密教 「密教」のその他の用法

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密教

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/04 15:35 UTC 版)

「密教」のその他の用法

密教という言葉を秘密宗教として広義に捉え、神秘的な宗教の総称として用いる場合もある[3]。たとえば、ユダヤ人の神智学的伝統であるカバラユダヤの密教と表現する場合がある(秘教も参照のこと)。秘密の儀礼(密儀)を旨とする古代地中海地域の諸宗教(オルフェウス教ミトラス教など)の総称としては、一般に密儀宗教(みつぎしゅうきょう)が用いられる[注 8]

明治以降、真言密教・修験道の気合術を医療技術に活かした浜口熊嶽、武術に活かした大東流合気柔術の創始者武田惣角がいる。明治20年代、武田が修行した合気法はヨーガ・チャクラの呼吸で、『武田惣角一代記』に空海の念力護摩が3回も紹介されている。

脚注

注釈

  1. ^ ここでいう秘密とは、衆生の側に不利を与えないように如来によって隠され、衆生の理解に応じて開示される秘密である[1]。平安時代の僧侶空海は『弁顕密二経論』において、「秘密という言葉には、二つの意味がある。それは衆生の秘密と如来の秘密であって、衆生の秘密は自秘ともいう」と記している。
  2. ^ ※アビダルマは「毘曇部」
  3. ^ 空海が詩文集『性霊集』で「それ曼荼羅の深法、諸仏の秘印は、談説に時あり、流伝は機にとどまる。恵果大師が、伝授の方法を説きたまえり。末葉に、伝うる者敢えて三昧耶戒に違反してはならないと。与奪は我(空海)が意志に非ず、密教の教えを得るか否かはきみの情(こころ)にかかれり。ただ、手を握りて印を結んで、誓いを立てて契約し、口に伝えて、心に授けるのみ。」と述べている。
  4. ^ 意味は「瓶から瓶へ水を漏らさず移しかえたようだ」となる。
  5. ^ 大日如来を中心とした五仏(五智如来)。
  6. ^ 密教という潮流にあっても、当時のインド仏教界では伝統的な部派仏教のひとつである正量部の勢力が強かったという見解もある。
  7. ^ 戒律復興に勤めたために、密教の阿闍梨としてより、戒律を授ける律師の名で呼ばれる。出身地の九州では、北島雪山(1636–1697)や秋山玉山(1702–1764)と共に肥後三筆に数えられ、数多くの書の作品を残している。
  8. ^ たとえば『図説古代密儀宗教』[38]

出典

  1. ^ 松長 1991, p. 67.
  2. ^ 中村元三枝充悳『バウッダ: 佛教』小学館〈小学館ライブラリー〉、1996年(原著1987年)、394頁。ISBN 4-09-460080-9OCLC 36736393 
  3. ^ a b 中村 元、福永光司、田村芳朗、今野 達、末木文美士 編『岩波 仏教辞典』(第二版)岩波書店、2002年、964頁。ISBN 4-00-080205-4OCLC 676070259 
  4. ^ 顕教・密教・修験道”. www.tendai-jimon.jp. 天台寺門宗. 2021年7月1日閲覧。
  5. ^ 「こんごうじょう【金剛乗】」- 大辞林 第三版、三省堂。
  6. ^ 宮坂宥勝監修 『空海コレクション 1』 筑摩書房〈ちくま学芸文庫〉、p. 412
  7. ^ 中村元三枝充悳『バウッダ: 佛教』小学館〈小学館ライブラリー〉、1996年(原著1987年)、395頁。ISBN 4-09-460080-9OCLC 36736393 
  8. ^ 松長 1972, p. 22.
  9. ^ 松長 1972, pp. 19–23.
  10. ^ 立川武蔵『聖なるもの 俗なるもの』講談社〈講談社選書メチエ〉、pp. 175–176
  11. ^ 金剛 - 大正新脩大蔵経テキストデータベース。
  12. ^ 菩提樹 金剛座、大正新脩大蔵経テキストデータベース。
  13. ^ 「宝座」『岩波 仏教辞典』岩波書店、1989年、724頁。ISBN 4-00-080072-8OCLC 22380606 
  14. ^ 金剛乗 - 大正新脩大蔵経テキストデータベース。
  15. ^ 中村 元、福永光司、田村芳朗、今野 達、末木文美士 編「金剛乗」『岩波 仏教辞典』(第二版)岩波書店、2002年10月、351頁。ISBN 4-00-080205-4OCLC 676070259 
  16. ^ 『宗教学事典』丸善出版、2010年、615頁。 
  17. ^ 爾時婆伽婆。在舎衛国祇樹給孤独園。時有六群比丘尼。誦種種雑呪術。或支節呪、或刹利呪、鬼呪、吉凶呪、或習転鹿輪卜、或習解知音声。(…)若比丘尼誦習世俗呪術者波逸提。(…)世俗呪術者、支節乃至解知音声也。比丘尼誦習世俗呪術乃至音声、若口受若執文誦、説而了了波逸提、不了了突吉羅、比丘突吉羅、式叉摩那沙弥沙弥尼突吉羅、是謂為犯。不犯者、若誦治腹内虫病呪、若誦治宿食不消呪、若学書若誦世俗降伏外道呪、若誦治毒呪以護身故無犯。「もし比丘・(比丘)尼が世俗の呪術を習い誦すならば、波逸提罪である。世俗の呪術とは、支節呪、刹利呪、鬼呪、吉凶呪、転鹿輪卜呪、解知音声(など)を言う。比丘・(比丘)尼にして、(これらの)世俗の呪術や、乃至は音声を習って、もし口にし、(それらの教えを)受け、もし、文執して誦えるならば、説き終われば波羅提罪となり、説き終わらなければ突吉羅罪となる。比丘が突吉羅(の罪に当るもの)は、式叉摩那や沙弥・沙弥尼は(同じく)突吉羅罪となり、(所)謂(いわゆる)是(これら)を(罪を)犯すと為す。(…)(戒律を)犯すことが無いものとは(以下の場合を言う)。もし、腹の中の虫の病(を鎮める)呪(を唱える者)。もし、宿食(食べたもの)が不消(化の場合に消化する)呪(を唱える者)。もし、書を学ぶ(暗記するための呪を唱える者)。もし、世俗(において)外道を降伏(ごうぶく:調伏する)呪を誦える(者)。もし、毒を治(癒する)呪(を唱える者)。これらは、(すべて)護身のためであるゆえに、(戒律を)犯すことは無い。」(『四分律』・巻二十七)
  18. ^ 爾時有迦羅比丘尼、先是外道、棄捨経律阿毘曇、誦読種種呪術。是中有比丘尼、少欲知足行頭陀。聞是事心不喜。種種因縁呵責。云何名比丘尼。棄捨経律阿毘曇。誦読種種呪術。種種因縁呵已向仏広説。仏以是事集二部僧。知而故問迦羅比丘尼、汝 実作是事不。答言、実作世尊。仏以種種因縁呵責(…)種種因縁訶已語諸比丘、(…)若比丘尼読誦種種呪術波逸提。波逸提者、焼煮覆障。若不悔過能障礙道、是中犯者。若比丘尼読誦種種呪術、若是偈説、偈偈波逸提。若是章説、章章波逸提。若別句説、句句波逸提。不犯者、若読誦治歯呪・腹痛呪・治毒呪、若為守護安隠不犯。「その時、迦羅(カーラ)比丘尼という(名前の者が)有り。是(この比丘尼は)、先(以前)に外道であり、(仏教の出家であるにも関わらず)経・律・アビダルマを捨てて、種々の呪術を読み誦えていた。また、比丘尼の中に少欲知足であり頭陀行を行じている比丘尼がいた。(彼女は)この事を聞いて心喜ばず、種々の因縁をもって、(迦羅比丘尼を)呵責した。ここで云う(ところの)以前には外道であり、経・律・アビダルマを捨てて、種々の呪術を誦読する比丘尼は、種々の因縁について呵責され終わると、仏(の住する処)に向かい、詳細に(事情を)説明した。仏はこのことを以って(比丘と比丘尼からなる)二部のサンガを集めて、(ことの次第を)知った(上で)迦羅比丘尼に(皆の前で再び)問われた。汝(なんじ)は本当にこのような事を為したか、為さなかったか、と。(迦羅比丘尼は)答えて言った、世尊よ(私は)本当に(このようなことを)為しました、と。仏は種々の因縁をもって(迦羅比丘尼を)呵責した。(…)(仏は)種々の因縁をもって叱った。(そして)諸々の比丘に語った。(…)(それゆえに)もし、比丘(・比丘)尼が種々の呪術を読み誦えるならば、波逸提罪である。波逸提(罪)とは、(比丘や比丘尼の身を)焼き、煮る(がごとき苦しみを伴い)、(仏道修行においてその身を)覆う障害となる。もし、懺悔することなく、障礙の道(を歩むものは)、是(これ)を(比丘・比丘尼の)中にあって(罪を)犯す者とする。もし、(比丘・)比丘尼にして種々の呪術を読み祷えるならば、是(これ)偈を説える場合は偈波逸提罪とし、是(これ文)章を説える場合は(文)章波逸提罪とし、別に句を説える場合は句波逸提罪とする。(…)(戒律を)犯すことが無い(者)とは(以下の場合を言う)。もし、歯(を)治(療する)呪(を唱える者)。腹痛(を鎮める)呪(を唱える者)。毒(を)治(癒する)呪(を唱える者)。もしくは、(その身を)守護し、安隠(を得る)ために(呪を)誦読するならば、(戒律を)犯すことは無い。」(『十誦律』・巻四十六)
  19. ^ 大乗経典『梵網経』について:女犯とその原因となる全ての行為を禁止する戒については、『梵網菩薩戒経』(四季社)、pp. 25–27と、『梵網経』(大蔵出版)、pp. 88–89。酒の売買の原因となる全ての行為を禁止する戒については、『梵網菩薩戒経』(四季社)、pp. 30–31と、『梵網経』(大蔵出版)、pp. 99–100。殺生とその原因となる全ての行為を禁止する戒については、『梵網菩薩戒経』(四季社)、pp. 21–23と、『梵網経』(大蔵出版)、pp. 75–76を参照のこと。これらを含む「十重禁戒」に違反すると、大乗戒壇円頓戒)における波羅夷罪となる。
  20. ^ 平川彰『インド仏教史 下』春秋社、pp. 310–315
  21. ^ 平川彰『インド仏教史 下』春秋社、p. 316
  22. ^ 『密教の理論と実践 講座密教第1巻』春秋社、1978年、pp. 42–43
  23. ^ 慈経 - 日本テーラワーダ仏教協会[リンク切れ]
  24. ^ 8章 仏教における殺しと救い
  25. ^ 平川彰『インド仏教史 下』春秋社、p. 317
  26. ^ 佐藤 任『密教の秘密の扉を開く: アーユルヴェーダの秘鍵』出帆新社、1997年。ISBN 4-915497-25-9OCLC 122976395 
  27. ^ 松長有慶 編著『インド後期密教(上)』、pp. 166–169。
  28. ^ 津田真一「タントリズム瞥見」(『反密教学』所収)
  29. ^ 田中公明『性と死の密教』春秋社、pp. 59–60
  30. ^ 田中公明『図説 チベット密教』春秋社、pp. 25–26
  31. ^ 立川武蔵『密教の思想』吉川弘文館〈歴史文化ライブラリー〉、1998年、pp. 168–173
  32. ^ 学研『実践 四大功法のすべて』理論編、p. 106
  33. ^ a b 『密教の理論と実践 講座密教第1巻』、春秋社、1978年、p. 62
  34. ^ 立川武蔵『密教の思想』吉川弘文館〈歴史文化ライブラリー〉、1998年、p. 183
  35. ^ 立川武蔵・頼富本宏編『シリーズ密教第3巻 中国密教』春秋社 p. 196
  36. ^ 田中公明『図説 チベット密教』春秋社、p. 6
  37. ^ 頼富本宏『密教とマンダラ』〈NHKライブラリー〉2003年4月、[要ページ番号]頁。ISBN 4-14-084161-3OCLC 167764854 
  38. ^ ジョスリン・ゴドウィン 著、吉村正和 訳『図説古代密儀宗教』平凡社、1995年、[要ページ番号]頁。ISBN 4-582-70711-4OCLC 675059390 

参考文献

  • 『曼荼羅の研究』全2巻、石田尚豊著、東京美術刊、昭和50年〔1975年〕。
  • 『中国密教史』全3巻、呂建福著、空庭書苑有限公司刊。
  • 西蔵仏教宗義研究 第3巻「トゥカン『一切宗義』ニンマ派の章」、平松敏雄著、東洋文庫刊。
  • 『古密教 日本密教の胎動』(特別展 図録)、奈良国立博物館編・刊、2005年。
  • 『寛平法皇御作次第集成』、武内孝善著、東方出版刊、1997年。
  • 『唐大和上東征伝』、堀池春峰解説、東大寺刊、昭和39年〔1964年〕。
  • 『現代語訳一切経2: 智者大師別伝・不空三蔵行状・唐大和上東征伝』、福原隆善頼富本宏・冨佐宣長訳、大東出版社刊、1997年。
  • 『弘法大師空海と唐代密教』、静慈圓編、法蔵館刊、2005年。
  • 『インド後期密教(上)』、松長有慶 編著、春秋社刊、2005年。
  • 『曹洞宗日課諸経全集』、大八木興文堂刊、昭和48年〔1973年〕再版。
  • 『初心の修行者の戒律-訳註「教誡律儀」-』(中川善教師校訂「教誡新学比丘行護律儀」)、浅井證善著、高野山出版社刊、平成22年〔2010年〕。
  • 「郷土文化叢書4 『豪潮律師の研究』」、宇野廉太郎 著、日本談義社、昭和28年(1953年)刊。
  • 『豪潮律師遺墨集-永逝150年遠忌出版』(限定版)、石田豪澄著、日貿出版社刊、昭和57年〔1982年〕。
  • 『真言密教霊雲寺派関係文献解題』、三好龍肝編著、国書刊行会刊、昭和51年〔1976年〕。
  • 『普通真言蔵』(全2冊)、淨厳原著、稲谷祐宣編著、東方出版刊、昭和61年〔1986年〕。
  • 『戒律思想の研究』、佐々木教悟編、平楽寺書店刊、昭和56年(1981年)。
  • 『梵網菩薩戒経』、株式会社 四季社、2002年刊。
  • 『梵網経』、石田瑞麿著、大蔵出版、新版2002年刊。
  • 『歴史春秋92』「武田惣角は大東流合気柔術の創始者」 池月映著 会津史学会編 歴史春秋社 2021年
  • 松長有慶 (1972). “大乗思想の儀軌化”. 密教文化 1972 (98). https://doi.org/10.11168/jeb1947.1972.19 2021年7月1日閲覧。. 
  • 松長有慶『密教』岩波新書、1991年7月19日。ISBN 4-00-430179-3 



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