文豪 文豪ミニ5文書ディスクタイプ

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/14 17:19 UTC 版)

文豪ミニ5文書ディスクタイプ

ミニ5無印から5HDまでの機種では、文書ディスクタイプ1と呼ばれる、CP/Mベースの文書ディスクにバイナリ形式で記録されていた。5R以降の機種からは、システムのほとんどがMS-DOS化されたため、ディスクタイプ2と呼ばれるMS-DOSベースの文書ディスクにバイナリ形式で記録されるのが標準となった。

OS(CP/M、MS-DOS)の起動方法

文豪ミニ5シリーズはCP/M[注釈 8]、文豪ミニ7シリーズではMS-DOS互換の独自OS[5] 上にて動作しており、一部機種ではCP/MやMS-DOSを動作させることで“パソコンとして使用”することができた。ユーザーの間ではそのための“隠しコマンド”やパッチなどが研究され、ディスプレイプリンター・通信機能などを内蔵した当時稀有なオールインワンのコンピュータとしても愛用された。当時、開発部門ではCP/Mパソコンとしての使用を推奨していたが、営業・販促部門がこの使用方法を公開することはなかった[6]

文豪ミニ5シリーズ

文豪ミニ5シリーズでは、[拡張1]と[制御]キーを押しながら電源を入れることで、CP/M-80コマンドプロンプトを起動することができた(後述)。5RX(1990年10月)以降の機種ではこの隠しコマンドは廃止され、かつCP/Mの起動可能な5R/5RD/5RGでは、本体添付の補助フロッピーにて一度本体の初期化を行わなければ、CP/Mが起動しない。

5G(V20 CPU)以降の本体ROM内にはMS-DOS Ver.2.11のIO.SYSの大部分がフロッピーディスクおよび文書ファイルの互換目的で格納されていたため、不足部分を補いメモリ上に再配置することでMS-DOSマシンにもなった。これらのOS上では本来のワープロ機能用のFEPや漢字ROMを利用することもでき、ワープロ機能と汎用OSとの間をウォームブートで自由に往来できるまでにハッキングされた。月刊誌『パソコンワールド(PCW)』誌上で様々な情報提供や活用記事を執筆していた北南昇(ペンネーム)の功績が大きい。

文豪ミニ7シリーズ

内蔵のMS-DOS互換独自OSを使う方法

文豪ミニ7シリーズではMS-DOS Ver.2.11互換の独自OSが使用されていた。当然コマンドプロンプトなどはユーザーが直接操作できない形になっていたが、起動用システムディスクにあたる「編集フロッピー」の内容をPC-9800シリーズのMS-DOS上でCOMMAND.COMが起動するように書き換えることでMS-DOSマシンとして利用することができた。ただし、この方法ではANSIエスケープシーケンスの利用や日本語入力ができないなどの欠点があり、便利な環境とはいえなかった。

肱陽塾のパッチを当てる方法

PC-9800シリーズ用MS-DOSのシステムディスクに愛媛県の学習塾である肱陽塾(こうようじゅく)[注釈 9] が販売していたパッチを当てることで、文豪ミニ7シリーズ用のMS-DOSシステムディスクを作成することができた。MS-DOS汎用のソフトウェアである、LHarc(LHAの前身)や PKZIPなどのユーティリティのほか、MS-C 5.10やTurbo Pascal Ver.3といった開発環境も、文豪ミニ7シリーズのMS-DOS上で動作した。

これらの環境によって、文豪ミニ7シリーズ上でもソフトウェアの開発が可能となり、ミニ7専用のソフトウェアも多数制作・公開された。このパッチでは、ANSIエスケープシーケンスが実装され、日本語入力に関してはワープロ機能用として内蔵されているFEPを呼び出すことができた。また、MS-DOS上から内蔵のプリンタを使用するためのプリンタドライバも付属していた。

ハードウェア面でも解析が進められ、SCSIインタフェース製作して外部ハードディスクなどを増設することも可能であった。

隠しコマンド・機能

他にも文豪ミニ5シリーズには、取扱説明書には記載されていない数々の隠しコマンドや機能が存在した[7]

  • CP/Mの起動
    [拡張1]+[シフト]+電源オン
  • CP/Mの起動(内蔵RAMをドライブA:とする)
    [変換]+[無変換]+電源オン
  • CP/Mの起動(内蔵FDDをカレントドライブとする)
    [シフト]+[制御]+電源オン
  • CP/Mの起動(TEST.COMを自動実行)
    [シフト]+[制御]+電源オン
  • CP/Mの起動(ROMより1000:セグメントRAMに展開される60.5K CP/M)
    [拡張1]+[制御]キー+電源オン
  • アプリケーションモードで起動
    [拡張1]+[拡張2]キー[注釈 10]+電源オン。MS-DOSフロッピーディスク内の「IPL.COM」が実行される[注釈 11]。ただし、文豪ミニ5R以降の「絵カード作成」機能搭載機種では、[拡張1]キーと[範囲指定]キーにより文書作成画面から「補助フロッピーディスク」内のMS-DOSアプリケーション、「MKCARD.OVL」が呼び出せるため、“IPL.COM”を“MKCARD.OVL”にリネームすることにより、電源を一度オフにしなくとも、市販のアプリケーション等が実行できた。また、5SX以降の機種では新たに電源オン時にメニュー画面が追加され、「オプション」からアプリケーションを実行することができた(OPTION.XX[XXは機種名]が実行される)。
  • デモデータを作成
    [変換]+[制御]+電源オン
  • デモを実行
    [変換]+[拡張1]+電源オン
  • デモ用画面の出力
    [拡張1]+[印刷]+電源オン
  • 画面を反転表示にする
    編集画面にて[制御]+[シフト]+[D]キー
  • 画面のハードコピーをプリンタに出力する
    [制御]+[複写]キー
  • 画像作成機能では、ミニ5ディスクタイプ2・ディスクタイプ1に記録された文豪専用形式の画像データ以外にも、MS-DOSフォーマットのフロッピーディスクに記録された汎用のベタ画像形式(拡張子:.R1.G1.B1.E1)などの読み出しが可能であった。
  • ワープロ機能からも、MS-DOSの他、CP/Mフォーマットのフロッピーディスクの読み書きに対応[注釈 12] していた。
  • ディスクタイプ2のフロッピーディスク内にPC-9800シリーズのMS-DOSなどを用いて「DSKNAME.SYS」という名前のファイルを作成すると、文豪ワープロのシステムに対してソフトウェア的なライトプロテクトをかけることができる[注釈 13]
  • ディスクタイプ2のフロッピーディスクをMS-DOSとして操作する方法 - MS-DOSフォーマットのフロッピーディスクをセットし、読出・書込などのコマンドを選択、ファイル一覧が表示されたら、ディスクアクセスランプが点灯していないことを確認し、タイプ2のフロッピーディスクに差し替える。その後先頭のファイル名を選択すると「ディレクトリを[MINI5]に変更しますか?」と表示され、タイプ2をMS-DOSフォーマットとして認識しファイル操作が可能[注釈 14] となる。

注釈

  1. ^ 製品カタログ、オプション対応表、文豪新聞、文豪アプリケーション情報、販売促進マニュアルなど。
  2. ^ 消耗品に関してもすでに店頭販売は終了しているが、NECでは現在も対応しており、一部機種のインクリボン等の購入は可能となっている。
  3. ^ 文豪ミニシリーズに関して、1988年10月発売の文豪ミニ7HGより、ロゴタイプデザインが小文字から、大文字をモチーフとしたものに一新されたが(「文豪mini」→「文豪MINI」)、本項では発売当時のカタログ本文中における公式の活字表記に準じて片仮名表記とする。
  4. ^ 98文豪DP(PC-9821Xe10/SD, PC-9821Xa7/D, PC-9821Xa12/D)
  5. ^ PC-9821V13/S5 model G3
  6. ^ マウスの接続にはオプションのRS-232Cインタフェースボードが必要。
  7. ^ NECからはこれらの情報をまとめた「文豪アプリケーション情報」というパンフレットなども発行・配布された。
  8. ^ 文豪ミニ5シリーズ本体底面、CRTモデルでは背面に、ラベルまたは刻印にて“CP/M CONTAINED WITHIN THE 文豪mini5○○ IS USED UNDER LICENSE FROM DRI. COPYRIGHT (C) DRI. 1982. ALL RIGHTS RESERVED.”と記載あり。
  9. ^ のちの「肱陽ソフトウェアサービス」。
  10. ^ 機種によっては[機能1]+[機能2]キー。
  11. ^ 本来、店頭デモ用として販売店に対してNECが配布していた「デモンストレーションプログラム」(店頭用オートデモ)などを起動するための機能であったが、後にサードパーティーよりこの機能を利用して動作させるアプリケーションソフトが発売された。
  12. ^ ディスクタイプ2はMS-DOS、タイプ1はCP/Mフォーマットがベースとなっていた。
  13. ^ 文豪本体添付の「補助フロッピーディスク」などは誤って初期化されることをこの方法により防いでいる。
  14. ^ ただし、文豪システム上からのディレクトリ作成、隠しファイル属性のファイル操作などは不可能。

出典

  1. ^ ASCII 1982年9月号, p. 119.
  2. ^ a b ASCII 1982年9月号, p. 117.
  3. ^ 文華5SV - コンピュータ博物館
  4. ^ A200プレスリリース
  5. ^ 『蘇るPC-9801伝説 永久保存版 第2弾』(アスキー刊)
  6. ^ 「NEC技報」より。
  7. ^ PC-VAN文豪ユーザー倶楽部SIG(jBUNGO)およびパソコンワールド(PCW)誌より。


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