千葉県立中央博物館 調査研究

千葉県立中央博物館

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/27 13:23 UTC 版)

調査研究

1992年(平成4年)には「房総の生物相の起源を調査すること」を目的として北マリアナ諸島へ調査団を派遣し[10]、新種の動植物を多数発見して房総との関連を裏付ける資料を得るなどの成果を得た[11]。また、同年には当館の研究員が日本産のハネカクシに1000の新種が存在することを明らかにしたほか[12]2008年(平成20年)には当館の館学芸員の朝倉彰がアジア人としては初めて国際甲殻類学会会長に選ばれる[13]など研究活動が展示と並行して進められている。そのほか、「分類学の父」とされるカール・フォン・リンネの直筆の学位論文などの資料5,397点を1993年(平成5年)に購入して収蔵し[14]、それらを用いて翌年の1994年(平成6年)10月から「リンネと博物学」展を開催する[15]など資料の収集や研究を展覧会などに反映させている[注釈 2]

施設

  • 施設概要
    • 設計者 : 日本設計
    • 敷地面積 : 13,178平方メートル
    • 延床面積 : 15,253平方メートル
    • 所在地 : 千葉県千葉市中央区青葉町955-2
    • 受賞歴 : 第2回千葉市優秀建築賞(平成元年度)[16]

館内

骨格標本「体長約10mのマッコウクジラ雌」(館内展示)

1階

  • 講堂
  • 研修室
  • 学習情報センター
  • 閲覧コーナー

2階

  • 受付
  • 房総の地学展示室
  • 房総の生物展示室
  • 海洋展示室
  • 生物の分類展示室
  • 小動物展示室
  • 房総の歴史展示室
  • 自然と人間のかかわり展示室
  • 体験学習室
  • 企画展示室
  • ミュージアムショップ
  • 軽食喫茶「あおば」(閉店)

生態園

生態園(せいたいえん)は、生物の自然の中での暮らしぶり(生態)を展示する野外博物館[17]1987年昭和62年)から1989年平成元年)に整備工事がおこなわれ、都市の中にあって自然と触れあえる所として千葉県の代表的な自然を再現しており、様々な動植物を身近に観察することができる[18]。面積は約6.6ヘクタールである[19]。当館研究員による観察会が頻繁に行われ、園内の見所をまとめた出版物も各種用意されている[20]

生態園は大きく植物群落園、生態実験園、植物分類園、舟田池からなり、案内所としてオリエンテーションハウス、野鳥観察舎が設けられている。

植物群落園

「南総の自然(南房総)」と「北総の自然(北総台地)」という2つの部分からなる。

生態実験園・植物分類園

生き物の生態や自然のしくみを明らかにするための野外実験を公開している。土や水、温度が生き物にあたえる影響や、魚と水質との関係などを調べている。植物分類園では、ブナ科クスノキ科の植物を全国から集め紹介している。ブナ科,クスノキ科は千葉県の森林をつくる代表的なグループで、スダジイ、コナラ、クリなどのブナ科、タブノキシロダモクロモジなどのクスノキ科が集められている[21]

舟田池

江戸時代より前からあるため池を整備した広さ1ヘクタールほどのV字型の池。野鳥などの生息地となり、コガモマガモなどの貴重な越冬地点となっている。池の岸辺には野鳥観察舎が設けられ、備え付けの望遠鏡などを使用した野鳥の観察場所となっている。また、バードガイドが野鳥の見分け方や生態についての説明をおこなっている[22]

分館

1999年(平成11年)3月12日に分館として勝浦市海の博物館が開館[23]。同様に山の分館も計画。また千葉県の県立博物館の再編によって、2006年(平成18年)には香取市の県立大利根博物館が中央博物館大利根分館に、夷隅郡大多喜町の県立総南博物館が中央博物館大多喜城分館に改組された。房総の山のフィールド・ミュージアムは千葉県立清和県民の森の自然や文化を資料や展示物と考える博物館活動となっている[24]

なお、大多喜城分館については、2021年12月27日から長期休館となる[25]。千葉県と大多喜町は2021年12月9日に大多喜城分館の施設を町に移譲することで合意しており、将来的に町営の博物館に移行することになっている[25]


注釈

  1. ^ a b 1989年(平成元年)2月7日から一般公開[3]
  2. ^ 当館の「リンネと博物学」展を生物学者でもある当時の天皇が皇后と共に観覧した。

出典

  1. ^ a b “夏休みに訪ねたい県都の文化施設 6 県立中央博物館 房総の自然や歴史紹介”. 千葉日報 (千葉日報社): p. 12. (2004年8月12日) 
  2. ^ a b “歴史、風土、自然の今昔ひと目で 千葉県立中央博物館 きょう開館”. 千葉日報 (千葉日報社): pp. 5-7. (1989年2月6日) 
  3. ^ “房総の自然詳しく紹介 「県立中央博物館」 きょうから一般公開”. 千葉日報 (千葉日報社): p. 1. (1989年2月7日) 
  4. ^ 常設展示 - 千葉県立中央博物館”. www2.chiba-muse.or.jp. 2019年11月22日閲覧。
  5. ^ トピックス展「チバニアン正式決定!」 - 千葉県立中央博物館”. www2.chiba-muse.or.jp. 2022年2月27日閲覧。
  6. ^ デジタル・ミュージアム「中央博資料百選」”. www.chiba-muse.or.jp. 2019年2月6日閲覧。
  7. ^ “新しい顔 “目玉”は「生態園」 県立中央博物館初代館長 沼田真氏”. 千葉日報 (千葉日報社): p. 1. (1989年1月16日) 
  8. ^ a b “新館長に千原氏 県立中央博物館”. 千葉日報 (千葉日報社): p. [要ページ番号]. (1998年4月4日) 
  9. ^ これにより千葉県内では「沼田記念館」などと揶揄されている[誰?]
  10. ^ “忙人寸語”. 千葉日報 (千葉日報社): p. 1. (1992年5月5日) 
  11. ^ “北マリアナ諸島調査団 新種の動植物多数発見 房総との関連明らか”. 千葉日報 (千葉日報社): p. 19. (1992年7月8日) 
  12. ^ “日本産ハネカクシ 1000の新種が判明 千葉・中央博物館直海研究員”. 朝日新聞 (朝日新聞社): p. 11. (1992年8月25日) 
  13. ^ “アジア人初 国際甲殻類学会次期会長に 県中央博物館学芸員 朝倉彰さん(50) 「国際化促進」へ意欲 来秋東京大会、準備に奔走”. 千葉日報 (千葉日報社): p. 14. (2008年7月21日) 
  14. ^ “スウェーデンの生物学者 リンネの資料、県が購入 学位論文など5397点”. 毎日新聞 (毎日新聞社): p. 19. (1993年1月19日) 
  15. ^ “博物分類学の父 リンネ 国内初のコレクション展 県立中央博物館”. 千葉日報 (千葉日報社): p. 12. (1994年10月2日) 
  16. ^ 第2回千葉市優秀建築賞(平成元年度、1989年度)” (PDF). 千葉市. 2019年11月22日閲覧。
  17. ^ “新しい顔 “目玉”は「生態園」 県立中央博物館初代館長 沼田真氏”. 千葉日報 (千葉日報社): p. 1. (1989年1月16日) 
  18. ^ “房総の代表的な森や草地を再現 中央博物館 6月に生態園が完成”. 千葉日報 (千葉日報社): p. 12. (1990年1月6日) 
  19. ^ 千葉県立中央博物館『豊饒の房総』千葉県立中央博物館、2015年3月1日、p55頁。 
  20. ^ 千葉県立中央博物館 -生態園-”. www.chiba-muse.or.jp. 2019年10月10日閲覧。
  21. ^ 生態園 生態実験園・植物分類園”. www.chiba-muse.or.jp. 2019年10月10日閲覧。
  22. ^ 生態園 舟田池”. www.chiba-muse.or.jp. 2019年10月10日閲覧。
  23. ^ “体験で房総の海学ぼう 勝浦 海の博物館 きょうオープン 開館式典に200人”. 千葉日報 (千葉日報社): p. 15. (1999年3月12日) 
  24. ^ 房総の山のフィールド・ミュージアム - 千葉県立中央博物館”. www2.chiba-muse.or.jp. 2019年10月11日閲覧。
  25. ^ a b 大多喜城分館リニューアルへ 県立博物館→町に移譲 5年後めどに耐震工事”. 東京新聞. 2021年12月18日閲覧。
  26. ^ 青葉の森公園 & 中央博物館 - バリアフリーマップ -”. barrier-free-map.com. 2019年2月25日閲覧。


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