貧血 ( amemia )
赤血球中の血色素(=ヘモグロビン)の量が正常な値以下に低下した状態のことをいいます。貧血の多くは、血色素の原料となる鉄分の生産障害で起こる「鉄欠乏性貧血」です。この場合、赤血球1個あたりの鉄の含有量が少なくなって血球も小型化するため、「小球性低色素性貧血」と診断されます。とくに思春期以降の女性に多く発生します。しかし、貧血にはそれ以外にも、赤血球の合成の障害によって起こる「鉄芽球性貧血」、造血ビタミンともいわれるビタミンB12や葉酸の欠乏によって起こる「巨赤芽球性貧血」、赤血球が破壊されて起こる「溶血性貧血」、骨髄での赤血球系・白血球系・血小板系いずれの機能も障害されて起こる「再生不良性貧血」などもあります。再生不良性貧血は白血球の減少によって感染しやすくなり、血小板の減少によって出血しやすくなるなど、難病の1つとされています。貧血は酸素を体内に運搬している赤血球が減少する病気なので、貧血になると疲れやすくなったり(全身倦怠感)、息切れ、集中力の減退、胸が締め付けられるような息苦しさ(狭心症様症状)が出ます。また、血液量の減少から顔面蒼白、起立性低血圧などの症状が出ることもあります。貧血が疑われたときは、まず(1)赤血球数(RBC)、(2)血色素量(Hb)、(3)ヘマトクリット値(Ht)が測定され、これらの値から(4)平均赤血球恒数が算定されます。その他、(5)網赤血球数、(6)血小板数、(7)白血球数、(8)血清鉄/総鉄結合能/血清フェリチン値、(9)血清ビタミンB12、(10)その他(血清ビリルビン値/血清LDH)などが計測されたあと、貧血の種類や進行の程度などが総合的に判定されます。貧血では肝炎や腎臓病、また白血病や悪性腫瘍(がん)などのような原病の治療を除くと、一般に(1)支持療法と呼ばれる治療法と、(2)特異的治療法と呼ばれる治療法が行われます。支持療法でもっともよく行われるのは赤血球輸血です。また、骨髄に腫瘍のある疾患の場合は血小板輸血が行われます。さらに、感染防止のために抗生物質の投与やG-CSF(コロニー刺激因子)などが投与されるケースも少なくありません。一方、どのタイプの貧血かが確かめられたあとに、それぞれの貧血に対応した薬剤による治療が開始されます。このような治療法を特異的治療法といいます。
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