リクエスト制度の導入
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 20:47 UTC 版)
「野球のビデオ判定」の記事における「リクエスト制度の導入」の解説
MLBで導入されているチャレンジ方式については、12球団監督からの要望は多いものの「すべてをリプレーに頼るのは審判員の技術向上に逆行する」と審判側の慎重な意見もあり、長らく導入には至っていなかった。 しかし2018年シーズンより「監督が審判の判定に異議がある場合、ビデオ映像によるリプレー検証を求めることができる」という新ルールが施行されることとなった。こちらのビデオ判定の名称は「チャレンジ」ではなく「リクエスト」となっている。基本的なルールはMLBと同じで、監督がリクエスト権を行使できる回数は1試合につき2度(延長戦に入った場合は繰り越さずに1イニングに1度)。ダグアウトから出て来て両手で長方形を描くスクリーンのサインを送ることで発動される。リプレー検証の結果判定が覆れば回数は2度のまま継続、判定通りなら1度ずつ権利が減る。また、リクエストを受けた審判は、5分以内にリプレー検証を済ませて判定を示さなければならない。判定を覆せる材料がなかった場合は当初の判定が優先される。なお、従来どおり審判団の判断によるリプレー検証を行う場合もある。 一方、ビデオ判定環境に関しては、MLBではビデオ判定のためのカメラを独自に30球団の本拠地球場に設置、1球場につき約12台も増設されたカメラから送られてくる映像を、ニューヨークのオペレーション・センターでビデオ専門の判定員が見極め、最終的なジャッジを下し、球場の審判に伝えているのに対し、日本で判定に使われるのはテレビ中継の映像で、現場の審判たちが自分の目で確認する。この際、当該審判員は検証に加わらない。 リプレー検証を求めることができるのは本塁打とファウルボール、各塁におけるアウトかセーフかだけで、以下のプレーはリクエストを行使できない。また、リプレー検証後の判定が最終的なものであるため、なおも異議を唱えた場合は、監督と異議を唱えた者が退場となる。 投球判定(ストライク、ボール)。ただし、死球か否かのリクエストは可能。 ハーフスイング本制度とは関係なく、線審にスイングの判定を求めることができる。 自打球 インフィールドフライ 審判員(塁審)より前方の打球のフェア or ファウル ボーク リクエストの適用第1号は、2018年3月30日の東京ドームで行われた読売ジャイアンツ対阪神タイガースの開幕戦。2回一死、長野久義が右翼ポール際に放った大飛球がファールと判定され、巨人監督の高橋由伸が行使したが、判定は覆らなかった。リクエストの成功第1号は、同日に行われた対東北楽天ゴールデンイーグルス戦での千葉ロッテマリーンズである。1回、併殺を狙ったプレーで、一塁塁審の秋村謙宏はセーフの判決を下したが、ロッテ監督の井口資仁がリクエストを行使。検証で覆り、併殺成立となった。 また2019年シーズンからは、リクエスト対象に「本塁での衝突プレー(コリジョンルール適用対象)」「併殺崩しの危険なスライディング」「頭部死球(ビーンボール、危険球)を巡る判定」が追加された。 2020年シーズンからは、飛球や送球の正規捕球(完全捕球。一度グラブに入った後にボールを落とした場合など)についても対象となった。 2021年のオールスターゲームでは、第2戦(楽天生命パーク)の7回ウラに走者の3塁アウトを巡って原監督がリクエストを行使し、判定がセーフからアウトに覆った。
※この「リクエスト制度の導入」の解説は、「野球のビデオ判定」の解説の一部です。
「リクエスト制度の導入」を含む「野球のビデオ判定」の記事については、「野球のビデオ判定」の概要を参照ください。
- リクエスト制度の導入のページへのリンク