成蹊中学校・高等学校 国際教育

成蹊中学校・高等学校

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/13 13:51 UTC 版)

国際教育

10スクールと呼ばれる米国の名門ボーディングスクール(全寮制の寄宿学校)3校への留学プログラムなど多数の国際交流がある。

長期留学・短期留学
1856年創設のアメリカ屈指の全寮制私立学校であるセント・ポールズ・スクールニューハンプシャー州コンコード市)は、日本では成蹊高校とだけ交換留学制度を設けている。戦前にジョセフ・グルー駐日米国大使私設秘書官を務めた人物の発案であった。1949年から成蹊高校から毎年1名の留学生を派遣し、1976年からはセントポールズ校からの留学生を受け入れている。35周年に当たる1984年に、安倍晋太郎外務大臣から両校交流を通じた日米親善関係促進に対する感謝状が送られた。基本的に1年の留学プログラムで、成蹊を退学して留学し、多くの場合は現地校に2年以上在学し卒業するが復学も可能。成蹊OBの槇原稔有馬龍夫清水義明などは同校出身で、多くの留学生は帰国せずに、そのままハーバード大学プリンストン大学などの海外の大学に進んでいる。成蹊学園が実施する留学プログラムの中で最難関である。
1890年創設のアメリカ屈指の全寮制私立学校であるチョート・ローズマリー・ホール(チョート校)へは、2015年よりサマープログラムの派遣、2016年より長期留学生の派遣を開始した。サマープログラムは6月末からで、それぞれ選択したコースと科目を受けながら、5週間のプログラムに参加する。サマープログラムでは、2015年の第1回、2016年の第2回とも5名を派遣した。留学期間はチョートに申請し、審査の上で延長可能。
1781年創設のアメリカ屈指の全寮制私立学校であるフィリップス・エクセター・アカデミー(エクセター校)で日本語を学ぶ高校生が、成蹊中高生の家庭にホームステイしながら本校に通い交流を深める。2016年6月には現地校7名の生徒が来日し、成蹊中高での2週間のサマースクールを経験した。また、同年9月から11月の秋学期(日本の2学期)の約2ヶ月半、同校の5名の生徒が来日し、ホームステイ留学を経験した。2016年から、成蹊高校生が同校のサマースクールで5週間学ぶ奨学制度が創設された。
オーストラリアニューサウスウェールズ州カウラ市にある公立高校で、1970年から1年間の交換留学(留学費用はカウラ側が負担する)を行っている。第二次世界大戦中、カウラ郊外に存在した捕虜収容所が存在し、日本兵捕虜の集団脱走事件が発生した(カウラ事件)。戦後カウラ市長の提案を受け成蹊高等学校間で日豪友好交換留学プログラムが発足し、2020年度で50周年を迎えた。2003年から2年に1度実施の短期留学(ホームステイプログラム)も実施している。
世界屈指の名門ケンブリッジ大学を構成する31のカレッジの中で3番目に古い1347年創立のペンブルック・カレッジが特別に運営するサマースクールで、加藤節成蹊大学名誉教授)の個人的な繋がりによって始まり、2006年より短期留学制度を開始した。夏休みに3週間、ケンブリッジ大学のスタッフが運営するプログラムに基づいて行われる。成蹊学園創設者のひとり三菱財閥総帥・岩崎小弥太も1905年度の本カレッジ卒業生である。参加費は約76万円(奨学金制度あり)。
春休み中の2週間、ホームステイ先からカリフォルニア大学デービス校(UCD)に通い、「英語とキャリア教育」を中心に学び、英語でのプレゼン力も鍛える。途中1日かけてスタンフォード大学サンフランシスコを訪問する。サクラメント市のフードバンクでのボランティア活動や地元デービス高校生との交流なども実施。2015年の第2回は生徒31名、2016年の第3回は生徒29名が参加した。
デンマークコペンハーゲン郊外の私立学校・ルンステッド高校は同国で唯一、日本語の授業がある学校。同校の国際教育の一環で、世界各国を訪問するプログラムがあり、日本短期訪問グループはそのうちの2泊3日を成蹊中高でのホームステイ交流に充てている。また、2016年からは10月のほぼ一カ月をホームステイ先から通学する短期留学制度が始まった。2017年夏からは、成蹊生も同校でのホームステイ体験とスウェーデンのカルマル市にある私立高CISでのホームステイ体験の相互交流を開始する。
スウェーデン南部のバルト海に臨むカルマル市にある、私立学校カルマーレ国際高校では日本語を学ぶコースがある。同校は生徒たちを世界中の姉妹校に派遣しているが、成蹊中高との間に2015年に繋がりができた。そして2016年には同校から3名の生徒が成蹊中高でホームステイプログラムで一カ月滞在した。2017年より夏期派遣を行う。
米国マサチューセッツ州ディアフィールド市にある名門全寮制男子中学校が実施するアジアの中学生向けの2週間プログラム。日本では成蹊・開成・早稲田・慶應などの生徒が対象。普段は男子校ながら、通常のサマースクール(米国内および世界各国から参加する7月プログラム)は女子生徒も多数参加し、日本の夏休みに入ってから行われるこのプログラムも男女共学で実施される。生徒3名につき1名の割合で教員がついて指導にあたる。ハーバード大学MIT訪問やキャンプなどの校外学習もあり、英語でのプレゼンが課される。
国内プログラム
  • プレエンパワーメント・プログラム、エンパワーメント・プログラム
2014年導入の通学型「校内留学」プログラムで、プレエンパワーメントは中学生、エンパワーメントは高校生。カリフォルニア大学スタンフォード大学の大学生・院生が生徒宅にホームステイしながら生徒5~6名ごとに1人ついて英語で進めるキャリアパスプログラム。期間は7月中旬の5日間と短いが、基本的にはカリフォルニア大学デービス校プログラムの国内版となっている。
校内の国際交流
  • 長期(1年間)留学生の受け入れ
オーストラリアのカウラ高校、カウラジュニア(元カウラ高校からの留学生の子供)、アメリカのセントポールズスクール、AFS、YFU財団を通して世界中から毎年数名の留学生を受け入れている。
  • 短期留学生の受け入れ
アメリカのフィリップス・エクセター・アカデミーからサマー生として夏期2週間、またターム生として秋に3ヵ月間、留学生を受け入れている。ターム生は成蹊の生徒のために、海外大学進学のSAT/ACTレクチャーやチャットルームを開くこともある。またカウラ高校、スウェーデンのカルマーレ高校、デンマークのルンステッド高校などの生徒が定期的に来校している。

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