導術
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/30 00:20 UTC 版)
念話および千里眼に分類される一種の超能力であり、またそれらを用いる技術の総称である。 導術を使用すると発生する“波”は導波と呼ばれる。この導波は、あらゆる生物から発せられるものであるが、導術としての能動的に使えるのは、天龍と人間だけである。導波はその生物のごとによって“波長”が大きく異なるため、導波による術者や導波を発する生物の識別は比較的容易であるが、同じ人間同士が同時多数に導術を用いると“混信”が起こる。 導波の特性には他に、距離や地形によって減衰または遮断されるというものがある。このため、丘の上や空中などの高所で用いると効率が良い。 導術者 導術を扱えるものは導術者または術者、あるいは単に導術と呼ばれる。また軍隊の中では階級によって導術士、導術兵とも呼ばれる。 天龍族の導術は、全ての天龍に備わるごく一般的な力である。天龍は導術を日常的に扱い、それを以って人間と同様に会話をする。しかし生まれながにして扱えるわけではなく、生まれて間もない天龍は意味のある導術を使うことができない。 人間の導術は、生まれつきの素質がある者が訓練を受け、更に額に銀盤と呼ばれる特殊な金属から作られる金属盤を埋め込まなければならない、などと非常に制約が多い。しかし受動的には、天龍ほどの強い導力で且つ近距離であれば、素質や素養の無い人間とも一方的にではあるものの、導波による意思疎通ができる。 導術の行使には多大な集中力が必要であり、場合によっては些細な環境の変化で導力が大きく変動することがある。 術者の銀盤は術者の導力の枯渇具合に応じて輝きが鈍り、術者もそれに応じて疲労する。術者が疲れ切ると銀盤は黒く曇り、体力を大きく損ない、ひと月は能力枯渇で使い物にならなくとされる。その状態で更に導術を使い続けると、失神や最悪の場合には死に至る。また、強いプレッシャーや大きなストレスは術者の精神を動揺させ導術の効率を大きく損なわせる。この状態で導術を酷使すると非常に短時間で導力枯渇に至る。 軍隊の導術者は野外で行動する軍隊の特性上、大きな体力が要求される。そのため術者には熟練具合よりも体力の強さ、つまり若さが尊ばれる場合が多い。特に野戦部隊にはこの傾向が顕著である。また、術者の体力消耗を防ぐため、階級の高低にかかわらず、術者には移動手段が用意される場合がある。 導術の利用 導術の利用は〈皇国〉と皇国人に限られる。これは〈皇国〉以外の国では、利用に積極的でないこともあるが、特に〈帝国〉では導術は石神を奉じる拝石教から「背天の技」と呼称される宗教的禁忌とされただけでなく、過去には民衆から魔女狩りに等しい大弾圧に晒されたため、現在では政教的理由もあるが、素質のある人間は血筋を含めて絶滅状態にあるため、〈帝国〉は導術を利用しない。 〈皇国〉では商取引の情報通信等ごく日常的に用いられているが、かつて諸将時代末期に、諸将家による導術弾圧があったため陸軍での導術の軍事的利用は廃れ、近年になって導術兵科として復活するも未だ小規模であり、運用も未熟なため、導術通信は部隊以上の連絡に限られ、部隊以下の隊での連絡はまだ実験の域である。 導術の主な利用法は通信・索敵といった使い方である。また、これらに対して、妨害をする技術も存在する。 導術による通信とは、遠くにいる術者と意思の疎通を行うことである。人間の通信はいわゆる電報文体のように簡素化されているが、天龍の通信は、ほぼ普通の会話と変わらない。また、通信にはある程度の指向性をもたせることができるが、天龍の場合、ここからさらに多数いる人間の中から一人だけに絞って通信することができる。 導術による索敵は、離れた場所にいる人間や馬・龍などを感知する能力である。これは透視や遠隔視といった千里眼ではなく、遠くにいる生物が発する導波を捉えることによって“視る”といったものである。導波は、それを発する生物などが多数いるほど際立ち、または活動的であるほど強くなるので、遠くからでも正確に視る事ができる。しかし反対に索敵対象が少数行動によって導波が目立たない状態であった場合や、睡眠などの導波が不活性になる状態では捉え損なうことがある。またこの索敵は通信と比べ術者に並ではない集中力が必要とするため、疲労の度合いによっては、曖昧にしか見えなくなる。 通信以外の使用法として、導術を利用した念写と呼ばれる記録媒体が作られていて、念写師と称される専門家も存在する(写真に相当する技術はまだ実用化されていない)。理由は不明だが、妙なものが映り込んでいる(いわゆる心霊写真のような現象)事もある。新城直衛の念写も後世に残っている。
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