コンピュータエンターテインメントレーティング機構
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レイティングに対する意見と批判
国際的評価機関であるIARCの審査料金は無料であり、メーカー側目線だと1度無料審査を受けると、日本を除いた全加盟各国・地域でゲームを販売できる。しかし、CEROはIARCに加盟していないため、日本で発売するには別途CEROによる審査が必要となる。CEROは日本で販売する作品のみのレーティング機関であるため、審査手続きは主に国内でする必要があるほか、一定の審査料が必要となっている。これは海外メーカーにとっては負担になっている[2]。
「Z」区分を除いて購入に対する制限が設けられていないため、「D」以下に区分されるゲームソフトはその年齢を満たしてなくても購入できる(販売店によっては『「D区分」までならどなたでも購入可能』とその旨を告知していることもあるほか、コンビニや一部の量販店では「Z」区分を取り扱わないところもある)。
家庭用ゲームハード向けのソフトについて、CEROのレーティングを受けていないソフトの発売を認めていない[40][注 15]。ただし、ニンテンドーDS用ソフト『DSで読むシリーズ手塚治虫 火の鳥』や、ニンテンドー3DSのeショップで配信されている一部のソフト(内容的にゲームといえないもの)にはCEROのマークが表記されていない。全社ともにダウンロード専売作は国際年齢評価連合(IARC)を採用しているが、SIEはIARC18+のゲームに関してはCEROを取得するよう求めている[41]。
PC用ゲームソフトの場合、一般向けのソフトであってもCEROの審査を受けずに発売に至るソフトも存在する。SteamやMicrosoft Storeで配信されているPCゲームにおいても、一部のソフトにCEROのレーティングが記載されているが、一部審査の信憑性に疑問があるもの[注 16]も存在する。
一部のゲームソフトの公式サイトにおいてCEROのレーティングが記載されていないもの[注 17]もあり、この場合オンライン上では、CEROが公式サイトに設置しているタイトル検索[42]か、ゲームハードメーカーによる商品情報ページ[注 18]からCEROのレーティングの情報を得る必要がある。
- 雑誌への掲載について
- カプコンが開発・販売を手がけるモンスターハンターシリーズ[注 19]は「C」に区分されているが、小学生を主な読者とするコミック誌である『月刊コロコロコミック』などで毎号のように取り上げられている。また2019年からは同じく「C」に区分されている「フォートナイト」の特集を組んでいる。編集部は「レーティングは知っているが、読者からの要望もあり独自の判断で取り上げている」としており、開発者は「小学生にもゲームを知ってほしいという気持ちはある」とした上で「レーティングはあくまで目安。法律の規制ではなく、問題はない」と述べている。それに対してある保護者は「小学生の購買意欲をあおっている」と批判した[43]。
- さらに2009年8月にはバンダイナムコゲームス(のちのバンダイナムコエンターテインメント)のDS用ソフト『アイドルマスター ディアリースターズ』が「C」区分であるが、小学生女児を主な読者とするコミック誌『なかよし』や未就学男児を主な読者とする『テレビマガジン』で取り上げられたり、バンダイナムコ自体が編集・発行するゲーム販売店向けフリーペーパーの『Side-BN』に本作を「女の子にもオススメの注目ゲーム」と宣伝したりするなど、低年齢女児向けの販促を公然と行っていた。
- 任天堂もファミ通クロスレビューのメーカーアンケートにおいて「B」・「C」区分のソフトに関しても「どなたでも楽しめる」旨を紹介している(『ファミ通』では「Z」区分のソフトも特集することはあるが、記事を掲載する際「『ファミ通』の掲載基準に従い、考慮している」旨の断り書きを欄外に記載している)。任天堂も初の「D」区分のゲームソフト『斬撃のREGINLEIV』を発売するなど、レイティングに配慮したゲーム制作とは一線を画する動きを示してきている。
- レイティング制度による影響
- 日本PTA全国協議会が2007年に一部の小中学生および保護者を対象に調査した「子どもとメディアに関する知識調査」によれば、レイティング制度を知らないという保護者が約52%に達している[44]。
- 子供がこのレイティングを参考にゲームを購入しているかというと実はそうでもなく、コール オブ デューティシリーズのシリーズの一部やグランド・セフト・オートシリーズの全作品などは、Z区分になっているにもかかわらず、特に中高生の間で人気が高く、保有数も多い実態となっている。:2017年10月9日にユービーアイソフトが開催したイベント「UBIDAY2017」にて、18禁の「Z」区分である『フォーオナー』の大会で15歳のプレイヤーが優勝した[45]。これを受けて大会を運営したJCGは年齢制限などのルール改定を行うと発表した[46]。
- 『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』のCEROレーティングが「A」であるが、桜井政博は「『スマブラSP』は良い子の集まり(CERO A)なので、出すことができませんでした。お許しください。」と、不知火舞の登場を断念せざるを得なかった理由を明かしている(露出の際どいキャラクターのDLCが配信されると、レーティングが「B」~「D」に引き上げられるため)。
- 2020年4月、日本マイクロソフトは2017年よりサービスを開始したサブスクリプション「Xbox Game Pass」およびその関連サービスが約3年遅れた理由としてCEROの存在を挙げている[47]。
- メーカー・ゲーム製作者側からの意見・批判
- また、表現に関する審査やガイドラインの詳細についても、消費者やメーカーに公開されていないため、外国製タイトルの傾斜レーティングなどの審査員による恣意的な判断が下されやすいといった意見もある[48]。
- ゲームクリエイターの側から現行のレーティング制度に対する意見もある。名越稔洋は『龍が如く』の制作にあたり、基準の曖昧さについて意見を出している[49]。シリーズ1作目は当初「18才以上対象」とされていたが、2006年3月以降の変更に伴い、1段階低い「D」に変更された。以降のシリーズ全タイトルも「D」に区分されている。また稲船敬二もカプコン在籍時に受けたインタビューの中でCEROの審査基準に対して同様の意見を出している[50]。
- 桜井政博は『大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii U』の制作の際、CEROの審査で登場キャラクターのスカートの中が見えて性的であるとの指摘を受け、何度もキャラクターを作りなおしたとしている。これについて桜井は「海外の審査で拳銃がダメというのは理解できるが、日本の審査はパンツが見えたの見えないってあまりにも低レベルでくだらない」と発言している[51]。
- 審査対象外基準設定・ Z(18禁)区分への表現規制批判
- 海外版との比較が容易になったことで、「Z区分なのに(無規制で)発売できない」ことへの批判が出ている。さらにはCEROは過激な殺傷を含むなどの理由で「禁止基準」に抵触し、「Zすらつけられない」(審査対象外)として事実上の発売禁止を言い渡しているため、日本での発売中止を余儀なくされることがある。2022年10月27日パブリッシャーのKRAFTONは『The Callisto Protocol』の「CERO審査規制のためにユーザーが期待する体験が楽しめなくなる」として、日本発売中止を発表した[5][2]。国産タイトルの一部には「C」・「D」区分であっても欠損や出血の表現が含まれているケースがあるのに対し、外国産タイトルの場合「Z」区分でも何らかの表現規制が行われることがある。たとえば国産タイトルのモンスターハンターシリーズ、『ゴッドイーター』や『斬撃のREGINLEIV』、『バイオハザード4』・『5』、『NINJA GAIDEN 2』では身体の切断による欠損や出血表現があるのに対し、外国産タイトルの『ダンテズ・インフェルノ 〜神曲 地獄篇〜』や『Borderlands』、『Gears of War』・『2』では欠損表現が削除されている(ただし、『Gears of War』シリーズでは爆発やチェーンソーでの欠損表現はそのままで、ムービーでは削除されていない)。
- また、Z区分であっても国産・外国産を問わず欠損表現が削除されるケースがあり、『デッドライジング』と『Fallout 3』では欠損表現が削除されている。『CONAN』や『F.E.A.R.2』(PS3・Xbox 360版)のように、オリジナルから大幅に表現が変更されたソフトも存在する。
- 『ドラゴンボールZ 真武道会2』などドラゴンボールシリーズを題材とした作品で、片腕のキャラクターである未来世界の孫悟飯が両腕に修正されているのを過剰な自主規制と批判する意見もある。
- 外国製のタイトル(FPS、クライムアクションなど)の場合、前述の欠損表現の修正以外にも、一部のアクションができなくなるよう変更が加えられる場合もある(民間人への攻撃や、死体への追い討ちなど)。これらの規制が大幅なものに及んだ場合、マルチプレイ対応作品では日本国内限定でのマッチングを余儀なくされるケースもある。
- この他『マンハント』など、残虐すぎて修正困難と判断されたため、日本国内での発売を取りやめたソフトも少なくない。
注釈
- ^ ゲームアーカイブスで配信されるソフトも含む。
- ^ Nintendo Switchのダウンロードソフト(パッケージの販売がないソフト)の一部では、国際年齢評価連合(IARC)のレイティングを採用している。
- ^ バーチャルコンソールで配信されるソフトも含む。
- ^ Xbox Live インディーゲームは対象外となっている。
- ^ Xbox One、Xbox Series X/Sのダウンロードソフト(パッケージの販売がないソフト)の一部では、国際年齢評価連合(IARC)のレイティングを採用している。
- ^ Windows・macOSなどの非アダルトゲームを含む。
- ^ Microsoft Storeのダウンロードソフト(パッケージの販売がないソフト)の一部では、国際年齢評価連合(IARC)のレイティングを採用している。
- ^ Android、iPhone(iOS)、Windows Phoneなど。2011年から審査の対象に追加している。
- ^ ただし、『マッドワールド』は後にスパイクが海外版の発売元であるセガに発売を提案、スパイクが日本版の発売を担当する形で日本国内でも発売された。
- ^ 任天堂はパソコン上でもニンテンドーeショップを利用可能になって以降これまでに発売されたものも含む3DS、Wii Uソフト。ソニーおよびマイクロソフトは公式サイトにおける一部ゲームソフトの商品情報ページ内。
- ^ マイニンテンドーストア、イーカプコンの2サイト。
- ^ 当作以降コナミは一部ゲームソフトの公式サイトで行っていたコンテンツアイコンの併記をしていない。
- ^ 暴力、犯罪以外のコンテンツアイコンが表示されているソフトも含まれているため。CERO公式サイト内のタイトル検索ページではコンテンツアイコンは表示されていない。
- ^ Switchでは2作品はそれぞれ別のゲームソフト扱いだが、Switch版『パワポケダッシュ』の入手は『パワプロクンポケットR』の購入が必要(単独配信の販売予定はない)なので、事実上の1本のパッケージ扱いとなる。
- ^ XboxIndiesGamesについては例外で、複数のユーザによるレイティング判断により決定する。
- ^ 2004年4月以降に発売されたゲームソフトでコンテンツアイコンの併記がない、併記されたコンテンツアイコンがCEROに存在しないまたは他国のレーティング機関のもの、暴力表現の低いソフトが「D」か「Z」に区分されている、開発・発売元メーカーによるゲームソフトの公式サイトにレーティングの記載がない、CERO公式サイト内のタイトル検索に情報が記載されていない、など。
- ^ 例として、任天堂は2008年8月までの『マリオカートWii』を除く「A」区分の自社ゲームソフトの公式サイトにCEROのレーティングの記載がされていなかった。2008年9月以降の一部自社ゲームソフトの公式サイトにもCEROのレーティングの記載がされていないものもある。
- ^ 任天堂は「Z」区分を除くGBA、DS、Wiiのサードパーティーソフトと自社ゲームソフトを含むWiiバーチャルコンソールの商品情報ページにCEROのレーティングの記載がされていない。
- ^ 番外作の『モンハン日記 ぽかぽかアイルー村』と『モンスターハンター ストーリーズ』は比較的抑え目な表現のため「A」に区分されている。
出典
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- ^ 『桜井政博のゲームを遊んで思うこと2』P109
固有名詞の分類
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