ナイロン-66とは? わかりやすく解説

ナイロン6,6

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/30 21:18 UTC 版)

ナイロン6,6
識別情報
CAS登録番号 32131-17-2
PubChem 3032893
ChemSpider None
特性
化学式 (C12H22N2O2)n
密度 1.140 g/mL (Zytel)
融点

264 °C (507 °F)

特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

ナイロン6,6(ナイロン66、ナイロン6-6、ナイロン6/6、ナイロン6:6、6,6ナイロン、6,6-ナイロンなどとも)は、ポリアミドまたはナイロンの一種。ナイロン6とともに繊維産業とプラスチック産業で最も一般的である。それぞれ6つの炭素原子を含む2つのモノマー、ヘキサメチレンジアミンアジピン酸からなり、これが名前の由来である[1]

合成と製造

ヘキサメチレンジアミン(上)とアジピン酸(下)、ナイロン6,6の重縮合に使用されるモノマー。

ナイロン6,6は、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の重縮合により合成される。当量のヘキサメチレンジアミンとアジピン酸を反応器で水と混ぜ合わせる。これを結晶化してアルミニウム/カルボン酸塩の混合物であるナイロン塩を作成する。ナイロン塩は反応容器に入り、そこで重合プロセスが数回に分けてまたは連続的に行われる[2]

水を除去すると酸とアミンの機能からアミド結合が形成され、反応が重合に向けて促進される。このようにして溶融ナイロン6,6が形成される。この時点で押し出し造粒する、または直接紡糸口金(細かい穴のある小さな金属板)を介して押し出し冷却してフィラメントを作成することで繊維に直接紡糸することができる。

用途

2011年の世界生産量は200万トンであった。生産量の半分強は繊維であり、残りはエンジニアリング樹脂である。配向ができないためフィルムには使用されていない。2010年の需要のうち、繊維市場が55%を占め、残りがエンジニアリング熱可塑性樹脂であった[3]

ナイロン6,6は、高い機械的強度、剛性、耐熱性および/または耐薬品性が要求される場合に頻繁に使用される[4]。テキスタイルやカーペット、成形品の繊維に使用されている。テキスタイルの場合、さまざまなブランドで販売されており、例えば荷物用のNilitブランドまたはコーデュラブランドであるが、エアバッグ、アパレル、Ultronブランドのカーペット繊維にも使用されている。ナイロン6,6は主に射出成形により3D構造物を作成するのに適している。自動車の用途で広く使用されており、ラジエーターエンドタンク、ロッカーカバー、エアインテークマニホールド、オイルパンなど「ボンネットの下」の部品[5]や、ヒンジ[6]やボールベアリングケージなどの他の多くの構造部品などに使用される。その他の用途には、電気絶縁素子、パイプ、プロファイル、さまざまな機械部品、結束バンド、コンベヤーベルト、ホース、ポリマーフレームの兵器、ターンアウトブランケットがある[7]。ギターのナット素材としても人気がある[8]

特にガラス繊維強化グレードは、ハロゲンフリーであり効果的に難燃性を実現できる。リンをベースとした難燃剤系はこれらの耐火ポリマーに使用されており、アルミニウムジエチルホスフォネート英語版と相乗剤をベースにしている。これらはUL 94可燃性試験、グローワイヤ着火性試験 (GWIT)、グローワイヤ可燃性試験 (GWFI) および比較追跡指数 (CTI) に適合するように設計される。その主な用途は電気電子 (E&E) 業界である。

レミントンナイロン66英語版は、1959年から1989年にかけてレミントン・アームズにより製造された.22ライフルである。この銃の銃床とレシーバーは、どちらもDupont Zytelのナイロン樹脂で作られていた。

関連項目

出典

  1. ^ Palmer, Robert J. (2001). "Polyamides, Plastics". Polyamides, Plastics. Encyclopedia Of Polymer Science and Technology (4th ed.). John Wiley & Sons, Inc. doi:10.1002/0471440264.pst251. ISBN 0471440264
  2. ^ US patent 2130523, Carothers W.H., "Linear polyamides and their production", issued 1938-09-20, assigned to EI Du Pont de Nemours and Co. 
  3. ^ PCI extract for PA66, The PCI Group, オリジナルの2015-05-18時点におけるアーカイブ。, https://web.archive.org/web/20150518091148/http://pcinylon.com/index.php/markets-covered/polyamide-66 2019年1月5日閲覧。 
  4. ^ Viers, Brendt D. (1999). Polymer Data Handbook. Oxford University Press, Inc. p. 189. ISBN 978-0195107890 
  5. ^ (PDF) Oil Pan, 35% glass reinforced 66, M-Base Engineering + Software GmbH, (19 April 2015), http://www.materialdatacenter.com/mb/main/pdf/application/16449 
  6. ^ (PDF) Tailgate hinge 50% glass reinforced 66, M-Base Engineering + Software GmbH, (18 April 2015), http://www.materialdatacenter.com/mb/main/pdf/application/13531 
  7. ^ PA66 PLASTIC RESIN”. rdplas.com.vn. RD Vietnam Industry Co., Ltd. 2019年11月2日閲覧。
  8. ^ Nylon Guitar Nut Blank (1-3/4 x 3/8 x 3/16)”. Mojotone. 2015年4月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年4月18日閲覧。

ナイロン66

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/06/24 22:07 UTC 版)

ポリアミド」の記事における「ナイロン66」の解説

ナイロン66は、米デュポン社ウォーレス・カロザース発明した全人工合成による合成繊維であり、天然繊維化学変換により可溶化繊維として再生したそれまで合成繊維とは一線を画する。略称はPA66、融点265ガラス遷移50比重1.14である。当初Nylon®の商標販売されたが、Nyronの用語は一般に脂肪族骨格を含むポリアミドナイロン総称するようになり、今日では、他のナイロン類と区別する場合はナイロン66と呼ばれる。 「石炭空気から作られ鋼鉄よりも強くクモの糸より細い」という米デュポン社キャッチフレーズが示すように、吸湿性強度など繊維としての特性ポリエステル繊維より優れ天然繊維比べて遜色はないので、今日においても衣料繊維として広く使用されている。 記事ナイロンに詳しい。

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