清少納言 清女伝説

清少納言

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/09 03:40 UTC 版)

清女伝説

清少納言(菊池容斎画、明治時代)

鎌倉時代に書かれた評論書『無名草子』には係累もなく乳母子について田舎に下り、みすぼらしい姿で過去を懐かしんでいたという話、説話集『古事談』には、すっかり壊れてしまった清少納言邸の前を牛車で通りかかった公達が「清少納言もずいぶん落ちぶれたものだ」と漏らすと、鬼のような尼姿となった清少納言が「駿馬の骨を買う者はいないのか」と「戦国策」を踏まえて切り返したという記事(第2臣節56「零落したる清少納言秀句の事」)や、兄の致信が討たれた際、僧形であったため巻き添えにされそうになり陰部を示し女性であることを証明したという話(第2臣節57「清少納言開を出だす事」)など、落魄説話が掲載されるようになった。

角田文衛は定子の遺児脩子内親王、定子の弟である隆家、所生の子女である則長や小馬、出仕時に交流を持っていた藤原斉信や藤原行成、藤原公任などが健在であった以上、老残の状態を放置され零落したとは到底考えられないと断じている[8]

また全国各地に清少納言が訪れたという伝説がある。鎌倉時代中期頃に成立したと見られる『松島日記』と題する紀行文が清少納言の著書であると信じられた時代もあったが、江戸時代には本居宣長が『玉勝間』において偽書と断定している。

伝墓所

  • 天塚徳島県鳴門市里浦町里浦坂田) - 比丘尼の姿で阿波里浦に漂着し、その後辱めを受けんとし自らの陰部をえぐり投げつけ姿を消し[22]、尼塚という供養塔を建てたという[23]
  • 清塚(香川県琴平金刀比羅神社大門) - 清塚という清少納言が夢に死亡地を示した「清少納言夢告げの碑」がある。
  • 京都市中京区新京極桜ノ町 - 風流と情愛にのみ生きて仏道を顧みることがなかったが、ある時訪れた誓願寺において発心を起こし出家、庵を結び内裏よりの出仕の要請も断り仏事に専念して往生を遂げたという。

注釈

  1. ^ 異本による。流布本では31首。
  2. ^ ただし定子ではなく一条天皇とのやり取りとする錯誤がある

出典

  1. ^ 渡邉美希 2022, p. 46.
  2. ^ 渡邉美希 2022, p. 33.
  3. ^ a b 榊原邦彦 1973, p. 21.
  4. ^ 角田文衞「清少納言の女房名」『王朝の明暗』東京堂出版、1975年
  5. ^ 枕草子研究会編集『枕草子大事典』勉誠出版、2001年
  6. ^ 岸上慎二『清少納言伝記攷』畝傍書房、1943年
  7. ^ 鈴木弘道 1986, p. 111-110.
  8. ^ a b c 角田文衛「清少納言の生涯」(『王朝の映像』東京堂出版、1970年)
  9. ^ a b 木村祐子 2017, p. 66-67.
  10. ^ 尊卑分脈
  11. ^ 角田文衛「清少納言の生涯」(『王朝の映像』東京堂出版、1970年)
  12. ^ 角田文衛「晩年の清少納言」(『王朝の映像』東京堂出版、1970年)390-430頁
  13. ^ 『御堂関白記』
  14. ^ 森公章 2017, p. 9-10.
  15. ^ 枕草子研究会 2001, p. 160.
  16. ^ 後藤祥子 (2019). “清少納言の居宅ー『公任卿集』注釈余滴”. 平安文学の謎解き-物語・日記・和歌 風間書房. 
  17. ^ 萩谷朴「清少納言の晩年と「月の輪」」(『日本文学研究』 20号、1981年2月)
  18. ^ 『勅撰作者部類』
  19. ^ a b 鈴木弘道 1986, p. 108.
  20. ^ 鈴木弘道 1986, p. 103.
  21. ^ 清少納言の歌碑”. 京都より愛をこめて. 2024年1月17日閲覧。
  22. ^ 青山一浪「阿波の尼塚」『旅と伝説』第7巻第2号、三元社、1934年2月1日、39-40頁、doi:10.11501/1483540 
  23. ^ 清少納言の墓所(天塚堂)”. 徳島鳴門 観音寺. 2020年3月16日閲覧。
  24. ^ 藤本宗利 2017, p. 4.
  25. ^ 藤本宗利 2017, p. 9.
  26. ^ 藤本宗利 2017, p. 15.
  27. ^ a b 藤本宗利 2017, p. 1.
  28. ^ 物集高量 1922, p. 661.
  29. ^ 宮崎莊平 2009, p. 11.
  30. ^ 宮崎莊平 2009, p. 74.
  31. ^ 宮崎莊平 2009, p. 62.
  32. ^ 有働裕 2016, p. 41.
  33. ^ 赤間恵津子 2003, p. 3.
  34. ^ 藤本宗利 2017, p. 2-3.
  35. ^ 藤本宗利 2017, p. 1-2.
  36. ^ 藤本宗利 2017, p. 2.






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