の大当たりが保証されるわけではない。

低確率時の大当たり確率は概ね200前後 - 319.7分の1程度に設定されている機種が多いが、100分の1程度に設定されている(これらは『遊パチ』と呼ばれる)機種も多い。日工組内規では大当たり確率は1996年に初めて下限が360分の1と設定され長らくそれが続いたが、2004年の規則改正で下限が500分の1まで大きく下げられたことで、改正直後から「CRフィーバー大ヤマト」などで大当たり確率500分の1近い機種が登場した。ただ、射幸性が強くなる懸念から翌2005年には下限が再び400分の1に引き上げられ、暫くはこの状況が続いた。ただ、再び「のめりこみ」等を懸念する声が強まったことを受け、2015年4月に日本遊技機工業組合が「のめり込み対策に関わる申合せ」を発表し(事実上の遊技機内規変更)、2015年11月以降にホールに設置する機種においては大当たり確率の下限が320分の1に引き上げられた。また併せて、2016年5月以降にホールに設置する機種においては、確変継続率の上限が65%(非高射幸性機は除く)に定められた。その後2019年2月の日工組内規にて確変突入・継続率の上限が削除され、2022年現在、確変の突入・継続率に対する直接の制限はなくなっている。

確変突入後の高確率時の大当たり確率は、規則により最大で低確率時の10倍までの上昇が認められている。大当たり確率は10 - 50分の1程度に設定されている機種が多いが、STを採用している機種では100分の1を超えるものもある。なお、小当たりの確変に関しては、規則でも特に上限が設けられていない。

確変に当選した大当たりは確変大当たりといい、当選しなかった大当たりは通常大当たりという。トータル大当たりのうち、何%を確変大当たりが占めるのかを表した数値を確変割合という。日工組内規により、パチンコ台の四隅のいずれか(右上か右下が多い)に、低確率時の大当たり確率やその確変割合、リミット(後述)などが記載されている。

確変に当選したか否かは、大当たり時に揃った図柄によって画面(液晶画面等)で判別できるのが一般的で、揃えば確変確定となる図柄は確変図柄と呼ばれる。それ以外の図柄は通常図柄と呼ばれていたが、現在は大当たりラウンド中などの演出によって確変を告知する事により、揃っても通常大当たりが確定する訳ではないという意味合いから、チャンス図柄という呼称が用いられている[注釈 1]。このうち、確変図柄は図柄や数字が赤色や金色で表示されている場合が多い。ただし、三洋の『海物語シリーズ』のように色分けされていない機種も存在する。

  • ほとんどの機種は「7」が最上位(確変や最高ラウンドが確定する図柄)で、次いで「3」、「5」、「1」(および「9」)、偶数という序列で構成されており、基本的に奇数の方が格上に設定されている。逆に「4」は偶数の中でも格下に設定されることがある[注釈 2]
    • 近年の機種では「7」でリーチがかかると激アツ(大当たりする確率が非常に高い)、もしくは大当たり濃厚としているものが多い。この流れを作ったのは『ぱちんこCR北斗の拳』シリーズからとされている[1]
  • 現在の機種ではほぼ見かけないが、「10」「11」「12」などといった2桁の数字や、数字以外の文字[注釈 3]、絵柄が揃うと確変という機種、「7」を通常図柄[注釈 4]やチャンス図柄[注釈 5]とした機種も存在する。また、近年は「通常時から上位のモードへ直行する可能性がある」機種において、通常時に「7」が揃っても直接上位のモードへ移行するとは限らないケースが多い[注釈 6]
  • 機種によっては通常図柄やチャンス図柄揃い後、図柄を変化させる演出が発生する場合がある。これを再抽選演出という。ただこれはあくまでも演出であり、実際に"再"抽選が行われている訳ではないこちらも参照)。現在は図柄だけでは判断できず、実際には確変大当たりなのだが一旦はチャンス図柄で当選させておいて大当たりラウンド中の演出によって確変を告知する機種が多い。また、高確率状態である事を告知しない機種も存在する(後述)。

確変を用いて連荘させるこのシステムは、現在流通しているほとんどの機種に採用されているが、この確変が有名になったのは西陣の『CR花満開』、平和の『CR黄門ちゃま2』、大一商会の『CRバトルヒーローV』からである。


注釈

  1. ^ 西陣の『CRラッキートマトZ』(大当たり時にデジタル上部の役物が回転し、トマトで停止した場合のみ確変)、Daiichiの『CR寛平笑劇場』(大当たり時にデジタル内の間寛平が回転し、正面を向いて停止した場合のみ確変)、京楽産業の『夢幻伝説』(大当たり終了後のおみくじで「三」か「七」を引くと、次回以降の大当たりで 「二」・「四」・「六」・「八」を引くまで小当たりのみ確変)のように、全ての図柄をチャンス図柄とした機種も存在する。
  2. ^ 高尾の「P弾球黙示録カイジ沼4」(「超沼RUSH」中は「4」が揃った時のみ通常大当たりの可能性あり)、西陣の『P刀使ノ巫女』(「大荒魂討伐モード」中は「4」以外が揃えば継続確定)など。
  3. ^ 例えば京楽産業.の『CRぱちんこ必殺仕事人』シリーズ(『IV』まで)では、「三」「五」「七」「仕」「事」「人」で大当たりすると確変確定となる。
  4. ^ 西陣の『あんたはエライEX』(「係長」「課長」「部長」「専務」「社長」のいずれかで大当たりした場合のみ、以後2回の大当たりまで小当たりのみ確変)、SANYOの『CRフィーバーピンボール』(アルファベットの「J」「F」「L」「P」「A」で大当たりした場合のみ、以後2回の大当たりまで確変)など。中には豊丸産業の『CR竜凰伝説』(「壱」「参」「伍」が確変図柄のみなのに対し、「七」「竜」「王」には確変図柄と通常図柄の両方がある)といった変わり種もあった。
  5. ^ 西陣の『CR豪血寺一族』(「豪」で大当たりした場合のみ確変確定)、SANKYOの『CRF革命機ヴァルヴレイヴ』(「V」で大当たりした場合のみ確変確定)など。
  6. ^ SANKYOの『戦姫絶唱シンフォギア』シリーズ(『2』まで)、ビスティの『Pコードギアス 反逆のルルーシュ』、平和の『P戦国乙女 LEGEND BATTLE』など。
  7. ^ 主に0.5秒程度×2回以上。2回以上開くのは、現在の日工組内規では『大当たりは特別電動役物が2回以上開くこと』と定められているため。ちなみにこの間に大入賞口に玉が入れば、規定の払い出しを受けられる。
  8. ^ 参考に、2016年12月から導入された「CRエヴァンゲリオン11〜いま、目覚めの時〜」(スロパチまとめ解析)では突然確変が搭載されている。
  9. ^ かつては7セグ1ツないし2ツを組み合わせて表示させることが多かったが、現在の機種では直径1 - 2mm程度の小さなランプを多数配置して表示パターンを複雑化させているケースが多い。

出典

  1. ^ 日刊スポーツ大阪本社版、2017年3月1日付11面「パチンコ ドン・キホーテ」
  2. ^ a b 谷村ひとし著「誰がパチンコをダメにしたのか?」(ワニブックス|PLUS|新書)ISBN 978-4-8470-6568-2 p.21
  3. ^ CR JAWS〜It's a SHARK PANIC〜製品サイト
  4. ^ パチンコ規制「確変継続率上限65%」の内容・実施スケジュール詳細(※追記有り)”. パチンコプラス (2015年9月18日). 2015年10月21日閲覧。






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