戦艦ポチョムキン
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フィルムの散逸と復元
本作のオリジナル・ネガは、スターリン時代に政治的理由でカットされており、海外で公開された版も多くのシーンがカットされたため、完全なオリジナルは散逸してしまった。
1976年、ソ連映画関係者の努力により世界中に散らばったポジ・プリントから復元版が再構成された。この版はショスタコーヴィチの交響曲からとった音楽がつけられたため、通称「ショスタコーヴィチ版」と呼ばれる。しかし、その後ドイツの作曲家エドムント・マイゼルがドイツ公開(1926年)の際に作曲したスコアが発見され、もともとマイゼルへの作曲依頼者がソビエト側であることや、エイゼンシュテイン本人も伴奏音楽として優れていると認めていたことから、こちらの版の復元が進み、2005年には元ミュンヘン映画博物館館長エンノ・パタラスの指揮によりこの「マイゼル版」の復元版が完成した。復元マイゼル版では、当時のドイツ公開版にならい、戦艦のマストに掲げられた旗が手彩色作業により赤旗になっている。
オデッサの階段
この映画で最も印象的とされるのは「オデッサの階段」といわれる約6分間の場面で、「映画史上最も有名な6分間」といわれる。特に撃たれた母親の手を離れた乳母車が階段を落ちていくシーンは、ブライアン・デ・パルマ監督の『アンタッチャブル』などの映画でも引用されている。だが史実によると「オデッサの階段での虐殺事件」というものは存在しない。
階段シーンのオマージュ、パロディがある映画など
- 映画『未来世紀ブラジル』
- 映画『アンタッチャブル』
- 映画『ウディ・アレンのバナナ』
- 日本の漫画『1ポンドの福音』
- 日本のテレビドラマ『古代少女隊ドグーンV』第7話「妖怪 こんにちは青ちゃん 登場」
- 日本のテレビドラマ『TAKE FIVE〜俺たちは愛を盗めるか〜』第3話
- 日本のテレビドラマ『明日の光をつかめ』シーズン1 第40話
- 映画『13日の金曜日』 PART2
- アメリカのテレビドラマ『超能力ファミリー サンダーマン』第13話 「発生! ニューパワー」
- 漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』
- 絵画『映画『戦艦ポチョムキン』の中の保母のための習作』
評価
ランキング
- 「映画史上最高の作品ベストテン」(英国映画協会『Sight&Sound』誌発表)※10年毎に選出
- 1958年:「世界映画史上の傑作12選」(ブリュッセル万国博覧会発表)第1位
- 2000年:「20世紀の映画リスト」(米『ヴィレッジ・ヴォイス』紙発表)第79位
- 2008年:「史上最高の映画100本」(仏『カイエ・デュ・シネマ』誌発表)第36位
- 2010年:「史上最高の外国語映画100本」(英『エンパイア』誌発表)第3位
- 2010年:「エッセンシャル100」(トロント国際映画祭発表)第13位
以下は日本でのランキング
- 1980年:「外国映画史上ベストテン(キネ旬戦後復刊800号記念)」(キネマ旬報発表)第12位
- 1988年:「大アンケートによる洋画ベスト150」(文藝春秋発表)第10位
- 1989年:「外国映画史上ベストテン(キネ旬戦後復刊1000号記念)」(キネ旬発表)第19位
- 1995年:「オールタイムベストテン・世界映画編」(キネ旬発表)第6位
- 1999年:「映画人が選ぶオールタイムベスト100・外国映画編(キネ旬創刊80周年記念)」(キネ旬発表)第18位
- ^ ここまでロシア映画社アーカイブス
- ^ 戦艦ポチョムキン - Movie Walker
- ^ 森下明彦「映像文化の創出:京都「記録映画を見る会」の活動を振り返る 第1部:見たい映画を見る:初中期の自主上映活動とその頂点としての『戦艦ポチョムキン』上映」2008年、神戸芸術工科大学、2009年4月1日閲覧
- 1 戦艦ポチョムキンとは
- 2 戦艦ポチョムキンの概要
- 3 フィルムの散逸と復元
- 4 その他
固有名詞の分類
映画作品 |
花嫁借用 ミラクルワールド ブッシュマン3 戦艦ポチョムキン 囁きの木蔭 無問題2 |
ソビエト連邦の映画作品 |
ベルリン陥落 エルベ河の邂逅 SOS北極... 赤いテント デルス・ウザーラ 戦艦ポチョムキン |
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