ホンダ・オデッセイ 初代 RA1/2/3/4/5型(1994年 - 1999年)

ホンダ・オデッセイ

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初代 RA1/2/3/4/5型(1994年 - 1999年)

ホンダ・オデッセイ(初代)
RA1/2/3/4/5型
前面(豪州仕様、初期型)
後面(豪州仕様、初期型)
概要
別名 欧州 : ホンダ・シャトル(初代)
いすゞ・オアシス
製造国 日本
販売期間 1994年10月 - 1999年12月
デザイン 岩倉信弥
ボディ
乗車定員 6 - 7名
ボディタイプ 5ドア ミニバン
駆動方式 前輪駆動 / 四輪駆動
パワートレイン
エンジン F22B型:2.2L 直4 SOHC
F23A型:2.3L 直4 SOHC VTEC
J30A型:3.0L V6 SOHC VTEC
変速機 4速AT
サスペンション
サス前 ダブルウィッシュボーン
サス後 ダブルウィッシュボーン
車両寸法
ホイールベース 2,830mm
全長 4,750mm
全幅 1,770mm
全高 1,645-1,660mm
車両重量 1,470-1,610kg
その他
販売終了前月までの新車登録台数の累計 43万3028台[1]
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1994年10月20日に発表された(発売は翌10月21日)。

発売当初の月販目標台数は4,000台程度と控え目であったが、当時のミニバンとしては低めの全高や、アコード譲りの4輪ダブルウィッシュボーンによる走行性能、多人数乗り車=ワンボックスカーという世間の常識を覆したことにより予想外の大ヒットとなり、後に生産ラインが増強された[注 1]シフトレバーは、コラムシフトを採用し、前席から後席へのウォークスルーを可能にしていた。

エンジンはF22B型のみの設定で、アコードに設定されていたVTEC仕様は後のマイナーチェンジの際に採用された。トランスミッションは「プロスマテック(TYPE II)」と呼ばれる4速ATが搭載された。増加した車重に対して最終減速比を高めたためエンジン回転数は若干高めであり、以後のモデルに対して燃費が劣る。

初期型モデルでは、ホンダの同排気量クラスの車としては珍しくタコメーターが標準装備されなかったため、発売開始から半年後にはホンダアクセスによる純正アクセサリーとして用意された[注 2]。グレード体系は「B」・「S」・「L」の3グレードで、「B」は7人乗り仕様のみ、「S」と「L」は6人乗り仕様と7人乗り仕様が選べる。

それまで、排気量2L以上の3ナンバー普通自動車クラスの販売台数では、長年の首位を維持していたトヨタ・クラウンを抜き去り、1995年には、12万5,590台の販売台数を記録。1994年には日本カー・オブ・ザ・イヤーの特別賞を、1995年にはRJCカー・オブ・ザ・イヤーを受賞した。ヒットを後押ししたのはハード面だけでなく、当時、映画化された『アダムスファミリー』の出演者を総動員した販売戦略としてのソフト面での成功もある。

初代は北米や欧州でも発売されたが(欧州では「シャトル」という名前で販売)、アメリカ人の感覚では「(日本国内では大きいとされる3ナンバー車で、2.2Lエンジンが搭載されていても)小さい、狭い、非力」と判断され、よりパワフルなV6エンジン搭載モデルの登場を挟んで、ラグレイトが北米仕様の2代目オデッセイとなり、独自の進化を遂げている。また、欧州市場ではディーゼルエンジン車とマニュアルトランスミッション車の設定が無かったことが災いし、販売は振るわなかった。

日本国内では、日の丸自動車グループの日の丸リムジンがワゴンタクシーとして採用したほか(現在は2012年秋から4代目が採用されている)、北米では(現地のタクシーとしては)小排気量で非力だが燃費が良く荷物が積めて効率性に優れるとして、いすゞ自動車にOEM供給されたオアシスと併せてニューヨークイエローキャブに採用されていた。

1996年1月
一部改良。シフトレバーの形状を改善し、セカンド/サードシート上をガラストップとした「サンシャインルーフ」のオプション設定や、最上級モデル「エクスクルーシブ」が追加された。
1996年9月2日
マイナーチェンジを発表(販売は翌9月3日)。「L」はアルミホイールをメッシュタイプに変更、「S」をベースにオートエアコン、ルーフレール、プライバシーガラス、1列目シートのアームレストを装備した「M」の追加、両席エアバッグABSの標準装備化、コラムシフトの操作感改良、ハザードスイッチ位置の移設などが行われる。カーナビゲーションVICS対応型に改良された。同時に、停車時に2名が就寝できるFRP製のポップアップルーフを装着した「フィールドデッキ」が設定された(「S」・「M」の2グレードのみ)。なお、「M」の追加に伴い最廉価グレードの「B」を廃止した。
1997年8月22日
マイナーチェンジ。エンジンを2.3LのF23A型に変更し、フロントグリルのフェイスリフトを実施。この他、全グレードでタコメーター付の新メーターパネルが採用され、「M」と「L」には外気温表示機能付トリップメーターも追加されたほか、電波式キーレスエントリーも標準装備された。さらに、ロアスカート(フロント・リア)や高輝度タイプ専用アルミホイール、ボディ同色のドアハンドルやサイドプロテクターなどを採用した「Sキット」をメーカーオプションとして設定。同時に「エクスクルーシブ」は廃止された。
1997年10月2日
3.0L・V型6気筒エンジンの「J30A型」を搭載した「プレステージ」が新たに追加。FF車のみで、グレードは「VG」と「VZ」の2つからなる。エンジンの搭載位置の関係で2.3L仕様よりボンネットの傾斜がややきついのが特徴。
1997年12月15日
「M」をベースに、エアロパーツ、ボディ同色グリル・ドアアウターハンドル・リアガーニッシュ、ダークグレーの専用シート地とドアライニング、ブラックタイプの木目調パネルや革巻きステアリングホイールなどを装備した特別仕様車「エアロスピリット」を発表(販売は1998年1月4日)。ボディカラーは新色を含む4色が設定される。
1998年5月25日
プレステージ「VZ」をベースに、専用アルミホイール、ルーフサイドガーニッシュ&サイドシル、ブラウン系の専用内装を施した特別仕様車「リミテッド」を発表。
1998年11月26日
新グレードとして、「M」をベースに専用アルミホイール、ライトブラウン木目調のインパネ、クロームメッキ調のインナードアハンドル、ブラウンのシート地を採用した「ファインスピリット」、プレステージ「VG」をベースにエアロパーツ、ボディ同色フロントグリル、専用ダイヤカット15インチアルミホイール、フロント電動サンルーフなどを装備した「VGツーリング」を発表。同時に他のグレードも一部改良が行われ、「エアロスピリット」は価格は据え置いたままでフロント電動サンルーフが標準装備化された。また、ボディカラーに新色を追加するとともに、オプションカラーの適応グレードを拡大し、プレステージではボディカラーに合わせてインテリアカラーを選べる「フリーチョイス」を新設。オプションの本革シートには7人乗り仕様が追加された。
1999年5月20日
「M」をベースに、ホンダ・ナビゲーションシステム、木目調ラジオパネル、ボディ同色フロントグリル・リアライセンスガーニッシュ・アウタードアハンドルなどを装備した特別仕様車「ナビスピリット」を発表。
1999年8月19日
「S」をベースに、プライバシーガラス(リアドア・リアサイド・テールゲート)、ボディ同色フロントグリル・リアライセンスガーニッシュ・アウタードアハンドルを装備した特別仕様車「スマートスピリット」を発表。ボディカラーはプレステージ専用色を含む4色を設定した。
1999年11月[2]
生産終了。在庫対応分のみの販売となる。
1999年12月
2代目と入れ替わる形で販売終了。

注釈

  1. ^ 当時のホンダは業績低迷の中、新型車製造にあたって生産ラインの改修へ資金を投じる余裕がないなどの制約から、初代のボディサイズが決定したといわれている。
  2. ^ “コンディションメーター”の名称で、液晶表示ユニットタイプ。設置方法はインパネ中央部エアコン吹き出し口下にビルトイン(純正の時計と入れ替え)とダッシュボード中央部上置きの2種類が存在した。表示内容はバーグラフ式のタコメーターとともに、時計、外気温、電圧の表示を切り替えて選択できた。
  3. ^ 4代目では再び元に戻されている。なお、Eは大文字でありながら高さは前後の小文字と同じとなっている(各世代の写真参照)
  4. ^ なお、Hondaスマートカードキーシステムのオプション化と「パワーユーティリティパッケージ」の装備内容変更は「M」にも適応。
  5. ^ 「アブソルート」のみ、パドルシフトでのマニュアルシフトが可能。
  6. ^ オデッセイの「e:HEV」への呼称変更に伴い、日本国内におけるHonda車の2モーターハイブリッドシステム搭載車はすべて「e:HEV」へ統一された。
  7. ^ 二輪車においては新大洲本田摩托有限公司製のスーパーカブ(JBH-AA04型・EBJ-JA10型)トゥデイ(BA-AF61型・JBH-AF67型)ジョルノ(JBH-AF70型)ディオ(BA-AF62型・JBH-AF68型)や、五羊-本田摩托(広州)有限公司製のディオ110(EBJ-JF31型)スペイシー100(BC-JF13型)リード(EBL-JF19型)ベンリィ(スクーター各型)CB125F(EBJ-JC64型)などの例がある。
  8. ^ 工場出荷時は機能オフ設定となっているので、機能オンにするにはディーラーの専用機器によるセッティング作業(ディーラーオプション扱い)が必要。

出典

  1. ^ デアゴスティーニジャパン週刊日本の名車第46号15ページより。
  2. ^ オデッセイ(ホンダ)1994年10月~1999年11月生産モデルのカタログ”. リクルート株式会社 (2020年1月22日). 2020年1月21日閲覧。[リンク切れ]
  3. ^ デアゴスティーニジャパン週刊日本の名車第23号13ページより。
  4. ^ ホンダ、「次期 オデッセイ」プロトタイプの概要を発表、第33回 東京モーターショーにて公開ホンダ4輪製品ニュース 1999年10月18日 2013年10月27日閲覧
  5. ^ オデッセイ(ホンダ)1999年12月~2003年9月生産モデルのカタログ”. リクルート株式会社 (2020年1月22日). 2020年1月22日閲覧。
  6. ^ オデッセイ(ホンダ)2003年10月~2008年9月生産モデルのカタログ”. リクルート株式会社 (2020年1月22日). 2020年1月22日閲覧。
  7. ^ デアゴスティーニジャパン週刊日本の名車第85号17ページより。
  8. ^ “「オデッセイ」の車高が14センチ上がったワケ”. 東洋経済デジタル (東洋経済新聞社). (2013年11月1日). http://toyokeizai.net/articles/-/23116?page=2 2014年10月28日閲覧。 
  9. ^ オデッセイ、国内累計販売台数100万台達成
  10. ^ オデッセイ(ホンダ)2008年10月~2013年10月生産モデルのカタログ”. リクルート株式会社 (2020年1月22日). 2020年1月22日閲覧。
  11. ^ Honda Announces Pricing for All-New 2011 Odyssey
  12. ^ デアゴスティーニジャパン週刊日本の名車第92号13ページより。
  13. ^ 新型「オデッセイ」をホームページで先行公開 - Honda ニュースリリース 2013年9月26日
  14. ^ 新型上級ミニバン「オデッセイ」「オデッセイ アブソルート」を発売 - Honda ニュースリリース 2013年10月31日
  15. ^ Hondaの新価値MPVコンセプトモデル「Concept M」を2013年上海モーターショーで世界初公開”. 本田技研工業ニュースリリース (2013年4月20日). 2015年1月14日閲覧。
  16. ^ ホンダ、新型「オデッセイ」「オデッセイ アブソルート」 Car Watch 2013年10月31日
  17. ^ 「ODYSSEY(オデッセイ)」に新タイプ「G・エアロパッケージ」を追加し発売』(プレスリリース)本田技研工業、2014年5月15日http://www.honda.co.jp/news/2014/4140515-odyssey.html2014年5月15日閲覧 
  18. ^ 领航时代,非同凡享 全新奥德赛(ODYSSEY)魅力来袭” (中国語). 広汽本田汽車 (2014年8月8日). 2015年1月14日閲覧。
  19. ^ オデッセイ 20周年特別仕様車「ABSOLUTE・20th Anniversary」を発売』(プレスリリース)2014年10月17日http://www.honda.co.jp/news/2014/4141017-odyssey.html2014年10月17日閲覧 
  20. ^ 「ODYSSEY(オデッセイ)」を一部改良し発売 ― 「Honda SENSING(ホンダ センシング)」を搭載 ―』(プレスリリース)本田技研工業、2015年1月22日http://www.honda.co.jp/news/2015/4150122-odyssey.html2015年1月22日閲覧 
  21. ^ 「ODYSSEY ABSOLUTE(オデッセイ アブソルート)」に特別仕様車を設定し発売』(プレスリリース)本田技研工業、2015年9月17日http://www.honda.co.jp/news/2015/4150917-odyssey.html2015年9月17日閲覧 
  22. ^ 新型上級ミニバン「ODYSSEY HYBRID(オデッセイ ハイブリッド)」をホームページで先行公開』(プレスリリース)本田技研工業、2015年12月25日http://www.honda.co.jp/news/2015/4151225-odyssey.html2015年12月25日閲覧 
  23. ^ 「オデッセイ」「オデッセイ アブソルート」を一部改良し発売〜新たにハイブリッドモデルを追加〜』(プレスリリース)本田技研工業、2016年2月4日http://www.honda.co.jp/news/2016/4160204-odyssey.html2016年2月4日閲覧 
  24. ^ 「ODYSSEY」をマイナーモデルチェンジして発売』(プレスリリース)本田技研工業、2017年11月16日http://www.honda.co.jp/news/2017/4171116-odyssey.html2017年11月16日閲覧 
  25. ^ 「ODYSSEY」をマイナーモデルチェンジし発売』(プレスリリース)本田技研工業、2020年11月5日https://www.honda.co.jp/news/2020/4201105-odyssey.html2020年11月5日閲覧 
  26. ^ オデッセイ 環境仕様書』(PDF)(プレスリリース)本田技研工業https://www.honda.co.jp/ODYSSEY/common/pdf/odyssey_environment_list.pdf2021年5月2日閲覧 
  27. ^ “マジかよ…… さらば超名門車オデッセイ!! 2021年内3車種販売終了でホンダ大改革の行方”. ベストカーWeb (講談社ビーシー). (2021年6月15日). https://bestcarweb.jp/news/business/292798 2021年6月15日閲覧。 
  28. ^ 2023年冬発売予定の「ODYSSEY」改良モデルをホームページで先行公開』(プレスリリース)本田技研工業株式会社、2023年4月7日https://global.honda/jp/news/2023/4230407.html2023年12月7日閲覧 
  29. ^ 「ODYSSEY」を一部改良し発売』(プレスリリース)本田技研工業株式会社、2023年12月7日https://global.honda/jp/news/2023/4231207-odyssey.html2023年12月7日閲覧 
  30. ^ ミニバンブームの先駆け「オデッセイ」2年ぶり復活…ホンダ初、中国生産車を国内投入」『読売新聞』、2023年4月7日。2023年4月7日閲覧。
  31. ^ “黒強調”した5m超え新「オデッセイ」発表! 「ブラックエディション」11月上旬に墨市場で発売”. くるまのニュース. 2022年10月29日閲覧。






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