海中基礎
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 05:00 UTC 版)
瀬戸大橋の海中基礎17基の内、既存技術で対応できたのは6基、残りの11基のために大規模な基礎向けの設置ケーソン工法が開発された。対象は、櫃石島橋2基 (2P・3P)、岩黒島橋3基 (2P・3P・4P) と南北備讃瀬戸大橋6基 (2P・3P・4A・5P・6P・7A)。計11基に使われた海中コンクリートは54万m3で、そのなかでも南北備讃瀬戸大橋の7Aアンカレイジ (海中・気中コンクリート量それぞれ23万 m3、18万6000 m3) と4Aアンカレイジ (同、3万7200 m3、25万3500 m3) は大きく、全体工程のクリティカルパスになった。水中発破とグラブ船による岩盤掘削を行い、鋼製ケーソンを沈設、粗骨材充填後、モルタルを注入する。骨材を先に充填するためプレパックドコンクリートと呼ばれる工法である。原理的には単純な工法で国内外に先例はあったが、この規模の水中発破や海中コンクリートは世界でもほとんど例のないものだった。そのため、超音波信号や電磁誘導をトリガーとする水中発破、岩盤掘削面の平坦化、大型ケーソン位置決め、大型モルタルプラント船、大型移動式海上足場、大型クレーン船などに関わる新しい技術が開発された。 水中発破の実施にあたっては、魚への影響を調べる調査研究が行われ、距離500 mでピーク圧力2 kg/cm2以下という条件で漁業関係者との合意を得た。圧力波に最も弱いのはメバルで、アイナメが最も強かった。建設中に行われた156回の水中発破の圧力は測定により1 kg/cm2以下であることが確認されている。また、7Aアンカレイジから430 mの距離にある石油精製プラントへの振動による影響を防ぐため、1秒間隔で12段に発破を分ける秒差段発起爆工法も開発された。
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