食餌と捕食
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/05 09:20 UTC 版)
メンフクロウの食餌は多く研究されている。食された物体は、この鳥が吐き戻す未消化ペリットの中から捕食物の断片を特定することで確認することができる。餌の研究はこの鳥の生息域の大部分でなされており、温帯の湿潤地域では捕食物の90%以上が小型哺乳類になる傾向がある一方、暑く乾燥した不毛地域ではその割合が低く、現地の個体数に応じて他の多種多様な生物が食されている。捕食物の大半は陸生だが、トカゲ、両生類、昆虫のほかにコウモリや鳥も捕まえている。 メンフクロウが大量で他の獲物が不足している時でもミミズが消費された様子は見られない。 北米およびヨーロッパの大部分では、ハタネズミの捕食が目立ち、トガリネズミが2番目に一般的な餌の選択である。クマネズミ属の鼠は、地中海地方、熱帯、亜熱帯、オーストラリアにおける主要な食料となっている。メンフクロウは一般的に植生地域ではより専門的な(ある獲物に特化した)捕食生物であり、乾燥地域ではどんな獲物も捕食する。カーボベルデの島々では、ヤモリが主な餌であり、チドリ、オグロシギ、キョウジョシギ、ハタオリドリ、ツバメチドリなどの鳥で補われており、カリフォルニア沖では若い4羽の群れがコシジロウミツバメを餌に育っていた。アイルランドでは、1950年代にヨーロッパヤチネズミ(en)が偶発的に持ち込まれたことで、メンフクロウの食餌に大きな変化がもたらされた。彼らの範囲が重なる場所では、現在このハタネズミが飛びぬけて大量の獲物になっている。現地で過剰にいる一個体あたり体重数g程度のげっ歯類は、一般的に単一の捕食物として最大の割合を構成する。アメリカ合衆国では、げっ歯類およびその他の小型哺乳類が食餌の95%を占め、世界中でもそれが9割以上の捕食である。 メンフクロウはゆっくりと飛行して地面を探し回り、獲物が隠れていそうな場所でホバリングして狩りを行う。 また、枝やフェンスの支柱、その他見晴らしのいい場所を使って周囲を監視することもある。この鳥は長く広い翼を有するため高い機動力があり、突然向きを変えたりできる。足とつま先は長くて細いため、密な葉の間や雪の下をあさる能力が高く、獲物を攻撃する際に爪同士が大きく広がる。個々のメンフクロウが1晩に1匹以上のハタネズミ(またはその同等物)を食す場合があり、それはこの鳥の体重の約23%に相当することが調査で示されている。過剰な食物はねぐらの場所に貯蔵されることが多く、食物が足りない時に使用できるようになっている。 小さな食餌は通常ぶつ切りに裂かれて骨や毛皮も含め完全に食されるが、ウサギの赤ちゃん、コツメデバネズミ属のデバネズミ、アフリカタテガミネズミ(en)など約100gを超える獲物は通常バラバラにされて食べられない部分は破棄される。たまに想定と違って、メンフクロウは飼いならした動物だと定期的に食べないことがある。地域によっては、捕まえやすさに応じて非げっ歯類の生物を餌にしている。鳥が豊富な島では、メンフクロウは食餌のうち約15-20%を鳥にすることがある一方、草原では群れをなすシロアリやバッタ目を貪り食う。コウモリ、カエル、トカゲやヘビでさえ、マイナーだが捕食物として重要な貢献となる場合がある。 ジャコウネズミのような小さなトガリネズミ目は、非常に重要な二次的捕食物になりうる。 メンフクロウは耳が非対称に配置されており優れた聴力を備えている。これが音の位置および距離を精密に検出するので、この鳥は狩りに視力を必要としていない。顔の円盤はこの検出プロセスで役目を果たしており、襟状の羽毛を取り除いてもメンフクロウは音源を方位角で特定できるものの、仰俯角が特定できないと言う事実が示された。夜行性または薄明薄暮性で狩りをするこの鳥は、獲物を狙って地面に飛び込み、雪、草、茂みを通してその爪で貫通することで、小さな生き物を致命的な精度で捕まえる。 似た大きさの他のフクロウと比較して、メンフクロウは代謝率がはるかに高く、比較的多くの食物を必要とする。対重量で、メンフクロウは他のどの生物よりも多くのげっ歯類(人間からはしばしば厄介者と見なされる)を消費する。 このことは農業にとって、メンフクロウを最も経済的に価値のある野生動物の1つにしている。農民は、げっ歯類の害を抑えるのにこのフクロウが毒よりも効果的だと知っていることも多く、彼らは営巣地を提供することでメンフクロウの生息を後押ししたりもする。
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