食餌と採餌
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 15:36 UTC 版)
鳥類の食餌は多彩であり、多くの場合、蜜や果実、植物、種子、屍肉、他の鳥を含むさまざまな小動物などが含まれる。鳥には歯がないことから、その消化器系は、丸のみにした、咀嚼されていない食物を処理することに適応している。 鳥類には、さまざまな食料において食物ないし餌を得るために、多くの方法を用いる「広食性(多食性)」(ゼネラリスト)と呼ばれるもののほか、特定の食料に時間と労力を集中させるか、単一の方法で食物を得る「狭食性(単食性)」(スペシャリスト)と呼ばれるものがいる。鳥類の採餌方法は種によって異なる。鳥類の多くは、昆虫や無脊椎動物、果実、または種子を採る (gleaning)。なかには枝から急襲して昆虫を狩るものもある。害虫を狙うような種は、有益な「生物的防除」と見なされ、生物的防除プログラムにおいては、それらの生息が奨励されている。ハチドリ類、タイヨウチョウ類、ヒインコ類のような、とりわけ花蜜を採食するものは、特別に適応したブラシ状の舌を持ち、多くの場合くちばしの形状が共適応した花に適するようにデザインされている。キーウィや渉禽類は、その長いくちばしを探針として使い、無脊椎動物を探す。シギ・チドリ類の間でくちばしの長さと採餌の方法に違いがあることによって、生態的地位(生態的ニッチ)の分離が生じている。アビ類、潜水ガモ類 (Diving duck)、ペンギン類、ウミスズメ類などは、水中で翼ないし足を推進器として使い、その獲物を追いかけるが、それに対してカツオドリ類やカワセミ類、アジサシ類のような飛翔型の捕食者は、獲物に狙いをつけて空中から水に飛び込む。フラミンゴ類、クジラドリ類 (Prion) のうちの3種、そしてカモ類の一部は濾過摂食を行う。ガン類やカモ類は基本的に草食動物である。 グンカンドリ類、カモメ類、トウゾクカモメ類など一部の種は、盗み寄生(ほかの鳥から食料になるものを奪い取ること)を行う。盗み寄生による食料はいずれの種においても、食料の主要な部分というよりは、むしろ狩猟による収穫を補うものであると考えられている。アオツラカツオドリから餌を盗むオオグンカンドリについての研究によれば、奪った餌の割合はかれらの食物のうち多くても40%、平均ではわずか5%と見積もられている。他の鳥類には腐肉食のものがある。なかにはコンドルのように、屍肉に特化したものもあり、また一方ではカモメやカラス、あるいは他の猛禽類のような日和見的に屍肉を利用するものもある。なお一部の鳥類では雛に対して授乳を行う事が知られている。これは哺乳類の授乳とは異なり、食道の一部からミルクを出しているが、こうした行動は先祖である恐竜から受け継いだものかもしれない。
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