IC71
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「インターシティ (ドイツ)」の記事における「IC71」の解説
西ドイツ国鉄の役員会は1969年に「インターシティ」という新たな国内列車の種別を設けることを決定した。使用される車両はTEEと同様の客車または気動車で、一等専用であることもTEEと同じである。これによりTEEなみのサービスを国内列車に対しても全面的に取り入れようとした。ただし経路やダイヤの設定に冠する思想はTEEやそれまでの特急列車 (「インターシティ」の名を冠していた6往復も含む) とは大きく異なる。従来の優等列車の走行経路は列車ごとにまちまちであり、また多数の列車の集中するライン・ルール地域 (ケルンなど) とライン・マイン地域 (フランクフルト・アム・マインなど) の間でも列車の時刻は不均等で、特に朝夕に集中する傾向があった。これに対しインターシティは西ドイツを南北に縦断する4つの経路に沿って、各々約2時間間隔のパターンダイヤで運転されるものである。また主要駅では異系統のインターシティの間で相互に乗り換えられるようになっていた。 インターシティは1971年冬ダイヤ改正 (9月26日) から、以下の4つの系統で運行を始めた。このネットワークをインターシティ71 (IC71) と呼ぶ。国際列車であるTEEも、西ドイツ国内でインターシティの系統と重複する部分ではインターシティ網の一部とされ、2時間間隔のパターンに組み込まれた。 インターシティの系統と基本停車駅 (1971年) 系統経路、停車駅1号線Linie 1ハンブルク (アルトナ駅 - ダムトーア駅 - 中央駅) - ブレーメン - オスナブリュック - ミュンスター - ドルトムント (2) - エッセン - デュースブルク - デュッセルドルフ - ケルン (2) - ボン - コブレンツ - マインツ - マンハイム (3) - ハイデルベルク - シュトゥットガルト - ウルム - アウクスブルク - ミュンヘン 2号線Linie 2ハノーファー - ビーレフェルト - ドルトムント (1) - ハーゲン - ヴッパータール=エルバーフェルト - ケルン (1) - ボン - コブレンツ - ヴィースバーデン - フランクフルト・アム・マイン - ヴュルツブルク (4) - ミュンヘン 3号線Linie 3ハンブルク (アルトナ - ダムトーア - 中央駅) - ハノーファー (4) - ゲッティンゲン - フルダ - フランクフルト - マンハイム (1) - カールスルーエ - ※バーデン=オース - ※オッフェンブルク - フライブルク - バーゼル (バーディッシャー駅 - SBB駅) 4号線Linie 4ブレーメン - ハノーファー (3) - ゲッティンゲン - ベーブラ - ヴュルツブルク (2) - ニュルンベルク - アウクスブルク - ミュンヘン 駅名の「中央駅」は同じ都市に他の停車駅がない限り省略した。太字は起終点および他の系統との接続駅で、かっこ内は接続する系統番号。^ 現ヴッパータール中央駅 ^ 現バーデン=バーデン駅 ^ a b バーデン=オースとオッフェンブルクはどちらか片方のみに停車。 ヴュルツブルク - ミュンヘン間は2号線がアンスバッハ、インゴルシュタット経由の最短経路 (両駅とも通過) で、4号線はニュルンベルク、アウクスブルクを経由。ただしこの逆の経路を走行する列車や、ニュルンベルクとアウクスブルクの片方のみを経由する列車もあった。 これらの系統は以下の各駅で相互に接続した。接続駅では原則として同一ホームでの対面乗り換えが可能であった。 ドルトムント中央駅 : 1号線と2号線 ケルン中央駅 : 1号線と2号線 マンハイム中央駅 : 1号線と3号線 ヴュルツブルク中央駅 : 2号線と4号線 ハノーファー中央駅 : 3号線と4号線 一例として、2号線南行のIC127「ミュンヒナー・キンドル」は他のインターシティと以下のように接続した。 IC127 Münchner Kindl駅発着時刻接続列車発着時刻系統列車番号・列車名経路ハノーファー中央駅- / 12:00 ドルトムント中央駅13:37/46 13:41/42 1号線 IC 117 ガンブリヌス(ドイツ語版) ハンブルク → ブレーメン → ドルトムント → ハーゲン → ヴッパータール → … ケルン中央駅14:48/59 14:52/54 1号線 IC 117 ガンブリヌス … → ハーゲン → ヴッパータール → ケルン → マンハイム → ミュンヘン (20:43着) ヴュルツブルク中央駅18:31/33 18:35/37 4号線 IC 187 アルブレヒト・デューラー ブレーメン → ハノーファー (15:24発) → ヴュルツブルク → ニュルンベルク → アウクスブルク → ミュンヘン (21:10着) ミュンヘン中央駅20:51 / - なお、列車の運行頻度は約2時間間隔であるが、分単位での発着時刻は列車により10分前後のずれがあり、完全な等間隔ダイヤではない。またTEEの一部は途中駅からインターシティの各系統に入っており、分岐駅で区間運転のインターシティと入れ替わるようなダイヤが組まれた。 インターシティは長距離を走るため、その運行は地域別の管理局ではなく、中央輸送監理局のIC輸送管理課で監督していた。また接続相手の列車が遅れた場合、接続駅で待つのは18分を上限とし、それ以上の遅れは特発列車を出して対応することにしていた。このため五つの接続駅では客車2両が常時待機し、機関車と乗務員も随時手配できるようになっていた。 一方で、大量のインターシティが新設されたのと引き替えに、急行列車 (D-Zug) が減便され、インターシティの通過待ちのため準急列車 (Eilzug, E-zug) や普通列車の所要時間が延びるといった弊害も生じた。インターシティは一等専用であるため、これは二等旅客に対してはサービスの低下であると批判された。
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