トマトソースのパスタの誕生
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 21:04 UTC 版)
「ナポリタン」の記事における「トマトソースのパスタの誕生」の解説
ナポリタンはトマトケチャップを用いて作られる料理であるが、トマトが新大陸からスペイン経由でナポリに伝わったのは1554年とされる。 当時のナポリは良港として名高く、またシチリアとともにスペイン・ハプスブルク朝に支配されていたため、スペインを通じて新大陸の食材が手に入りやすい環境にあった。トマトソースのパスタは17-18世紀ごろにはナポリに存在していたとされる。 歴史的にトマトベースのソースを記した最初のイタリア料理書は、在ナポリスペイン副王の宰相に家令として仕えたイタリア人シェフ、アントニオ・ラティーニ(英: Antonio Latini)が著し1696年に発行された Lo Scalco alla Moderna(『近代的家令』あるいは『現代の給仕長』など)である。同書にはトマトを使った「Salsa di pomadoro alla spagnola(スペイン風トマトソース)」が記されている。 このソースは、皮をむいて刻んだトマトに、みじん切りのタマネギとピーマン、イブキジャコウソウ、塩、オイル、酢などを混ぜたもので、ラティーニ自身は茹でた肉にかけることを奨めていた。 1773年には、ナポリ在住のヴィンチェンツォ・コラード(伊: Vincenzo Corrado)が、著書Il Cuoco Galante(『粋な料理人』)の中でトマトソースの汎用性を賞賛し、トマトソースと組み合わせるものの例として、肉、魚、卵や野菜とともにパスタも挙げている。 1790年には、ローマ出身の料理人フランチェスコ・レオナルディ(英: Francesco Leonardi (chef))も、著書L'Apicio moderno(『現代のアピキウス』)で、トマトソースとパスタとの組み合わせを紹介している。 トマトとパスタを組みあわせた料理のレシピが文献に登場するのは、1839年にナポリのヴォンヴィチーノ公爵であるイッポリート・カヴァルカンティ(伊: Ippolito Cavalcanti)が著した Cucina Teorico-Practica(『料理の理論と実践』)に記載された「ヴェルミチェッリのトマト添え」が最初だとされる。
※この「トマトソースのパスタの誕生」の解説は、「ナポリタン」の解説の一部です。
「トマトソースのパスタの誕生」を含む「ナポリタン」の記事については、「ナポリタン」の概要を参照ください。
- トマトソースのパスタの誕生のページへのリンク