九曜 ラーフとケートゥ

九曜

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/16 09:15 UTC 版)

ラーフとケートゥ

月の交点黄道白道交点)のうち昇交点がラーフ、降交点がケートゥである。シャニ、ラーフ、ケートゥは凶兆の星とされ、南インドの寺院ではよく祀られた。

月の交点は、日食月食に深く関係する。そのため神話化されインド神話バラモン教の聖典「ヴェーダ」では、乳海攪拌の時不老不死霊薬であるアムリタを盗み飲んだがスーリヤ(太陽神)とチャンドラ(月神)の告げ口でヴィシュヌチャクラムで首を切られたアスラであった。アムリタを飲んだ首が不死のラーフ、胴体がケートゥという星となった。ラーフは太陽と月を飲み込むが胴体がないのですぐに太陽と月は現れてしまい、これが日食・月食になる。

ラーフ(羅睺)は転じて「障害をなすもの」の意味で、ラーフラ(Rāhula)(羅睺羅、らごら)として釈迦が息子に名づけたといわれる。

日本への影響

土曜(聖観音)、水曜(弥勒)、木曜(薬師)、火曜(虚空蔵)、金曜(阿弥陀)、月曜(勢至)、日曜(千手観音)、計都(釈迦)、羅睺(不動明王)の9つの星を「九曜曼荼羅」として信仰した。平安時代には交通安全に霊験があるとして車文に多く使用された[1]

羅睺星は平安時代神仏習合の際、日食を引き起こしたスサノオと結び付けられ災いを引き起こす天体と考えられた。また、羅睺星を祭り上げる場合は黄幡神として道祖神のように奉られる。

ちなみに土曜から日曜は「七曜」(北斗七星)といい、また土曜から金曜の5星より五行説が表れたとされる[1]

家紋

家紋の「星紋」の図案ともなり、木曾氏をはじめ中央の星を八星が囲む九曜紋が満月の意味を持つ望月氏によって用いられた。ほか、『見聞諸家紋』には、千葉氏荒尾氏、宿久氏、溝杭氏が載る。ほかに『寛政重修諸家譜』には青山氏戸田氏三宅氏佐久間氏伊達氏相馬氏細川氏保科氏などが載る。

保科氏は「角九曜」で、同一族の会津松平家家臣の西郷氏(保科氏の分家)にも使用が許されている。細川氏は、延享4(1747)年の細川宗孝殺害事件以降に図案が変更され、「離れ九曜(細川九曜)」が用いられた(板倉勝該を参照)。伊達氏仙台藩主家)は伊達政宗の代から用いる。宮城県マスコットキャラクターの「むすび丸」の兜にも、九曜紋が描かれている。相馬氏中村藩主家)の九曜は桓武平氏千葉氏族の流れであることと、妙見信仰に由来するものである。

脚注

[脚注の使い方]

  1. ^ a b 高澤等著『家紋の事典』東京堂出版 2008年


「九曜」の続きの解説一覧



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「九曜」の関連用語

九曜のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



九曜のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの九曜 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS