運営の変遷と第2期区間の電化工事
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/28 23:20 UTC 版)
「ロカ線電化」の記事における「運営の変遷と第2期区間の電化工事」の解説
日本連合が落札、工事を行った第1期区間の電化工事が完了し、1980年代の後半より残りの第2期区間に電化工事が開始されたが、前述の通り第1期区間と第2期区間は別の入札契約となっており、この第2期区間はスペインの協力が行われ、ロカ線の電化されていない主力区間のプラサ・コンスティトゥシオン - ラプラタ間(2系統)の一部に、スペイン国内で使用されているものと同様の「スペイン国鉄仕様」と呼ばれる鉄製の架線柱が設置されたが、アルゼンチンが再びハイパーインフレとなったことからこの工事は中断された。 1991年、鉄道労働組合が大規模なストライキを起こし、運営・管理がアルゼンチン国鉄から首都圏鉄道会社(スペイン語版)(Ferrocarriles Metropolitanos S.A. - FE.ME.SA.)へ移管され、さらに1995年からは当時のカルロス・メネム大統領の経済立て計画の一環として路線・車両の保有と運営が10年単位契約のコンセッション方式により民営化された。 しかし、この民営化でロカ線を運営することとなったTMR(英語版)(Transportes Metropolitano Roca、保有は親会社のMetropolitano)は、国からコンセッションの条件として補助金とともに与えられた「サービスの向上」と「定時運行の厳守」「利用者の増加」および「第2期区間の電化」の条件を満たすことが出来ず、特に2000年代以降は親会社の総支配人による補助金の不正利用も明らかとなるなか、2002年に17年ぶりとなる電化区間の延伸がグレウ - アレハンドロ・コルン間で行われ、2004年にはテンペルレイ - クライポレ間が電化された。これらは上記の「第2期区間の電化」計画の一部であり、このまま電化が進むと思われたが、何年かけても上記の条件を満たすことが出来ず、2006年には運営状態が日に日に悪化するTMRに抗議する一部の利用者が電車に投石する事件が発生。同年内に同社は2008年までの2年間で行う予定の「リノベーション」計画を策定したものの、翌2007年5月には「牛(=家畜)のように移動させられている」と抗議を行う一部の利用者がプラサ・コンスティトゥシオン駅構内とそこに停車していた電車2編成を放火する事件が発生し、それと同時にTMRはコンセッションを終了させられた。運営・管理と車両の保有は政府と他の民営企業3社による合弁のUGOFE(緊急鉄道運営組織)に変更となった。 UGOFEはTMRが行わなかった線路や車両の整備・更新を優先したため、電化区間の延伸は行われなかった。2013年にUGOFEは解体され、後任は再び民営企業であるArgentrenが引き継いだあと、2015年に再び政府の手に戻り、それより新アルゼンチン国鉄が運営・保有を行っている。 この新アルゼンチン国鉄はすぐにのこりの電化計画区間の電化を軸とした「五か年計画」を制定。その計画のもとで電化区間の延伸が再開され、2017年から2018年にかけてクライポレ - ボスケス間およびプラサ・コンスティトゥシオン - ラプラタ間(キルメス経由の路線のみ)の電化が完成。今後も電化区間は伸び、最終的にはボスケス - ビシャ・エリーザ間、エセイサ - カニュエラス間が電化されることで全ての計画が実行される予定である。 なお、ロカ線の電化に際しては、電気機関車は1両も用意されていない。これは、非電化区間へ直通する列車の牽引を旅客・貨物問わずディーゼル機関車が一貫して行い、電化区間内のみを運行する列車を電車へ置き換えたことによるものである。 ブエノスアイレス近郊路線の一つであるロカ線の運行形態図(中・長距離列車とラプラタ市内路線は除く)鉄道網の形態的にはテンペルレイ - アエド間はサルミエント鉄道に所属するほか、グティエレス - ビシャ・エリーザ間の客扱いは休止中のため掲載されていない ロカ線で使用されたプッシュプル運転用の運転室付き客車 プッシュプル列車に使用された"GAIA"形ディーゼル機関車 ロカ線の非電化区間の主力車両であるEMD G22形ディーゼル機関車とFiat-Materfer製「近郊形客車」の編成 電化準備工事の一環として建てられた鉄製の架線柱の脇を通過するプラサ・コンスティトゥシオン発ラプラタ行きの客車列車腕木式信号機の姿も見える 架線下を行く客車列車混雑のため客車とディーゼル機関車の外にまで乗客が溢れている プラサ・コンスティトゥシオンに停車中の電化前のラプラタ行き客車列車混雑のため乗降扉の外にも乗客の姿が見える 電化延伸区間において架空電車線を支える可動ブラケットの長幹碍子部を架線柱に固定する作業を行う新アルゼンチン国鉄の作業員可動ブラケットの形状は日本国内で使用されているものと共通 最初の電化で登場した日本製の"Toshiba"電車(左)ラプラタ電化を中心とした電化区間延伸の目玉として登場した中国製(主制御器は日本製)の"Chino/CSR-Mitsubishi"電車(右)現在の主力がプラサ・コンスティトゥシオンで並ぶ
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