ニュートリノ‐しんどう【ニュートリノ振動】
ニュートリノ振動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/07 10:24 UTC 版)
ニュートリノ振動(ニュートリノしんどう、英: neutrino oscillation)は、生成時に決定されたニュートリノのフレーバー(電子、ミューオン、タウ粒子のいずれか)が、後に別のフレーバーとして観測される素粒子物理学での現象。その存在確率はニュートリノが伝搬していく過程で周期的に変化(すなわち振動)する。これはニュートリノが質量を持つことにより起きるとされ、素粒子物理学の標準模型では説明できない。
- ^ Maki, Z.; Nakagawa, M.; Sakata, S. (11 1962). “Remarks on the Unified Model of Elementary Particles”. Progress of Theoretical Physics 28 (5): 870-880 .
- ^ 梶田隆章 (1998-10-05). “ニュートリノ振動の証拠 - スーパーカミオカンデにおける大気ニュートリノの観測から”. 日本物理学会誌 53 (10): 783-784 .
- ^ “The Nobel Prize in Physics 2015”. Nobel Media AB. 2021年10月7日閲覧。
- ^ a b “ニュートリノ振動を初確認 日本も参加の国際実験”. 47NEWS (共同通信). (2010年5月31日). オリジナルの2010年6月3日時点におけるアーカイブ。 2010年6月1日閲覧。
- ^ a b “ニュートリノ振動、初の直接観測…質量裏付け”. YOMIURI ONLINE (読売新聞). (2010年6月1日). オリジナルの2010年6月3日時点におけるアーカイブ。 2010年6月1日閲覧。
- ^ “荷電レプトン混合現象の探索”. 大阪大学 素粒子物理学実験研究グループ 久野研究室. 2016年1月3日閲覧。
- 1 ニュートリノ振動とは
- 2 ニュートリノ振動の概要
- 3 歴史
- 4 実験
- 5 脚注
ニュートリノ振動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/08 14:53 UTC 版)
詳細は「ニュートリノ振動」を参照 ニュートリノ振動は1957年にブルーノ・ポンテコルボにより提唱された。この理論は、k中間子振動(英語版)から類推された。彼は、その後10年で真空の振動理論の現代的な数学による定式化に取り組んだ。1962年、坂田昌一・牧二郎・中川昌美がニュートリノが質量を持ち、ニュートリノが電子・ミュー・タウの型の間で変化するニュートリノ振動を予測した。この定式化に用いられた行列はポンテコルボ・牧・中川・坂田行列と呼ばれている。 この現象について、1998年6月に梶田隆章らによるスーパーカミオカンデ共同実験グループは、宇宙線が大気と衝突する際に発生する大気ニュートリノの観測から、ニュートリノ振動の証拠を99%の確度で確認した。また、2001年には、アーサー・B・マクドナルドらによるサドベリー・ニュートリノ天文台が太陽ニュートリノの観察からも強い証拠を得た。 ニュートリノ振動が観測されたことにより、ニュートリノには質量があることが分かった。
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ニュートリノ振動
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「日本の発明・発見の一覧」の記事における「ニュートリノ振動」の解説
1962年に坂田昌一・牧二郎・中川昌美によって、フレーバー間で振動するニュートリノ振動の理論が提唱された。梶田隆章のグループは1998年に大気から降り注ぐニュートリノをスーパーカミオカンデで観測することにより、この現象を実証した。
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ニュートリノ振動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/27 02:19 UTC 版)
「ニュートリノ振動」を参照 1998年に神岡鉱山に設置されたスーパーカミオカンデによりニュートリノ振動が発見されたが、これは質量を持ったニュートリノが存在することの証明となっている。標準模型ではニュートリノの質量は厳密に0であるため、この実験結果は標準模型には何らかの修正が必要であることを示すものの一つとして重要である。単純にニュートリノの質量項を標準模型の枠組みに加える場合は右巻きニュートリノを導入すればよいが、標準模型の荷電を用いると右巻きニュートリノはマヨラナ粒子となり右巻きニュートリノだけで組む質量項(マヨラナ質量項)が現れ、質量構造が複雑化する。これを取り入れた枠組みとして代表的なものの一つがシーソー機構である。
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ニュートリノ振動
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「アイスキューブ・ニュートリノ観測所」の記事における「ニュートリノ振動」の解説
アイスキューブは地球の反対側で発生し、地球を突き抜けてきた大気ニュートリノ(空気シャワー由来のニュートリノ)を観測できる。高感度に検出できるのは"Deep Core strings"で観測できる25GeVまでである。ニュートリノ振動にはθ12、θ23、θ13の3つの振動角があるが、そのうちアイスキューブで測定できるのはθ23である。実験の精度を高めることでニュートリノの質量階層構造(3種のニュートリノの質量の順番)が明らかになるかも知れない。階層構造の決定には2011年時点で唯一測定されていないθ13の測定が必要であり、そのためにはθ13が十分に大きい必要がある。
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ニュートリノ振動
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「大亜湾原子炉ニュートリノ実験」の記事における「ニュートリノ振動」の解説
この実験は大亜湾原子力発電所と嶺澳原子力発電所の原子炉で生成される反ニュートリノを用いて、ニュートリノ振動を研究し、混合角θ13を測定することを目的としている。科学者は、ニュートリノでCP対称性の破れがあるかどうかにも興味を持っている。 2012年3月8日、大亜湾共同研究グループは5.2σの有意性で以下のようにθ13≠0であることを発見したと発表した sin 2 ( 2 θ 13 ) = 0.092 ± 0.016 ( s t a t ) ± 0.005 ( s y s t ) . {\displaystyle \sin ^{2}(2\ \theta _{13})=0.092\pm 0.016\,\mathrm {(stat)} \pm 0.005\,\mathrm {(syst)} .} この意義深い結果は新しい種類のニュートリノ振動を表しており、それは驚くほど大きなものである 。これはT2K、MINOS(英語版)そしてダブルショーで以前に測定されたより有意性の低い結果と矛盾しない。θ13がこれほど大きいならば、NOνAはニュートリノ質量階層性を検出できる可能性が50%程度の確率であるといえる。これらの実験でニュートリノのCP対称性の破れも探査することができる可能性がある。 共同研究グループは2014年に解析結果を更新した。エネルギースペクトルを使用することで混合角の範囲が改善された。 sin 2 ( 2 θ 13 ) = 0.090 − 0.009 + 0.008 {\displaystyle \sin ^{2}(2\ \theta _{13})=0.090_{-0.009}^{+0.008}} 水素によって捕捉された中性子からの事象を使用した独立した測定の結果も公表された: sin 2 ( 2 θ 13 ) = 0.083 ± 0.018 {\displaystyle \sin ^{2}(2\ \theta _{13})=0.083\pm 0.018} . 大亜湾のデータを使用して、軽いステライルニュートリノの信号が探索され、以前には未探査だった質量領域が除外された。 Moriond 2015物理学カンファレンスで、混合角と質量差の新たな最適値が発表された: sin 2 ( 2 θ 13 ) = 0.084 ± 0.005 , | Δ m e e 2 | = 2.44 − 0.11 + 0.10 × 10 − 3 e V 2 {\displaystyle \sin ^{2}(2\ \theta _{13})=0.084\pm 0.005,\qquad |\Delta m_{ee}^{2}|=2.44_{-0.11}^{+0.10}\times 10^{-3}{\rm {eV}}^{2}}
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