指数表記 正規化

指数表記

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/21 15:26 UTC 版)

正規化

指数表記において、仮数mを 1 ≦ m < 10 となるような表記にすることを正規化と呼ぶ(Normalized numberも参照)。次の例では、左辺を正規化したものが右辺である。

  • 267.8948 × 1011 = 2.678 948 × 1013 

1 ≦ m < 1000 となるように表記することもある。

  • 1.716 742 × 1020 = 171.6742 × 1018 (指数を3の倍数となるようにする。)

正規形

JIS X 0210-1986(情報交換用文字列による数値表現)においては、上記のように正規化したものを「通常の表記法」としているのに対して、0.1 ≦ m < 1 となるような m を用いた表現を「正規形」と定義している[8]

  • 例:正規形 :+0.61902E+04

これは 0.61902×104、すなわち 6190.2 または 6.1902×103 と同一である。

使用

陽子の質量は、0.00000000000000000000000000167262192369 kg であり、電子の質量は、0.00000000000000000000000000000091093837015 kg である。このような通常の表記では、両者の質量の比較が非常にしにくい。これに対して、指数表記であれば、前者は 1.67262192369×10^−27 kg であり、後者は 9.1093837015×10^−31 kg となって比較が容易であり、また陽子の質量が電子のそれの約1836倍( 1.67262192369×10^−27 kg / 9.1093837015×10^−31 kg )であることも容易に計算できる。このため、科学技術分野においては数値の表記として指数表記が極めて頻繁に用いられる。

地球の質量は、5972000000000000000000000 kgである[9]。指数表記では、5.972×1024 kgとなる。

3の倍数の指数部

工学の分野では、指数部 n の値として、3, 6, 9, 12, 15, −3, −6, −9, −12 など 3 の倍数を用いることが多い。これはSI接頭語は103毎の倍数となっているものを使用することが推奨される(SI接頭語#使用法)ため、換算が容易であるからである。

例(NISTのSI使用ガイドによる)[10]

  • 3.3 × 107 Hz   → 33 × 106 Hz = 33 MHz
  • 0.009 52 g  → 9.52 × 10−3 g = 9.52 mg
  • 2703 W    → 2.703 × 103 W = 2.703 kW
  • 5.8 × 10−8 m  → 58 × 10−9 m = 58 nm

指数表記にしない例

定義定数そのものを表記する場合は次の例のように、指数表記にしないことが多い。

  • 例:光速度 299792458 m/s[11] (2.99792458×10^8 m/s とはしない。)
  • 例:天文単位 (au) 149597870700 m[12]1.49597870700×10^11 m とはしない。)

リュードベリ定数のように、慣例的に指数表記にしない物理定数もある。

日本の命数法の場合

日本語の命数法では、日常的に用いられる数の単位はおよそまでであり、その先にもなどの単位があるが、京以上の数については指数表記を用いるのが普通である。例えば3162年なら3162×100007年などと表記する。

指数表記以外の表記

多くの現実的な目的においては、非常に大きな数を表すのに指数表記が一般的に用いられるが、モーザー数グラハム数などのように、指数表記を用いるのが事実上不可能なほどの巨大な数を扱う場合には、超階乗クヌースの矢印表記コンウェイのチェーン表記などが用いられる(巨大数#巨大数の表記法を参照)。


  1. ^ 数値の科学的表記 分析室の屋根裏、弘前大学、2021-01-29
  2. ^ 科学的表記法 (scientific notation) KIT物理ナビゲーション、金沢工業大学
  3. ^ 国際単位系(SI)第9版(2019)日本語版 産業技術総合研究所 計量標準総合センター、p.119
  4. ^ 実例として、国際単位系 (SI) 国際文書第8版(2006) 日本語版 p. 38 表7(SI単位で表される数値が実験的に求められる非SI単位)中、時間の自然単位、長さの原子単位.ボーア(ボーア半径)0.5291772108 (18)×10^−10 m
  5. ^ JIS X0210-1986 情報交換用文字列による数値表現
  6. ^ JIS X0210-1986 情報交換用文字列による数値表現、7.1,7.2 、p.4
  7. ^ 国際単位系(SI)第9版(2019)日本語版 産業技術総合研究所 計量標準総合センター、p.116
  8. ^ JIS X0210-1986 情報交換用文字列による数値表現、7.5 、p.5
  9. ^ 理科年表2020年版 天文部 p.78
  10. ^ Guide for the Use of the International System of Units (SI), 2008 Edition 7.9 Choosing SI prefixes, pp.18-19, NIST
  11. ^ 光速度 CODATA 2014
  12. ^ 理科年表2020、p.377、2019年11月20日発行
  13. ^ [1] CODATA Value 2018
  14. ^ [2] CODATA Value 2018


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