アール・ヌーヴォー
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絵画
アンリ・ベレリ=デフォンテーヌ、ジュール・シェレ、ジョルジュ・ド・フール、ヴィクトール・プルーヴェ、テオフィル・アレクサンドル・スタンランなどの画家たちも純粋芸術とマイナー芸術の分離を拒否して絵画・リトグラフ・ポスターに同じように労力を捧げた。絵画もまた装飾の1つとなったのである。
グラフィック・アート
本の表紙から雑誌の挿絵まで、宣伝ポスターから装飾パネルまで、新聞のタイポグラフィから絵はがきまで、ありとあらゆるところにアール・ヌーヴォーはその足跡を残した。グラフィックデザインやイラストレーションに属するこれらの領域に専心した数多くの者たちの中でも、最も大きな影響力があったのは間違いなくチェコのアルフォンス・ミュシャであり、1895年1月1日にパリの街頭に貼り出されたヴィクトリアン・サルドゥの演劇『Gismonda』のポスターは一夜にしてセンセーションを巻き起こした。これらの作品は、ほとんどの場合で女性を中央に据え、自然の要素からなるアラベスクで取り囲んだ繊細なデザインで世界的な評判を獲得した。主に商業的な性質の作品で用いられたこのスタイルは当時のイラストレーターたちに広く模倣された。
オーブリー・ビアズリーが最も独創的なアール・ヌーヴォーの芸術家の1人として挙げられる。ビアズリー独特の白黒イラストレーションは、挿画の対象に選んだ主題が不遜なもので論争を引き起こしたにもかかわらず同時代人の賞賛を浴びた。
その他の著名なポスター作家としてチャールズ・レニー・マッキントッシュ(アーツ・アンド・クラフツ運動の一員であった)、アンリ・プリヴァ=リヴモン、コロマン・モーザー、フランツ・フォン・シュトゥックなどが挙げられる。
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チェザーレ・サッカッジによるアールヌーボー広告ポスター
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ジュール・シェレ『Cacao Lhara』ポスター(1890)
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テオフィル・アレクサンドル・スタンラン『黒猫』ポスター(1896)
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チャールズ・レニー・マッキントッシュ『スコットランド音楽レビュー』(1896)
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アンリ・プリヴァ=リヴモン『カブールのカジノ』ポスター(1897)
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コロマン・モーザー『洞窟の中のヴィーナス』(1915)
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フランツ・フォン・シュトゥック『国際衛生博覧会』ポスター(1911)
主要な建築作品
- エクトール・ギマールによるパリの地下鉄駅出入口
- ヴィクトール・オルタによるタッセル邸(ブリュッセル、1893年)
- ポール・アンカールのアンカール邸、ブリュッセル
- ポール・コーシーのコーシー邸、ブリュッセル、1905年[3]
- シャルルロワにある『黄金の家』、Gabriel van Dievoetによるスグラッフィートがある
- レオン・ドリュヌのドリュヌ邸、ブリュッセル
- アントニ・ガウディによるサグラダ・ファミリア(建設中)、バルセロナ
- アンリ・ソヴァージュによるマジョレル邸、ナンシー、1902年[4]
- オテル・デュ・パルク(旧オテル・メトロポール)、プロンビエール=レ=バン
- ジャン=エミール・レスプランディによるチュニス市立劇場、1902年
- ヨゼフ・マリア・オルブリッヒによるセセッション館(分離派会館)、ウィーン、1898年
- ルサージュ薬局、ドゥーヴル=ラ=デリヴランド
- レストラン「ラ・フェルメット・マルブーフ」(パリ、1900年)
- ジャック・エルマンによるソシエテ・ジェネラル本店(パリ、1912年)
アール・ヌーヴォー運動の中心地であったナンシーとブリュッセルにはこの他にも数多くのアール・ヌーヴォー作品が残っている。またリガにはヨーロッパ最大規模のアール・ヌーヴォー建築群がある。
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エクトール・ギマールによるパリ地下鉄出入口
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ポール・アンカールのアンカール邸、ブリュッセル
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シャルルロワにある『黄金の家』
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レオン・ドリュヌのドリュヌ邸、ブリュッセル
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ドリュヌ邸、ポール・コーシーのスグラッフィート
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アンリ・ソヴァージュによるマジョレル邸、ナンシー
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マジョレル邸内部。煙突はアレクサンドル・ビゴー、ステンドグラスはジャック・グリューバーの作
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オテル・デュ・パルク(旧オテル・メトロポール)、プロンビエール=レ=バン
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ジャン=エミール・レスプランディによるチュニス市立劇場、1902年
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ヨゼフ・マリア・オルブリッヒによるセセッション館(分離派会館)、ウィーン、1898年
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ウィーン分離派会館のオブジェ。ユーゲント・シュティールの典型例
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ルサージュ薬局、ドゥーヴル=ラ=デリヴランド
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ジャック・エルマンによるソシエテ・ジェネラル本店(パリ、1912年)
- ^ [1] 2024年2月13日閲覧
- ^ 上田篤、田端修『路地研究 もうひとつの都市の広場』鹿島出版会、2013年、182頁。ISBN 978-4-306-09423-9。
- ^ 谷克二『ブリュッセル歴史散歩 中世から続くヨーロッパの十字路』日経BP企画、2009年、219頁。ISBN 978-4-86130-422-4。
- ^ 『世界の美しい階段』エクスナレッジ、2015年、134頁。ISBN 978-4-7678-2042-2。
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