クマリン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/05 03:39 UTC 版)
用途
香料
フランスのウビガン (Houbigant) 社が人工合成のクマリンを元に1882年に香水を調合することに成功し、「フジェール・ロワイヤル (Fougere Royale)」と名付けて発売し、人工合成材料による香水の製造が始まる。
タバコにも香料として用いられるが、発がん性が生じる。タバコ会社B&W社の研究開発部門副社長ジェフリー・ワイガンドが自社製品への添加をやめさせようとしたが、代替品が見つからず、本当に科学的根拠があるのかもわからないと豪語する営業畑出身の社長サンダファーはクマリン不使用を検討しなかったことで揉めた。このことを題材に1999年、映画『インサイダー』が作られた。
軽油識別剤
日本においては、クマリンは、軽油引取税の脱税防止のため、1990年(平成2年)3月から識別剤として灯油及びA重油(軽油周辺油種と呼ばれる)に、1 ppmの濃度で添加されている。添加は石油元売業者の製油所から出荷される際に行われ、軽油に灯油などを不正に混合しても、ブラックライトを当てると蛍光反応が出て、識別が可能となる。
イギリスにおいても1984年(昭和59年)から、灯油にクマリンを添加している(イギリスの濃度は2 ppm)。
医薬品原料
誘導体のワルファリン、クマテトラリル、フマリンはビタミンKと拮抗して抗凝血作用を示すため、抗凝固剤や殺鼠剤の製造原料として用いられる[7][8]。
脚注
関連項目
外部リンク
- ^ 熊野谿従, 桑田勉「パーキン反応に依るクマリンの合成 (第1報)」『有機合成化学協会誌』第11巻第10号、有機合成化学協会、1953年、388-390頁、doi:10.5059/yukigoseikyokaishi.11.388、ISSN 00379980。
- ^ 桜の香り 大阪市立科学館 (PDF)
- ^ 高橋佳孝、大谷一郎、魚住順、萩野耕司、五十嵐良造「クマリンのアレロパシー発現に及ぼす土壌条件の影響」『日本草地学会誌』第40巻第2号、1994年、223–226頁、doi:10.14941/grass.40.223、2022年4月9日閲覧。
- ^ “シナモン”. 国立健康・栄養研究所. 2021年7月18日閲覧。
- ^ “シナモン”. 厚生労働省『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』. 2021年7月17日閲覧。
- ^ “ドイツのBfRがシナモン中のクマリンについて警告(061020)”. 国立健康・栄養研究所. 2022年11月7日閲覧。
- ^ “Coumarin”. PubChem, National Library of Medicine, US National Institutes of Health (2019年4月4日). 2019年4月13日閲覧。
- ^ “Coumarins and indandiones”. Drugs.com (2016年). 2016年12月24日閲覧。
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