オフィス・オートメーション
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/30 09:08 UTC 版)
概要
オフィス・オートメーションという発想は1970年代に、コンピュータ登場以降に次第に高度化する電子計算機の延長に据えられ、将来的にはホワイトカラーの働く職場は全て電子化され、ペーパーレス化が進むと言われていた。
この中では、手紙、電話、テレックスといった通信はオンライン化され金銭は電子マネー化された上でネットワーク上をやり取りされる物と信じられていた。
広義には、ファクシミリやコピー機などの電子機器(広義の情報機器)を用いて、紙による通信や複製を効率化することも含み、従来からある郵便よりも迅速に情報をやり取りして、業務の高速化・大容量化が期待された。
実際のオフィスオートメーションでは1980年代に、オフィスコンピュータの導入により業務を自動化、端末からデータを入力して、事務処理の一部をコンピュータに任せる事から始められ、記憶媒体の大容量化により、業務データを従来の帳簿からデータベースへと置き換えることで進んだ。また、書類作成などの面では、ワードプロセッサとプリンターが活躍し、これによって大量の書類を短時間で作成できるようになった。
なおオフィス環境の自動化は、現在でも様々な仕事を電子化・自動化することで進んではいるが、行政部門の電子化の遅れにより、むしろ盛んにOA化が提唱された1980年代初頭よりも、紙の使用量は増えている。この流れの中では、電子ペーパーのような軽量で扱いやすいディスプレイ装置も開発されているが、2006年現在ではまだ開発途上の域にある。
現在では、余り意識して「オフィス・オートメーション」と呼ばれることは無く、事務所といえばパソコンが普通にあるもの、LANが接続されているもの、インターネットを通じて情報をやり取りするものと言った具合に、1980年代に予測された以上の状態にある。このためオフィス・オートメーションは、僅かにOAフロアや「OA機器(情報機器と同義)」といった言葉に残るのみである。しかしそれでもペーパーレスは起こっておらず、依然として紙媒体の完全な置き換えは起こっていない。
マッキンゼー・アンド・カンパニーによると、ホワイトカラーの象徴といえる金融機関でも自動化が進む。事務職では60ある業務のうちファイル作成など65%がロボットに代替できる。ゴールドマン・サックスでは2000年に600人いたトレーダーが株式売買の自動化システムに置き換わり現在は数人に減った。著名投資家のジム・ロジャーズも「AIが進化すれば証券ブローカーなどの仕事は消える」と断言する。一方で意思決定や計画立案にかかわる仕事、想像力を働かせる仕事はロボットの苦手分野である。最高経営責任者(CEO)など経営幹部には63の業務があるが、ロボット化が可能なのは業務進捗表の作成など22%にとどまる[1]。
- ^ 日本経済新聞 2017/4/23付
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