薩摩の馬踊りの習俗とは? わかりやすく解説

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薩摩の馬踊りの習俗(鹿児島県)


薩摩の馬踊りの習俗

名称: 薩摩の馬踊りの習俗
ふりがな さつまのうまおどりのしゅうぞく
種別1: 風俗習慣
保護団体名:
選択年月日 2002.02.12(平成14.02.12)
都道府県(列記): 鹿児島県
市区町村(列記):
代表都道府県 鹿児島県
備考 旧暦1月18日次の日曜日ほか
解説文: 鹿児島県下では、小型の俵に御幣【ごへい】や幟【のぼり】、造花玩具振り太鼓などを刺して飾った鞍を置き、胸に鈴を帯状に付け飾り馬を、三味線や鉦・太鼓囃子合わせて踊らせ多数踊り子がこれに続いて踊る、馬踊りまたは鈴掛すずか】け馬【うま】と呼ばれる行事各地伝承されている。
 これらの行事は、姶良【あいら】郡隼人町【はやとちょう】に鎮座する鹿児島神宮初午祭奉納される鈴掛馬踊り各地伝播したものとされており、その由来について室町時代からとするなどの諸説がある。室町時代説は、一六世紀中ごろに、当時この地を領有していた島津貴久らの夢枕馬頭観音立ったことに始まるとする霊夢起源譚【れいむきげんたん】であり、その他の有力な説としては神宮御神馬飼育していた加治木町木田郷の人びとが、成長した馬を神宮納め参ったことから始まったとする説などがある。
 鹿児島神宮初午祭は、もとは霊夢のあったと伝えられている日にちなんで一月十八日が縁日とされており、同社鈴掛け馬の行事は、かつては十八日の馬と呼ばれていた。この馬踊り行事は、一月十九日行われる姶良町【あいらちょう】鍋倉稲荷神社十九日の馬、一月二十日蒲生町【かもうちょう】の八幡神社馬櫪神【ばれきしん】で行われる二十日の馬などへと連なっており、現在、宮崎県都城市みやこのじょうし】などで行われているジャンカ馬もこの系統属するものであるという。
 鹿児島神宮初午祭は、現在は旧暦一月十八日の次の日曜日行われている。各馬は同社末社となっている保食【うけもち神社宇気母智【うけもち大神)に参拝して幟と御幣受けた後、それを鞍に刺して境内向かい神宮境内作られ馬踊り場と、神社本殿前の馬踊り場で踊り奉納する。馬は左手綱と後手綱で操られ三味線・鉦・太鼓囃子合わせて、足をやや交差するように細かく動かし、頭を上下振りながら軽やかにステップを踏む。馬の後には揃い衣装着飾った多数踊り子踊りながら続く。この踊り馬踊りという。
 この行事本来の目的は馬の健康や多産祈願農作物豊穣祈願などにあり、かつては各集落の長である名頭【みょうず】が農耕馬を牽いて代参しており、昭和四十年(一九六五)ころまでは地区単位奉納する馬も見られたという。しかし、このころから農耕馬減少し奉納される馬も少なくなった。その後昭和五十年(一九七五)ころから男の厄年の人たちが共同奉納する風習始まり、現在では厄祓い歳祝い豊作祈願商売繁盛祈願などの目的奉納されることとなった。なお、これに伴って奉納者も木田郷を除くと、厄祓い歳祝い同年集団自治会会社など地縁的職域団体などとなっており、これらの人たちは馬を飼育する牧場などの募集加わって奉納している。
 こうした馬踊り一行は、鹿児島神宮での奉納が終わると、隼人町だけでなく、国分町【こくぶちょう】、加治木町【かじきちょう】などの民家回って門付けをする。この地域には、新築の家の庭に馬の蹄の跡を付けると縁起がよいという俗信があり、各家では馬踊り一行訪れ歓迎する風習がある。
 また、上棟式婚礼などには馬がいなくても踊り子だけで馬踊りを行う風習もある。結婚式などでは参加者余興に踊ることが多いが、上棟式には郷中婦人たちが顔を仮面などで隠してさまざまに扮装し一升瓶笹竹下げ、缶を叩いたしながら馬踊りリズムなだれ込む風習がある。これをセックンケンチなどといい、招待されなくとも勝手に来るもので、来られた家ではご祝儀を包むものとされる
 もともとの目的は、馬の健康や多産祈願したり、農作物豊穣祈願したりしたが、現在では厄払い歳祝い商売繁盛などの目的奉納されるほか、上棟式婚礼でも踊り子だけで馬踊りを行う風習見られるうになるなど変容恐れが高い行事であり、早急に記録作成等の措置講じる必要がある


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