実働
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 09:45 UTC 版)
水上部隊は11月27日昼に現場海面に到着、巡視船「みやけ」「のじま」と合流した。「はるな」から発進したHSS-2ヘリコプターの調査により、「雄洋丸」右舷の外板の一部が熱で脱落していることが判明し、まずここを射撃することとなった。 13時45分から14時5分にかけて、単縦陣同航対勢で5インチ砲による第1回射撃を実施した。これにより、右舷3・4番ナフサタンクが破壊されて大火災が生じ、また右舷が軽くなったことで左へ約10度傾いた。続いて15時半から16時5分にかけて、今度は単縦陣反航対勢で第2回射撃を実施し、左舷1・2番ナフサタンクを破壊した。これらの射撃によって積荷のプロパンやナフサが炎上し、火炎の高さは約100メートルに達した。水上部隊は周囲を巡回しながら監視を続け、翌日に備えることとなった。 翌11月28日は、9時から10時20分にかけて、航空機による射爆撃が行われた。まず4機のS2Fが2機ずつの編隊に分かれて127 mmロケット弾の射撃を行った。続いて3機のP-2Jの対潜爆弾による爆撃が行われた。P-2Jが潜水艦を爆撃する際には高度200フィート (61 m)での低高度爆撃を行っていたが、今回の攻撃では高度3,000フィート (910 m)からの水平爆撃を行うことになっており、データがなく照準器が使えなかったことから、航法用の偏流測定儀を使って照準することになり、太平洋戦争中の艦上攻撃機の搭乗員経験者を中心にして徹夜で射表が作成された。 11時より、「なるしお」による雷撃が開始された。1本目は、発射後規定の時間が経過しても航走を開始しなかったため、水打ち(艦外放棄)とした。しかしこのとき、魚雷に付き添って呉水雷調整所から派遣されていたベテランの整備員(1等海曹)が、これ以降の魚雷でも発動遅れが生じることを予想して、艦長に対し、2発目以降では60秒待つように進言した。艦長がこの進言に従ったところ、予想通り、いずれもやや遅れて航走を開始し、2本目は左舷に、また3本目は船体中央付近に命中した。ただし4本目は、調定深度が深い魚雷を使用したために命中せず、船底を通過したまま行方不明となった。 その後も「雄洋丸」は健在だったことから、まず15時12分より「ゆきかぜ」単艦が同航対勢で右舷1番タンクに対し射撃を実施したのち、16時16分にかけて、単縦陣反航対勢で左舷への射撃を実施した。 18時47分、20日間炎上し続けた「第十雄洋丸」は犬吠埼灯台の東南東約520 kmの海域に沈没した。「第十雄洋丸」の船体が水没した後も、船体がきしむ音が「なるしお」のソナーで記録されている。護衛艦各艦では、信号員がラッパで「悲しみの譜」を吹奏し、また汽笛で超長音を吹鳴して、見送った。
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