アルメニア祖語の音韻論的発展とは? わかりやすく解説

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アルメニア祖語の音韻論的発展

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/17 08:11 UTC 版)

アルメニア祖語」の記事における「アルメニア祖語の音韻論的発展」の解説

アルメニア祖語音韻変化多様であり、奇抜である(たとえば *dw- が erk- をもたらしたように)。また、多く場合においてよく分かっていない。このためアルメニア語はすぐにインド・ヨーロッパ語族語派であることがその状態ゆえに認められず、Heinrich Hübschmannがこれが独立した語派であると1874年確立するまでは、これらは非常に変化した単なるイラン語であると考えられていた。 多く現代の研究者はギリシャ・アルメニア仮説否定しており、これらの二つ言語の間の言語的近接水増しされたものである提案している。Clackson (2008) はアルメニア語インド・イラン諸語と同じ程度ギリシャ語フリュギア語に近いと断言している。Ronald I. Kim特有の形態論発展アルメニア語とバルト・スラヴ諸語を関係させると指摘している。 いくつかの環境アルメニア語では帯気破裂音はよりw, h, ∅に大きく弱化しており、インド・ヨーロッパ祖語対格)*pódm̥ 「脚(foot)」 > アルメニア語 otn vs. ギリシア語 (対格) póda, インド・ヨーロッパ祖語 *tréyes 「三(three)」 > アルメニア祖語 erekʿ vs. ギリシア語 treis。 Diakonoffによればアルメニア語は、フルリ語(とウラルトゥ語)、ルウィ語、ムシュキ語との融合物(amalgam)であり、歴史的区域到達した後にアルメニア祖語巨大な影響最終的に置き換えられ言語受けた考えられ例えば、アルメニア語音韻論ウラルトゥ語大きな影響受けていると見られ長期二重言語使用示唆する。(”The Armenians according to Diakonoff, are then an amalgam of the Hurrians (and Urartians), Luvians and the Mushki. After arriving in its historical territory, Proto-Armenian would appear to have undergone massive influence on part the languages it eventually replaced. Armenian phonology, for instance, appears to have been greatly affected by Urartian, which may suggest a long period of bilingualism.”の試訳) アルメニア語でのPIEの子PIEアルメニア祖語特殊な発展*p h Ø, w, pʿ *t tʿ y, d *ḱ s š ( PIE *ḱw>Arm.š), Ø *k kʿ x, g, čʿ *kʷ kʿ x, g, čʿ *b p *d t *ǵ c *g k c * k c *bʰ b w * d ǰʰ j z *gʰ g ǰ *gʷʰ g ǰ, ž *s h s, Ø, *kʿ *h₁ Ø e- *h₂ h a-, Ø *h₃ h a-, Ø Diakonoff (1985) と Greppin (1991) は少数古典アルメニア語がフルリ・ウラルトゥ諸語起源であることがありうるとして語源構築している。 agarak 「野(field)」← フルリ語 awari 「野(field)」 ałaxin奴隷の少女slave girl)」← フルリ語 al(l)a(e)ḫḫenne; arciw 「eagle)」← ウラルトゥ語 Ariba, 「eagle)」の意味を持つと推測される固有名詞見られるart "field" ← フルリ語 arde 「町(town)」(Diakonoff及びFournetによって否定astem 「人の先祖明らかにするto reveal one's ancestry)」← フルリ語 ti 「女、妻(woman, wife)」 caṙ 「木(tree)」← フルリ語 ṣârə 「庭(garden)」 cov 「海(sea)」← ウラルトゥ語 ṣûǝ 「(内)海((inland) sea)」 kut穀物grain)」← フルリ語 kade 「大麦barley)」(Diakonoffにより否定ギリシア語kodomeýs「大麦焙煎機(barley-roaster)」に近い) maxr ~ marxpine)」← フルリ語 māḫriモミセイヨウネズfir, juniper)」 pełem 「掘る、発掘するdig, excavate)」← ウラルトゥ語 pile運河canal)」、フルリ語 pilli (Diakonoffにより否定) salor ~ šlorplum)」← フルリ語 *s̄all-orə or Urartian *šaluri (アッカド語 šallūruplum)」参照); san "kettle" ← ウラルトゥ語 sane 「やかん、ポットkettle, pot)」 sur "sword", ← ウラルトゥ語 šure 「剣(sword)」フルリ語 šawri 「武器weapon, spear)」(Diakonoffは疑いながら考察している) tarma-ǰur湧き水spring water)」← フルリ語 tarman(l)i 「泉(spring)」 ułt 「ラクダcamel)」← フルリ語 uḷtuラクダcamel)」 xarxarel 「破壊するto destroy)」← ウラルトゥ語 harhar-š- 「破壊するto destroy)」 xnjor 「林檎apple)」← フルリ語 ḫinzuri 「林檎apple)」(これ自身アッカド語 hašhūru, šahšūru由来Arnaud Fournetはさらに借用語提案している。

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