く・う〔くふ〕【食う/×喰う】
読み方:くう
[動ワ五(ハ四)]
2 生活をする。暮らしを立てる。「こんな薄給では—・っていけない」
3 口で物をしっかり捕らえる。食いつく。「えさを替えたら魚がよく—・う」
4 虫などがかじって物を傷める。また、虫などがからだを刺す。「衣魚(しみ)の—・った書籍」「蚊に—・われる」
5 しっかりと間に挟む。また、縄状のものが物にめり込む。「ファスナーに布地が—・われる」
6 金銭・時間などがかかる。費やす。「この車はガソリンを—・う」「手間ひま—・う仕事」
7 (「年をくう」の形で)かなりの年齢になる。「いたずらに年を—・うばかりだ」
10 演劇・映画などで、ある俳優の演技が勝っていて共演者をしのぐ。「脇役に—・われる」
11 他から、ある行為、特に望ましくない行為を受ける。こうむる。「門前払いを—・う」「お目玉を—・う」「肩すかしを—・う」
12 (「人をくう」の形で)ばかにする。侮る。「人を—・った態度」
13 自分の利益のために、だまして人を利用する。食い物にする。「タレント志望の少女たちを—・う芸能プロダクション」
「春霞流るるなへに青柳の枝—・ひ持ちてうぐひす鳴くも」〈万・一八二一〉
「指(および)ひとつを引き寄せて—・ひてはべりしを」〈源・帚木〉
[補説] 現代語では、食する意では「食う」がぞんざいで俗語的とされ、一般に「食べる」を用いる。しかし、複合語・慣用句では「食う」が用いられ、「食べる」とは言い換えができないものもある。「たべる(たぶ)」はもともと謙譲・丁寧な言い方であったが、敬意がしだいに失われ通常語となった。
[可能] くえる
[下接句] 泡を食う・一杯食う・犬も食わぬ・同じ釜(かま)の飯を食う・鬼を酢にして食う・糟(かす)を食う・霞(かすみ)を食う・気に食わない・臭い飯を食う・背負(しょ)い投げを食う・粋(すい)が身を食う・すかを食う・側杖(そばづえ)を食う・他人の飯を食う・年を食う・栃麺棒(とちめんぼう)を食う・取って食う・煮て食おうと焼いて食おうと・煮ても焼いても食えない・塗り箸(ばし)で素麺(そうめん)を食う・弾みを食う・人を食う・冷や飯を食う・道草を食う・無駄飯を食う・割を食う
「食う」の例文・使い方・用例・文例
- 好みは人それぞれ違うもの;たで食う虫も好き好き
- 今度の新車はガソリンを多く食う
- 猫はネズミを捕らえて食う
- 人の好みは説明できない;蓼食う虫も好き好き
- 隣の客はよく柿食う客だ。
- 蓼食う虫も好き好き。
- 不意打ちを食う。
- 大型車はガソリンを食う。
- 大魚は小魚を食う。
- 嫉妬心くらい強く人間の心情に巣食う情熱はない。
- 今時、年功序列だなんて言っても、若い奴の反発を食うだけですよ。
- 帰り道で道草を食うんじゃないよ。
- 嘘ばっかりついてるから、皆に総すかんを食うんだ。自業自得だよ。
- ロールプレイングのテレビゲームは時間を食う。
- この事業は金を食う。
- このエンジンが一番油を食う。
- 《諺》 蓼(たで)食う虫も好き好き.
- 《諺》 「蓼(たで)食う虫も好き好き」, 「あばたもえくぼ」.
- 魚はきょうはよく食う.
- 人に不意打ちを食わせる[不意打ちを食う].
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