アイルランド神話とは? わかりやすく解説

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アイルランド神話

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/05 09:58 UTC 版)

アイルランド神話(アイルランドしんわ、: Irish mythology)とは、キリスト教伝来以前のアイルランドで信仰されていた神々に関する伝承のことである。キリスト教への改宗が進む中で宗教的な意義は奪われてしまったが、完全な形ではないにせよ中世のアイルランド文学にその多くの逸話が保存されている。中世アイランド文学は、さまざまに枝分かれして語られたケルト神話の最も浩瀚かつ最良の資料である。写本の多くは現存しておらず、またあえて書き残されなかった題材も非常に多いはずだが、重複はあれど固有のサイクル(物語群)として分類することが可能な量の文献は残されている。すなわち、神話物語群アルスター物語群フィン物語群歴史物語群英語版である。このサイクルにはあてはまらない神話的テクストも多く残っている。


  1. ^ この神格はケルト神話のルーと事実上同一視されているが、英語版wikiでは古代アイルランド神話のルグ(Lugh)と、ケルト神話のルー(Lugus)の2柱が分けて記述されている。そこで当記事もアイルランド神話の文脈で「ルグ」、ケルト神話の文脈では「ルー」と記す。
  2. ^ アイルランド各地の古い伝承が書かれているもので、日本でいうところの『風土記』にあたる。
  3. ^ 指に知恵が集まるぶん、指を失うと逆に急激に弱くなるというアイルランド逸話もある。フィンが夫婦で策略を使って英雄クー・フーリンの指を噛み千切り、急激に弱くなった彼を即座に倒してしまうという話(同時代に2大英雄がいたら、と言う後年のデタラメな創作)が残っている[10]
  1. ^ a b c Patricia., Monaghan, (2004). The encyclopedia of Celtic mythology and folklore. Facts On File. ISBN 0816045240. OCLC 51886379. http://worldcat.org/oclc/51886379 
  2. ^ Powell, T. G. E. (1989). The Celts. Thames and Hudson. ISBN 0500272751. OCLC 472847240 
  3. ^ a b c d e H. G. T. (1949). “Reviewed Work: Gods and Heroes of the Celts by Marie-Louise Sjoestedt, Mules Dillon”. Journal of the County Louth Archaeological Society 12 (1): 85. doi:10.2307/27728728. ISSN 1393-2195. 
  4. ^ Sjoestedt, Marie-Louise (2012). Celtic Gods and Heroes. Dover Publications. ISBN 1306336449. OCLC 868278010 
  5. ^ Fleming, Fergus (1996). Heroes of the dawn : Celtic myth. Time-Life Books. ISBN 0705421716. OCLC 37347338 
  6. ^ a b c Dillon, Myles; Chadwick, Nora Kershaw (1972). The Celtic realms (2nd ed.). London: Weidenfeld and Nicolson. ISBN 0297995804. OCLC 813540156 
  7. ^ a b Smyth, Daragh (1996). A guide to Irish mythology (2nd ed.). Blackrock, Co. Dublin: Irish Academic Press. ISBN 0716526123. OCLC 36338076 
  8. ^ a b c d e Pádraic., Frehan, (2012). Education and Celtic myth : national self-image and schoolbooks in 20th century Ireland. Rodopi. ISBN 9789042035904. OCLC 819379953. http://worldcat.org/oclc/819379953 
  9. ^ Togail Troí,Oxford Reference.2018年12月22日閲覧。
  10. ^ マイケル・ケリガン『図説ケルト神話 伝説物語』高尾菜つこ(訳)、原書房2018年4月10日、162-165頁。
  11. ^ 四つの願い(1959)」オールシネマ、2018年12月23日閲覧。



アイルランド神話

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ケルト神話」の記事における「アイルランド神話」の解説

詳細は「アイルランド神話」、「トゥアハ・デ・ダナーン」、および「神話物語群」を参照 アイルランド神話の資料はすべて中世初期以降のものである。その地にキリスト教覆いかぶさるにつれ、アイルランド神々土着の文化と共にゆっくりと消滅していった。生き残った資料中にはトゥアハ・デ・ダナーンダーナ神族)とフォモール巨人族扱ったもの(これは『マグ・トゥイレドの戦い』(Cath Maige Tuireadh)の根拠となった。)、『侵略の書』(Lebor Gabála Érenn)といった歴史焦点当てたものなどがある。ダーナ神族王権芸術戦争などといった人間社会様々な職能代表し一方でフォモール族混沌と野性代表している。 アイルランド神話は大きく別けて四つサイクル分けられる神話サイクルMythological Cycle) - 神々の物語を扱うサイクルアルスターサイクルUlster Cycle) - 英雄クー・フーリン活躍中心とするサイクルフェニアンサイクルFenian cycle) - フィン・マックール彼の率いフィアナ騎士団Fianna)を中心とするサイクル歴史サイクルHistorical Cycle) - 歴代アイルランド君主を扱うサイクルダグザDagda) アイルランド神話の最高神考えられている。ダグザアイルランド人気質具現化した存在であり、ほかの神々と人間のもととなったとされる。なお、ケルト神々起源不明である点と専門分野持っていない点から、全体でひとつの氏族clan)を構成していたと考えられるダグザはアイルランド神話の中ではおどけた洒落の利く神として描かれており、ダグザが人に小馬鹿にされるが寛大に耐え忍ぶ、という結末神話すらある。 ダグザアイルランド伝承では持った力持ちの神として描かれている。ガリアと杯を持つ神スケッロス(Sucellos)に対応するとされるモリガン(Mórrígan三位一体戦いの女神である。ヴァハ(Macha)、バズヴBadb)(ネヴァン(Nemhain)とも呼ばれる)と行動共にする。 これらの3それぞれ戦闘の違う側面体現している。彼女は『クーリーの牛争い』(Train Bo Cualinge)に登場することで知られている。この中で彼女は主人公クー・フーリン助けたり邪魔したりする。そして、『マグ・トゥイレドの戦い』の中では、詩人にして魔法使い、さらに権力者という複数役割演じダーナ神族勝利をもたらす。彼女(達)はほぼ毎回カラスもしくはオオガラスとして描かれるが、ウシオオカミウナギなど、他の多く生き物にも変化できるルーLugh太陽神イルダーナ(Il-Dana)やドルドナ(Dordona)など、「全知全能」を意味する名で呼ばれる場合もある。 その他 他にはダグザの娘であるブリギッド(Brigid)、タルトゥ(Tailtiu)などの女神がおり、男神には鍛冶酒造の神ゴヴニュGoibniu)などがいる。

※この「アイルランド神話」の解説は、「ケルト神話」の解説の一部です。
「アイルランド神話」を含む「ケルト神話」の記事については、「ケルト神話」の概要を参照ください。

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